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@IT > ベテランでなければUNIXサーバの管理はできない? そんな常識を変えるHPのSystem Management Homepage |
「UNIXサーバは欲しいがUNIX管理者が見つからない」というジレンマは、意外に多くの企業が抱えている。いまやLinuxサーバやWindowsサーバが全盛とはいえ、例えば大規模な基幹業務やデータベースを支えるプラットフォームとして、UNIXサーバが現在でも幅広く利用されている。UNIXサーバは、メインフレームの代替として要求される厳格な信頼性を長年にわたり培っており、LinuxやWindowsではそう簡単に置き換えられないケースも多い。 しかしUNIXサーバの管理は、さまざまな局面に応じて多彩なUNIXコマンドや呪文のようなオプション指定をそらで言えるほどの熟練したスキルが要求される、まさしく職人芸に感じてしまう。よって、UNIXサーバを運用する上では、貴重な存在の“職人”――すなわちUNIXが分かる管理者――を常時配置するという大きな障壁が立ちはだかる。 これに対し、例えばWindowsではGUIベースの管理ツールで一通りの作業が実施できる環境が整備されている。例えば、新しいユーザーアカウントの追加や削除、ディスク容量の残量の確認、サーバのCPUやメモリ消費状況の確認といった日々の簡単な業務であれば、新人スタッフでもマウス操作だけで容易に実施できる。 そこでもし、「Windows並みの簡単なGUI操作で管理できるUNIXサーバ」があれば、UNIXサーバ導入の敷居は大幅に低くなるはずだ。まるで「免許取りたてでも運転できるF1カー」のように非現実的に聞こえるかもしれないが、実のところ、それは現実化しつつある。最新のUNIX OSの中には、高度に洗練されたWebベースの管理GUIを提供することで、これまでのUNIX管理とは対照的な使いやすさを実現した製品も登場しているのだ。
そうしたUNIX OSのひとつが、HPが提供する「HP-UX」である。同OSの最新バージョンであるHP-UX 11i v3では、WebベースのGUI管理ツール「System Management Homepage(以下、SMH)」が標準装備されている。
図1を見ても分かるとおり、SMHでは、大半のUNIX管理機能が直感的なグラフ表示やGUI操作を通じて利用できるよう工夫されている。UNIX管理の一通りの作業に加えて、HPのUNIXサーバである「HP Integrityサーバ」のハードウェア監視や仮想化機能の設定も行える。またWebベースであるため、HTTPおよびHTTPSによる接続さえ可能であれば、どこからでもUNIXサーバの管理が可能になる。例えばUNIXサーバが設置されているデータセンターまで赴く必要はなく、手元のPCのWebブラウザからたいていの作業をリモート操作で実施できる。
もともとSMHは、HPのサーバ製品ラインナップである「HP ProLiantサーバ」向けのWindows/Linux対応GUI管理ツールとして提供されていた製品だ。そのSMHがHP-UXにも対応したことで、Windows、Linux、そしてHP-UXという3種類のサーバ環境に対して、共通のGUI管理ツールを通じた統合管理が可能なる。そのため、それぞれのサーバ環境ごとに管理手順を習得する労力が少なくなり、WindowsやLinuxの運用を担当する管理者がHP-UXの運用を兼任しやすくなるというメリットがある。 では、SMHの使いやすさを示す例をいくつか紹介しよう。以下の画面は、SMHによるユーザーアカウントの追加の例だ。
この画面をご覧いただくと分かるとおり、追加するユーザーのログイン名やグループ名、パスワードなどをWebページのフォーム上に記入し、最後に「追加」ボタンをクリックするだけで、HP-UXのユーザーアカウントを簡単に作成できる。従来のように、新人の管理スタッフがコマンド・リファレンスを片手に試行錯誤しながらなんとかユーザーを作成したものの、オプション指定が抜けていて結局は作業をやり直し――といった苦労や危うさもない。 またファイル管理についても、以下の図のように使用率が100%に近づくにつれグラフが赤色で表示されるため、サーバがリソース不足に陥っている状況を直感的に把握できる。
