シスコが価格革命第二弾。今度はコントローラー内蔵無線LAN アクセスポイントだ:「Cisco Mobility Express Solution」
シスコはエントリーレベルのネットワーク製品で、圧倒的な低価格を打ち出し、同社の「いい製品だけれど高価」というイメージを変えようとしている。この取り組みの第二弾として、無線LANアクセスポイントの世界に革命を起こそうとしている。
「シスコのルーターが5万円以下から、これは中小企業のネットワークの革命だ」という記事では、シスコの本格ルーターが、中小企業でも手の届く価格で手に入るようになったことをお伝えした。今度は無線LANアクセスポイントで第二弾の革命を起こす。
シスコが新たに提供開始したのは「Cisco Mobility Express Solution」というもの。具体的な新製品は、「Cisco Aironet 1830」「Cisco Aironet 1850」の2シリーズだ。802.11ac Wave 2という最新の無線LAN規格に対応している。また、最大25台の無線LANアクセスポイント、500台の接続端末に対応できるというから、かなりの規模で使える。さらに、コントローラーが内蔵されているにもかかわらず、価格は日本の小規模企業でよく使われているエントリーレベルの企業向け無線LANアクセスポイントと同様なレベルだ。
小規模企業の無線LANにおけるジレンマ
「本体の価格が安く、コントローラーを別途購入する必要がないだけではありません。設定がとてもシンプルで簡単になっています。シスコが無線LAN製品で培ってきたノウハウ、ベストプラクティスを自動的に組み込む『賢い』製品だからこそ、徹底した簡単さと、安定した高速な通信環境を両立できます。コスト効率が高く、手間の掛からない無線LAN製品を探していらっしゃる、シスコ製品を扱ったことのないネットワーク製品リセラーの方々にも適しています」と、シスコシステムズ エンタープライズネットワーク事業の前原朋実氏は話す。
無線LANは簡単そうで難しい。比較的規模の小さな企業であっても、一人当たりの端末数が増えている場合もあり、最近はすぐに無線LANアクセスポイント4、5台が必要になってしまう。アクセスポイントが複数台になると、「無線LANコントローラー」と呼ばれる集中管理用の機器を導入することが望ましいが、コストがかさむし、専門知識が求められる。
設置後の運用でも、例えば「端末がつながらなくなった」と言われた時、電波は見えないために何が原因かを突き止めるのが難しく、対策が遅れがちになる。
「家庭の無線LANと同じようなつもりで、安い製品でも何とかなるだろうと考えたために失敗した」という声はよく聞かれる。接続端末数がちょっと増えただけで、性能が大きく低下するケースもある。一方で「高価な製品ならいいのかもしれないが、快適につながればいいだけなのに、コストをかけるわけにはいかない」というのももっともだ。
今回のシスコの新製品は、こうした悩みに正面から向き合うものだ。「まずは手軽に、シスコ製品の良さを実感していただき、ネットワークニーズが高度化したときにも、弊社の製品を検討していただければ、それでいいと考えています」(前原氏)
シスコの無線LANは、どこが根本的に違う?
