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進化を続けるウインドリバーの管理製品
Diagnosticsによるリモート保守が
組み込み業界を変える

ウインドリバーが2005年末に発表した動的診断ツール「Workbench Diagnostics」は、業界に大きな反響を呼んだ。さらに同社は、サーバを使ってDiagnosticsをグループ運用したり、出荷済み機器を遠隔診断する応用ソリューションを打ち出す。本社から来日したNaren Nachiappan氏(Device Management部門バイスプレジデント)に、ウインドリバーの製品戦略を伺った。

   システムを止めずにパッチ適用

 ウインドリバーのEclipseベース統合開発環境「Workbench」のアドオン製品として提供されるWorkbench Diagnostics。「センサーポイント」と呼ぶ独自技術により、ターゲットを止めることなく任意の診断用パッチ(センサーポイント)を実行プログラムへ動的に埋め込み、診断に必要なデータを収集できる“動的診断”ツールである。センサーポイントの作成、配置、有効化/無効化、削除は、ホストのWorkbenchから集中コントロールできる。プログラムにデバッグプリントのためのprintf関数を書き足して再ビルドし、それをターゲットへ書き込むといった従来の作業を考えれば、いかに効率的かが分かる。

米国ウインドリバー Device Management部門バイスプレジデント Naren Nachiappan氏

 Workbench Diagnosticsを使う場合、センサーポイントを制御するエージェントソフトをターゲットに常駐させる。このエージェントソフトは、コアイメージ機能も持つ。エラーでプログラムが強制終了となった場合、その時点のメモリやレジスタの情報をコアファイルとして自動出力。Workbench上のデバッガで解析できるのだ。

 Nachiappan氏は「Diagnosticsを使うことでデバッグ作業を効率化でき、高度な品質保証が行える。例外的なハード操作をソフトのセンサーポイントで実行し、例外処理が働くかどうかを確かめるなど、さまざまな使い方がある」とする。

 さらにウインドリバーは、Workbench Diagnosticsを応用したソリューションを提唱し始めている。1つは、複数のエンジニアによる共同診断作業を支援する動的ラボ診断ツール「Lab Diagnostics」。もう1つは、フィールドにある機器に対して遠隔診断を行う動的フィールド診断ツール「Field Diagnostics」である。

   協業支えるLab Diagnostics

 Workbench Diagnosticsは、基本的に1つの開発機と1つのターゲットをイーサネットで結び“1対1”で診断を行う。だが、大規模開発になれば工程ごとに担当チームが分かれていたり、サイトも分散している場合が多い。ターゲットから収集した診断データをネットワーク上のリポジトリに集約し、メンバー全員で共有できれば効率的だ。Lab Diagnosticsは、まさにそうしたニーズに応えるものである。

図1 Lab Diagnosticsの適用イメージ

 Lab Diagnosticsのシステム構成を図1に示す。「Device Management Server」と呼ぶサーバへ開発チーム、テスト・品質保証チームのマシンを接続。そして各ホストにWorkbench Diagnosticsをインストールする。ターゲットは、「Site Manager」と呼ぶゲートウェイを介してDevice Management Serverへつながる。Site ManagerはLAN環境だけでなく、IP-VPNなどで結ばれたWAN環境に配置されていても構わない。

 センサーポイントを使って各ターゲットから収集した診断情報や自動取得されたエラー時のコア・イメージは、Device Management Serverに蓄積され一元的に管理できるようになる。Nachiappan氏は、「例えば、開発チームとテストチームで同じ診断情報を共有して情報を共有できれば、より早く問題点を解析し、プログラムをデバッグできるだろう。普通は2つのチームの間で診断情報を共有する仕組みがなく、作業がスムーズに流れない」と指摘する。

 Lab Diagnosticsは、診断情報を一元的にデータベース化するので、1つのナレッジベースとなる。過去のログを再診断したり、時系列にチェックしたりするのも容易である。ナレッジベースを活用しやすくするコンソールも提供されるという。

 Lab Diagnosticsのもう1つの利点は、Workbench Diagnosticsの使用に統制をかけられることだ。Device Management Serverでロールに応じたアクセス制限を設定できるため、診断情報を参照するだけのユーザー、センサーポイントを作成できるユーザー、それをターゲットに配置できるユーザーをシステム上で切り分けられる。チームで開発・検証を進めるうえでは、このようなアクセス制限が不可欠となるだろう。

