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仮想化、クラウドのメリットを享受できない最大のボトルネックと解消法とは?「障害原因の特定が難しい」「時間がかかる」問題に終止符

ビジネスのスピードアップやコスト削減を目的に、仮想化、クラウドは多くの企業に浸透した。だがシステムの複雑化により、かえって運用の手間やコストが掛かっているケースが多い。中でも多くの企業に共通する悩みが「障害原因の特定と迅速な対応」だ。障害分析スキルを持つ人材も限られている中で、いったいどうすればこの問題を解決できるのか? 具体策を紹介する。

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仮想化、クラウドの浸透で、動的な運用管理が不可欠に

 ビジネス展開のスピードが増し、コスト削減も厳しく求められている現在、システム運用管理には一層のアジリティと柔軟性が求められている。これを受けて仮想化、クラウドが多くの企業に浸透したが、システムが複雑化したことにより、システムの「安定運用」「障害への迅速な対応」が大きな課題となっている。

 具体的には、サーバとミドルウェア/アプリケーションが1対1の関係ではなくなったことで、障害の影響範囲が広がった他、障害の根本原因を把握することも難しくなった。システムの状況を横断的に分析できるスキル・経験を持つ人材も限られており、そうしたスキルを継承することも難しくなっている。だが、ほとんどのビジネスをITが支えている今、ITインフラのパフォーマンスはビジネスのパフォーマンスに直結している。どうすれば、ビジネス要請にスピーディーに応えながら、障害を抑え、確実・効率的に安定運用ができるのか?――

 こうした状況を受けて、今、運用管理において「分析」と「自動化」が注目されている。例えば、「随時変更されるシステム全体の構成情報を自動的に取得し、可視化する」「システムのどの個所で、どのような障害が起こり、それが業務にどのような影響を与えるかを分析する」「障害が起こる予兆を検知し、プロアクティブに対処する」「障害の復旧作業を自動化する」といった仕組みが求められている。すなわち、“ビジネス要請に応じて変化するシステム全体”の今を可視化し、スピーディーかつ確実に問題を発見・対処することで、仮想化、クラウドの「スピード」「柔軟性」というメリットを生かし切ろうというわけだ。


日立製作所 IT基盤 ソリューション本部 基盤インテグレーション/JP1ビジネス推進センタ 主任技師 加藤恵理氏

 2016年1月、日立製作所が提供開始したIT運用分析製品、JP1/Operations Analytics(以下、JP1/OA)は、まさしくこうしたニーズに応える製品となっている。日立製作所の加藤恵理氏(IT基盤 ソリューション本部 基盤インテグレーション/JP1ビジネス推進センタ 主任技師)は次のように話す。

 「JP1/OAは、2016年1月にバージョンアップした『JP1 Version 11』シリーズの一つの目玉であり、システム全体の構成や各構成要素の関連性を自動的に把握、可視化します。多角的な分析機能により、迅速な復旧を支援する他、ランブックオートメーション機能を持つIT運用自動化製品、JP1/Automatic Operation(以下、JP1/AO)との連携により、障害の原因追求から対処まで、一層の確実化・迅速化を図ることも可能です」

 では具体的にはどのような機能を備えているのだろうか。ポイントを見ていこう。

安定運用、障害対応のボトルネックを解消するJP1/Operations Analytics

 JP1/OAは、大きく以下の4機能を提供する。

・構成の自動把握

・障害の緊急度の判断

・障害の分析

・業務影響の確認

 ・構成の自動把握は、仮想化、クラウドによって、随時変化するシステム全体の構成を自動的に把握する機能だ。一般に、構成管理台帳による管理では、VM(仮想マシン)の出し入れやリソース拡張といった日々の構成変化に追いつかず、更新が漏れることが少なくない。それが障害原因の特定、対応の遅れにつながっている。JP1/OAは、サーバ、スイッチ、ストレージなど各種機器のIPを指定しておくと、それらの構成情報を自動的に取得。VMware vCenter™やMicrosoft® Hyper-V®などの仮想化管理ツール、オープンソースソフトウェアも含めた既存のイベント管理ツールにも幅広く対応し、VM名やホスト名、システム名やイベント情報を各種管理ツールから引き継ぎ、関連する構成を可視化する。

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図1 動的に変わり続けるシステム構成の状況を正確に可視化し、安定運用を支援《クリックで拡大》

 「構成管理ツールとの大きな違いは、静的ではなく動的にシステムの状況を把握できること。高機能の構成管理ツールを導入せずとも、仮想/物理サーバ、ネットワーク、ストレージ、業務システムの関連性を自動的に可視化します」

