ステークホルダー(すてーくほるだー)情報システム用語事典

stakeholder / 利害関係者

» 2007年10月15日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 組織体やプロジェクトにおいて、その意思決定に関与しているか、その活動の実施(あるいは不実施)に影響を受ける個人または法人・団体のこと。一般企業の場合であれば、株主・投資家、債権者・金融機関、従業員・労働組合、求職者、顧客・消費者、関連企業・取引企業、競争企業・業界団体、行政・監督官庁、地域住民などがステークホルダーである。

 もともと“stakeholder”とは英語で、ギャンブルの掛け金を預かる第三者をいう。この言葉を1960年代にスタンフォード研究所が、「経営者にとって、株主(stockholder)と同様に“要望があれば即座に何らかの対処が必要な存在”」という意味で用いた。具体的には株主、従業員、顧客、仕入先、金融機関、社会を指したという。その後、H・イゴール・アンゾフ(H. Igor Ansoff)らが戦略経営の戦略立案過程などを論じる中で企業の各階層にいる関係者を示す語として使用したことから経営学の諸分野、さらには公共政策などの領域で使われるようになった。

 狭義のステークホルダーは、組織の継続的な利益活動に金銭的な利害を有する者であるが、近年はコーポレートガバナンスCSRIR、リスクマネジメント、環境マネジメントといった諸概念の登場・拡大・深化を受けて、その組織とは日常的直接的には利害関係のない、ジャーナリスト・報道機関、証券アナリスト・エコノミスト、格付機関、環境団体、NPO/NGO、専門家・研究機関などに対象が広がりつつある。また、地球環境保護の文脈では「人類」「次世代」といった視点を提案する向きもある。

 ステークホルダー概念拡大の流れを受け、一部の企業では自社活動が及ぼす各種の影響やリスクをステークホルダーに説明し、その意見を反映する手段として「ステークホルダー・ミーティング」や「ステークホルダー・ダイアログ」を開いている。

 プロジェクトマネジメントの分野では、プロジェクトにかかわるステークホルダー(プロジェクト・ステークホルダー)を明確に識別して、それぞれを適切にマネジメントすることが重要とされる。プロジェクトにおけるステークホルダーとしては、プロジェクトスポンサー(プロジェクトオーナー、発注者)、プロジェクトマネージャ(プロジェクトマネジメントチーム)、プロジェクトチーム(実作業者、外注業者)、PMO、ユーザー(エンドユーザー、顧客)などが挙げられる。

 ISO 9000シリーズやISO 14000シリーズなどでは、ほぼ同義の言葉として利害関係者(interested party)が用いられる。

参考文献

▼『現代企業とステークホルダー ─ ステークホルダー型企業モデルの新構想』 水村典弘=著/文眞堂/2004年


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