今回シスコが投入したAironet 1830とAironet 1850は、スペックを犠牲にした製品ではない。どちらも802.11a/g/nといった既存の無線LAN規格はもちろん、802.11ac Wave 2という最新の規格に対応している。容易に陳腐化することはない。アップリンクは、Aironet 1830が1Gbps、Aironet 1850は1Gbps×2ポートだ。
Cisco Mobility Express Solutionの第一の特徴は、無線LANコントローラーを内蔵していること。
無線LANコントローラーを内蔵しているということは、専用装置を別途用意する必要がないので、その分の機器コストが浮くし、設置作業も迅速化する。それだけではない。さらにいいことがある。
Cisco Mobility Express Solutionでは、全ての無線LANアクセスポイントがコントローラー機能を内蔵している。最初に接続されたアクセスポイントに搭載されたコントローラー機能が親となり、これによって後から接続された全てのアクセスポイントを統合管理できる。そして、最初のアクセスポイントあるいはコントローラー機能が万が一ダウンした場合には、自動で別のアクセスポイント上のコントローラー機能が親に昇格する。
無線LANコントローラー専用機器を1台だけ導入する場合は、この機器がダウンすると、統合管理ができなくなってしまう。それに比べると、こちらのほうが可用性の点で有利だ。
Cisco Mobility Express Solutionは、このように機能面で妥協してはいない。設定項目はシンプルだが、それはベストプラクティスを活用しているからだ。
無線LANコントローラーの賢さで、導入作業が楽
そしてCisco Mobility Express Solution最大の特徴は、初期設定と設置後の運用を飛躍的に改善するWebブラウザベースの管理ツールだ。
無線LANアクセスポイントでは、設定する際にパソコンを有線接続しなければならない製品があるが、Cisco Mobility Express Solutionでは、最初のアクセスポイントを社内ケーブルに接続して起動したら、これに対してパソコンを無線LAN接続して、Webブラウザを立ち上げ、「http://192.168.1.1」と入力すればよい。これで初期設定画面が表示される。
管理画面が表示されたら、ウイザードに従って、3画面3ステップの設定で、無線LANを使い始められる。最初はコントローラーの設定、次はワイヤレスネットワークの設定(暗号化方式やパスフレーズなど)、最後は電波に関する設定だ。
電波に関する設定が簡単にできるのはAironetならでは。Aironetでは、無線LANで一番難しい、干渉防止などの電波管理が、インテリジェントにできるようになっている。Aironetでは、アクセスポイント間あるいはノイズによる干渉を回避するためのチャネル割り当て調整、干渉を抑えながらカバレッジと収容力を最大化するための各アクセスポイントの伝送パワー調整、アクセスポイントの負荷に基づくクライアントの接続割り振りなどを、継続的なリアルタイムのモニタリングに基づいて、自動的に実行する。
この機能の効果を高めるため、管理画面の電波に関する設定では、トラフィックのタイプと接続密度を、分かりやすいインターフェースで指定できる。
障害が目に見えることで、トラブルシューティングが楽
無線LANでは、導入後の運用がさらに大事だ。無線は目に見えないこともあり、ユーザーから苦情が出ても、何が問題なのかが分かりにくい。そのため、問題解決が遅れることで業務に支障が出かねない。
Cisco Mobility Express Solutionでは、Webブラウザベースの、視覚的に分かりやすい管理ツールが用意されている。このツールでは「無線LAN」「無線LANアクセスポイント」「各端末」のダッシュボードが用意されていて、無線LANの状況を簡単に見える化して、監視できる。
例えば無線LANアクセスポイントについては、各アクセスポイントに何台の端末がつながっており、チャネル利用率やノイズはどれくらいかを確認できるので、チャネルの混雑度合が、すぐに判断できる。
このダッシュボードは、シスコの無線LAN製品の安定性および総合性能を実感する良い機会になるかもしれない。別の無線LANアクセスポイントを使った経験のある方は、ぜひそれとAironetを比べてみてほしい。
無線LANでは、利用端末が増えたり、周辺で無線LANが使われるようになったり、不正アクセスポイントが使われていたりと、設置後時間が経つにつれ、物理条件が設置当時とは大きく変わる可能性がある。例えばチャネル利用率が高まると性能が低下してくるので、増設を検討する必要が出てくる。無線LANアクセスポイントの負荷状況を、日常的にチェックしておくことは大事だ。
一方、端末別のダッシュボードでは、近隣にいるアクセスポイントを表示したり、理論的な最大速度と実際の速度とを比較したりといったことができる。トラブルシューティングに役立つ通信経路可視化機能も備わっている。ユーザーから「つながらない」と言われた時に、IPアドレスが取得できていないのか、認証の問題なのかなど、どこでどのような問題が発生しているかが一目で分かる。
Cisco Mobility Express Solutionは、高度な機能を自然に利用できる製品
これまで述べてきたように、Cisco Mobility Express Solutionは、シスコが自社のイメージを変えるための取り組みの一環でもあるため、とても簡単に使える製品になっている。それでいながら、「シスコ製品」と呼ばれるにふさわしい機能を豊富に備えている。
運用担当者にとって、扱いやすいというだけでなく、いざというときに役に立ってくれる無線LAN製品。これがCisco Mobility Express Solutionだ。
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提供:シスコシステムズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月8日