マインドマップ(まいんどまっぷ)情報システム用語事典

mind map / 頭脳地図

» 2006年09月15日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 人間の脳の動き(放射思考)を具象化・外面化した視覚的思考ツールの1つ。主題となる言葉やイメージを中心に置き、そこから関連するキーワードやイメージを放射状に枝分かれさせる形で記述する。

マインドマップのイメージ マインドマップのイメージ

 マインドマップは、英国の著述家・脳と学習の研究者であるトニー・ブザン(Tony Buzan)と、その兄で国際政治学者のバリー・ブザン(Barry Buzan)によって開発された。トニーが1960年代後半から1970年代前半にかけて、概念間の“関連付け”と“強調”を行うことができるノート法・記憶法として構想したものを、1970年代の初めにバリーが参加して創造的思考術として発展させ、著書「Use your head」(1974年)で正式に一般に紹介した。現在では、「ブザン式 全脳開発メソッド」の1つに位置付けられる。

 従来のノート法は、言葉を直線的に並べて文とするか、個条書きないし階層化して書くものだった。しかし、人間の思考・記憶は言葉から言葉という逐次的な過程ではなく、あるキーコンセプトに多彩で多元的な概念やイメージが結び付いたもので、全体性・多面性を持つ。このような脳の自然な働きに合わせて開発されたのが、マインドマップである。

 マインドマップは概念同士の関連付けを明確にすることによって、記憶・理解・想起をしやすくし、また連想の連なりを視覚化することによって新たな創作や編集といった知的活動を支援する。人間の脳内のおける記憶・知識・思考の連鎖は1人1人異なるため、描かれるマインドマップは人によって大きく異なる。特に分岐の第1階層(BOI=basic ordering idea)にどのような切り口に選ぶかによって、マインドマップの全体像はまったく変わってくる。

 正則なマインドマップには、以下のような守るべき12のルールがある。

  • 無地の紙を使う
  • 用紙は横長で使う
  • 用紙の中心から描く
  • テーマはイメージで描く
  • 1ブランチ(枝)=1ワード
  • ワードは単語で書く
  • ブランチは曲線で
  • 強調する
  • 関連付ける
  • 独自のスタイルで
  • 創造的に
  • 楽しむ!

 マインドマップは、思考・記憶・学習・企画・創作のほか、問題解決、スケジューリング、会議・コミュニケーション、プレゼンテーション、経営などでも活用されている。

 利用目的にもよるが、マインドマップは何度も書き直すのが良いとされる。学習が目的の場合は、完成したマインドマップで復習を行った後に覚えている内容を再びマインドマップにするのが良く、創造的活動に利用する場合は、あまり悩まずに一度完成させ、間を置いて新たに描き直してみるのが効果的であるという。

 トニー・ブザンはマインドマップの描き方として、紙にサインペンなどでイメージや色、記号を多用することを推奨しているが、マインドマップを描画するためのコンピュータ・ソフトウェアも多数登場している。これらは書き直しや情報共有を簡単に行うことができ、プレゼンテーションなどに使えるきれいなマインドマップを作成するにも便利である。

 なお「マインドマップ」の語は、日本においてはブザン・オーガナイゼーション・リミテッドの登録商標(9・16・41類)である。

参考文献

▼『頭がよくなる本〈日本語第3版〉』 トニー・ブザン=著/佐藤哲、田中美樹=訳/東京書籍/2006年9月(『Use Your Head - 2003's revised edition』の邦訳改訂3版)

▼『ザ・マインドマップ――脳の力を強化する思考技術』 トニー・ブザン、バリー・ブザン=著/神田昌典=訳/ダイヤモンド社/2005年11月(『The Mind Map Book』の邦訳)


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