トヨタ生産方式(とよたせいさんほうしき)情報システム用語事典

TPS/ Toyota production system / トヨタ生産システム

» 2007年06月18日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 トヨタ自動車が編み出し、実践しているモノづくりに関する一連の体系的活動のこと。狭義には後工程引き取りなどによって多品種の製品を適量適時に製造する生産手法を指すが、広義にはムダの徹底的排除によって生産性向上を図る業務改善活動全般をいう。

 トヨタ生産方式は、トヨタにもともとあったジャスト・イン・タイム自働化という2つの基本思想を柱に、大野耐一を中心とした人々が製造現場の生産性向上に取り組む中でさまざまな試行錯誤を経て、具現化したものである。大野自身は、“儲けるIE”だと説明している。

 1950年ごろから一部の工場で活動が始まり、1970年までに体系化された手法が全社展開されるようになり、それら各手法をまとめて「トヨタ生産システム」という呼ぶようになった。1970年代のオイルショック以降、無駄を省く仕組みとして国内で注目を集め、1990年にジェームズ・P・ウォマック(James P. Womack)らがリーン生産方式として紹介すると、世界中にその名が知られるようになった。今日では製造業以外の業種でも、業務プロセスを改善する手法として導入が行われている。

 トヨタ生産方式は、一般に「かんばん」「多能工」「多工程持ち」「省人化」「少人化」「アンドン」などの各手法を組み合わせた生産方法と見なされることが多いが、それは表面的なもので「絶え間ない改善の精神」「改善を行う際のものの見方・考え方」こそがトヨタ生産方式である——と説明されることもある(ものの見方を「トヨタ式」と称することが多くなっている)。実際、トヨタ生産方式の各手法は作りすぎや在庫などの、いわゆる“7つのムダ”を徹底的に排除するための仕掛けだが、トヨタの真の強さはこうした既存の手法に頼り切るのではなく、まだ見つかっていないムダや問題を常に探し続けるというマインドを全社員が持っていることだと指摘される。

参考文献

▼『トヨタ生産方式——脱規模の経営をめざして』 大野耐一=著/ダイヤモンド社/1978月5月


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