 Workbench Diagnosticsの動的診断機能をネットワーク上でグループ利用できるLab Diagnosticsは、組み込みソフトウェア開発の生産性と品質を引き上げ、開発期間の短縮化に役立ちそうだ。Nachiappan氏によれば、例えば、航空機産業の米ロッキード・マーチンも機器の品質保証に用いているという。

   出荷済み機器へリモート動的診断

 Lab Diagnosticsは、別サイト(WAN環境)にあるターゲットに対しても、IP-VPNなどを経由して動的診断を行えると説明した。このとき、中継網は企業ネットワークだけでなく、公衆網のインターネットも使える。となると、フィールド(ユーザーが機器を使用する現場)の組み込み機器の保守にも動的診断が可能ということである。これがField Diagnosticsとなる。インターネットを使えば、広範囲に分散した大量の機器に対して一括したソフトウェア遠隔保守も可能である。

図2 Field Diagnosticsの適用イメージ

 Nachiappan氏は「J2EEやWebサービスをベースに構築しているDevice Management ServerとSite Managerはスケーラビリティが高く、大量の機器を接続できる。ネットを介したデータのやりとりでも、J2EE、Webサービスで標準のセキュリティがかかっているので不安はない。また、ゲートウェイとなるSite Managerにより、ユーザー側がベンダ側のアクセスをコントロールでき、どういったデータをやりとりしたかの履歴も残る。ユーザーにも安心してもらえる」と指摘する。

「日本企業は、米国企業よりもリモート保守に前向き」

 Field Diagnosticsは、フィールドサービス業務に大いに役立つ。出荷済み機器に何かのトラブルが発生してエンジニアが現場に赴いて対処する場合でも、ソフトウェア障害は現場で解決できず、機器を持ち帰って解析・修正しなければならない。こうした場合、得てして障害の再現が難しく、原因の特定に時間がかかる。Field Diagnosticsを使えば、遠隔のサービス拠点で障害発生時のコアファイルを解析し、即座にセンサーポイントによってホットパッチを当てることも可能だろう。実際、ルーセント・テクノロジーやエリクソンのような大手通信機器ベンダが、出荷済み機器の遠隔保守に用いているという。

 Nachiappan氏は「日本企業は、米国企業よりもリモート保守に前向き。現時点で6社が展開を始めようとしている。そのうちの1社は、コンシューマ機器に採用している」と語る。どういった種類の機器で、Field Diagnosticsをどのように活用するのかまでは紹介してもらえなかったが、「近い将来、発表できるだろう」とした。DVDレコーダやデジタルテレビなど、ネット対応のコンシューマ機器が普及している国内では、海外に先駆けてユニークな活用例が生まれる可能性も十分あり、興味深いところだ。

   出荷済み機器もDSOの対象

 Field Diagnosticsは、ウインドリバーが2005年から打ち出してきた「Manage」ソリューションの一環である。組み込みソフトウェアの開発環境(Develop)であるWorkbench、そして実行環境(Run)であるVxWorks/Linuxプラットフォームに次ぐ、第3の製品ラインで、出荷済み機器に対する管理ソリューションを提供する。

 Nachiappan氏は「リモートサービスによるデバイス(組み込み機器)管理は、大きな可能性を秘めている。Field Diagnosticsの遠隔診断は手始めにすぎない。今後は、ソフトウェアの再構成やアップグレードも可能にしてゆく。オープン技術のJ2EE、Webサービスを使っているので、企業やサードパーティのシステムとの連携も容易。従量制課金や資産管理といったマネージドサービス、モニタリングによるマーケティング分析にも応用できる」と指摘する。

 DSO(デバイスソフトウェア最適化)を提唱してきたウインドリバーだが、Manageソリューションが向かう先は、DSOにとどまらず、“デバイスビジネス”の高度化のようだ。ともあれ、試金石となるField Diagnosticsで、どのような活用例が登場してくるか注目したい。


提供:ウインドリバー 株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2007年2月22日
 
関連リンク
ウインドリバー

管理スィート、Wind River Device Management

動的診断ツール、Wind River Workbench Diagnostics

動的フィールド診断ツール、Wind River Field Diagnostics

ソフトウェア総合開発プラットフォーム

開発スィート、Wind River Workbench

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