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図2 各種イベントと、関連する構成要素を可視化することで、障害原因の特定を支援《クリックで拡大》

 障害の緊急度の判断は、仮想/物理サーバやストレージなど、インフラの稼働状況から重要度別に業務システムへの障害影響を可視化する機能だ。

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図3 重要度の高いシステムから優先的に復旧作業を実施することを支援《クリックで拡大》

 例えば、VM単位の障害通知だけでは、関連する業務システムや緊急度まではすぐには把握できない他、状況整理に時間をとられてしまうケースが少なくない。JP1/OAでは、各業務システムの重要度をあらかじめ登録しておくことで、重要度別に稼働状況を確認するこができる。これにより、重要度の高い業務システムに障害が起こった際も、緊急体制を取るといった判断を素早く行うことができる。

 障害の分析は、障害原因を多角的に分析する機能。運用熟練者のスキルや分析手順を基に設計した機能であり、「ボトルネック状況の確認」「障害による影響の確認」など、分析に必要な情報を自動的に抽出して可視化する。複数のレポート画面を「監視ウィジェット」として用意しており、必要なものを選んでダッシュボードに任意に配置することで、ダッシュボードのレイアウトをカスタマイズできることもポイントだ。

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図4 運用熟練者の障害分析スキルを基に設計した分析機能により、特別なスキル、経験がなくても戸惑うことなくスムーズに分析を行える《クリックで拡大》

 「一般に、障害分析には一定のスキル・経験がないと、どの情報から確認すれば良いのか分からなくなり、現場が混乱したり、不的確な判断を繰り返したりしてしまうケースも少なくありません。しかしJP1/OAでは多角的な分析を支援することで、障害分析を迅速に行える他、分析スキルを組織内で標準化し、底上げすることも狙えます

 そして業務影響の確認は、「まだ障害が顕在化していないが、これから影響が及び得る」業務システムやサーバなどをリスト表示する機能。顕在化していない障害を予測することで、例えば「関連部署に連絡してジョブ実行数を制限する」などの未然防止策を講じることができる。

障害対応のボトルネック解消と標準化が、仮想化、クラウドを生かすカギ

 さらに、JP1/OAは復旧作業を支援する機能も備えている。一つは「復旧対処の作業手順」や、「対処で求められるアクション(例えば問題管理チケットの発行、関係者へのメール、対処に必要なコマンドなど)」を登録しておくことで、必要になった際には各作業者にメールで迅速に通知することができる。

 もう一つは、前述した運用自動化ツール、JP1/AOとの連携だ。迅速に障害原因を特定できても、復旧の作業手順が煩雑だと人的ミスにつながり、復旧が遅れるリスクが高まる。そこで想定される復旧作業手順をJP1/AOに登録しておき、必要となった際にはワンアクションで自動的に実行させることで、より確実・迅速に対処することができる。

 加藤氏は、「こうした一連の機能により、障害の切り分けから要因分析、裏付け確認まで、容易に行うことができます。障害が発生しても迅速に原因を突き止め、対処することで、業務への影響を最小限に抑えられる仕組みです。“ビジネスに貢献できるIT”が強く求められている今、変化に迅速、柔軟に対応できるシステム運用が不可欠ですが、そのポイントになるのが、自動化・自律化と考えています」とコメントする。

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図5 動的に変化する仮想化、クラウド環境において、問題原因を把握し、対処する一連のプロセスを確実化・迅速化できる。ツール機能によって、ノウハウを標準化できることもポイントだ《クリックで拡大》

 なお、現在は「JP1/OAで特定した障害原因を基に、JP1/AOで復旧作業を行う」といった具合に、「人の判断を介した自動化」を実現しているが、将来的には機械学習技術を適用した、自律化に向けた発展もめざすという。

 事実、企業競争がグローバルで激化している今、ビジネスの「スピード」と「品質」が差別化のカギを握るようになっている。こうした中、仮想化、クラウドのスピード、柔軟性というメリットを享受するためには、従来型の「システムは変わらない」ことを前提とした静的な運用管理から、「変わる」ことを前提とした動的な運用管理に切り替える必要がある。ビジネス環境の進展に伴い、運用が自律化されていくことも予測されている今、まずはJP1/OAを核として、システム運用のスピード・品質のボトルネックを解消してはいかがだろうか。

※HITACHI、JP1は、株式会社日立製作所の商標または登録商標です。

※MicrosoftおよびHyper-Vは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。


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提供:株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月25日

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