一方、これまではUNIX管理の中でも上級スキルとされてきたカーネルパラメータの監視や調整でさえも、SMHでは以下の図のようにグラフィカルな操作で扱うことができる。さらに、図4の右下にある「maxssiz(プロセスの最大スタックサイズ)の1日の使用率」を見ても分かるとおり、コマンド操作だけではわかりにくい日々のリソース使用率のトレンドも、SMHであれば特別な操作をせずとも確認できる。「百聞は一見にしかず」というメリットを生かしてトラブルの予兆をとらえる、プロアクティブなシステム管理が実現する。
SMHがもっとも得意とするところは、日々のルーチンワークのGUIによる定型化である。上述のとおり、日常的なサーバ運用業務で発生する作業は、ユーザーアカウント管理やディスク管理、サーバ・リソース監視、バックアップといった簡単なルーチンワークばかりである。そこでSMHでは、こうしたルーチンワークをGUIにより定型化し、ベテランのUNIX管理者でなくても容易に実施できる環境を整えている。
図5中央の「日々の管理作業」というセクションは、SMHのメニューカスタマイズ機能によって作成されたルーチンワーク用メニューの例である。このメニューでは任意のシェルスクリプトを登録できるため、例えばOracleデータベースの起動やWebサーバのログ監視など、特定のアプリケーションのニーズに応じてメニュー項目や呼び出す機能を自由に定義できる。あとは、このルーチンワークメニューに基づいて、画面ショット入りの分かりやすい運用マニュアルを作成すればよい。 これにより、管理スタッフは運用マニュアルの指示に従ってGUI操作を進めていくだけで、HP-UXの日々の管理作業をひととおり実施できる。直接UNIXコマンドを入力したり、テキストベースの膨大な出力内容から特定の文字列を抽出したり……といった、技術力の要求される従来のUNIX管理は不要だ。 さらに管理の統合化という点では、SMHとHP Systems Insight Manager(以下、SIM)との強力な連携機能も見逃せない。SMHはあくまで1台のサーバの管理に特化したツールだが、SIMは複数台のサーバを効率よく管理するためのツールだ。例えば、データセンターに設置された多数のHP ProLiantサーバやHP Integrityサーバから、CPUやメモリ、ディスク容量などのリソース情報を自動的に収集するインベントリ管理を備える。また、何人もの管理者がデータセンターを共同運用するために必要なセキュリティ管理も提供する。 SMHのひとつの特徴は、このSIMとシームレスに統合されている点だ。例えば、SIM上に表示されたサーバ一覧からいずれか1台を選択すると、SMHの管理画面を開くことができる。また、いずれかのサーバにハードウェアのトラブルが検出された場合、まずはSIMの画面上で該当サーバに赤く印が付き、それをたどっていくことでSMHの障害管理画面を表示可能だ。つまり管理者から見れば、すべてがひとつの総合的な管理ツールとして扱えるのがポイントである。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ここまで見てきたようなSMHの能力を活用すれば、熟練したUNIX管理者のスキルを日々の運用業務に費やす必要がなくなる。もちろん、システム構築時の運用マニュアル作成や、各種シェルスクリプトの記述、カーネルパラメータのチューニング、トラブル対応などでは、ベテラン管理者の能力が必要とされるだろう。しかしいったん運用体制が軌道に乗り、SMHによって定型化されたルーチンワークが位置付けば、ベテラン管理者は次のプロジェクトにすぐ専念できる。 こうした適材適所の人材配置によって、UNIXサーバのTCOは格段と低いものとなるはずだ。これまでUNIX管理のコストを理由にUNIXサーバ導入を敬遠してきた企業にとっては、このSMHに代表されるUNIX管理の新潮流は、まさしく“渡りに船”の状況と言えるだろう。
提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2007年9月29日 |
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