調査で判明、中堅中小企業が2024年度にITでやりたいこととは? 事例とともに紹介:旺盛なIT投資意欲あり、特に興味があるのはAI、データ活用、DXの検討・実行
中堅中小企業は今、ITで「やりたいこと」「やらなければならないこと」に、積極的に挑戦している。だが、当然ながら課題はある。それをどう乗り越え前に進めるか。調査と事例から、解決策を探る。
少数精鋭で独自の技術や価値を生み出してきた日本の中堅中小企業。そんな中堅中小企業も、デジタル技術の進化が事業に大きな影響を与えるようになってきた現在、ITの積極的な活用は避けて通れない。
中堅中小企業におけるITの現状を明らかにするため、アイティメディアは2024年2月13日から3月31日にかけて、ディーアイエスサービス&ソリューション、ダイワボウ情報システム、インテル、日本ヒューレット・パッカードの協賛により、中堅中小企業のIT投資に関するオンライン調査を実施した。調査では、ビジネス課題やIT課題、関心を持っているITの取り組み、オンプレミス/クラウドの利用状況などについて聞いた結果、製造業、小売業、建設業などさまざまな業界で日本を支える中堅中小企業から回答を得ることができた。
その結果、中堅中小企業は「やりたいこと」「やらなければならないこと」が明確にあり、それに向けた投資意欲は高いことが分かった。では、どう課題を克服して、やりたいことに挑戦しているのか、調査結果と事例から、中堅中小企業におけるITの「現在」を詳らかにする。
思うように進まないDX。従業員の生産性向上やビジネスの効率化が課題
中堅中小企業が抱えるビジネス課題については、以下のような結果だった。
「従業員の生産性向上」(61%)、「既存ビジネスの効率化と売り上げ増」(55%)、「データ活用」(45%)、「新規ビジネスモデルの創出」(26%)が上位に並んだ。データ活用が3位にランクインしている点は特に興味深い。「ITがビジネスに直結する」という認識の広がりを示しているからだ。
一方、IT課題の上位3つは「人材不足」(55%)、「DXの検討・実行の遅延」(50%)、「セキュリティ」(39%)となった。少数精鋭で迅速に判断できるはずの中堅中小企業だが、DXを推進しようにもIT人材が不足しており、現場での具体的な取り組みが思うように進まない様子がうかがえる。
オンプレミスとクラウドの利用比率は以下のようになっている。
オンプレミスが「ほぼ100%」と回答したのは28%。「約90%〜70%」と答えた企業と合わせると、4割以上に達する。「クラウド」の中には「SaaS」も含まれているため、システム基盤としてオンプレミスを利用している中堅中小企業は、まだまだ多いと考えられる。
興味、関心が高いのはAI(人工知能)、データ活用、DXの検討・実行
そのような課題を持った上で、中堅中小企業が最も興味、関心を持つITトピックは何なのか。「2024年度の取り組みとして特に興味・関心のあること」を聞いたところ、上位3つは「AI活用」(52%)、「セキュリティ対策」(44%)、「データ活用」(42%)となり、次いで「DXの検討・実行」(40%)となった。先述した「従業員の生産性向上」や「既存ビジネスの効率化と売り上げ増」といった課題解決にAIやデータの活用を検討していると考えられる。逆に「TCO削減」は11%となり、ITコスト削減より投資への意欲が高いことが分かる。
記事の後半では、「興味・関心のあること」の上位となった「AI活用」「データ活用」「DXの検討・実行」に挑戦し、最新サーバを導入して「従業員の生産性向上」や「既存ビジネスの効率化と売り上げ増」「新規ビジネスモデルの創出」などを実現している事例を紹介していく。
ビジネスの中にはAI活用のチャンスが至るところにある
最も興味・関心が高い「AI活用」について、調査ではAI活用に向けてインフラ選定で最も考慮すべきと考えているポイントも尋ねた。AIといえばクラウドで構築、実行するイメージもあるが、48%の企業は「セキュリティ、コスト、運用などを考慮して、クラウドではなくオンプレミスでの活用を検討、実施している」と答えている。
AIを自社業務に導入し生産性を向上させるチャンスでもあれば、AIを活用した製品やサービスを開発し新規ビジネスを展開するチャンスでもある。ここではAIを活用した画像認識技術の開発に最新サーバを導入し、新事業を推進している事例を紹介する。
AIを活用した画像認識技術で新事業を推進している事例
ある企業では、お金を「見分ける」「数える」「束ねる」などの処理を自動化する通貨処理機を提供している。そのコアテクノロジーとなる文字や画像の「認識・識別」技術を活用し、あらゆるビジネス文書の電子化を見据えた新事業の展開を進めている。
ディープラーニングなどのAI技術の進化は目覚ましく、同社でも従来の画像認識技術にAIを組み合わせることで、精度のさらなる向上を図っている。しかし、より多くの演算を高速に処理する必要があり、4、5年前に導入した開発、検証用サーバではCPU、メモリともに力不足で、開発が思うように進まない。
一方で、サーバの世界でも急速に技術が進んでおり、CPUが多コア化して、処理能力が大幅に向上している。そこで同社は、製品を開発するホストマシンに、社内で実績があり評判が良かった最新の「HPE ProLiant」サーバを導入した。結果、手元のPCでも膨大な演算を処理できるようになり、開発効率が向上したという。
4、5年でサーバを入れ替えるのは早いと感じる場合もあるかもしれないが、AIなど急速に進歩する技術に対応するには最新サーバの導入が効果的といえるだろう。
中堅中小企業でもできるデータ活用ビジネス
調査では、「データ活用」も高い関心を集めていることが分かった。データ活用といっても、どんなデータを何に生かすかは企業、組織によって多種多様だ。ここでは、エッジコンピューティング(※1)により、顧客データをサービス品質向上に生かしている事例を紹介する。
※1:データが生成される場所と使われる場所の近いところにサーバを置き、処理すること
リアルタイムなデータ連携で一歩先行くおもてなしを実現している事例
ある企業は、車両のナンバープレートを自動認識し、カーディーラー店舗などでスタッフに瞬時に顧客情報を共有するサービスを、開発、提供している。本サービスにより、スタッフはスムーズな対応が可能になり、顧客サービス品質の向上が可能だ。
ナンバーの検知から店内モニターへの顧客情報の表示までをリアルタイムで処理するため、優れたレスポンスを実現するためにはオンプレミスの「エッジサーバ」(※2)が不可欠だ。
※2:※1で使用されるサーバのこと
同社は、さまざまな環境下で信頼性を実証してきたHPE ProLiantサーバを採用し、1000を超える顧客拠点に導入している。それらのサーバはHPEが提供するクラウドサービス(HPE ProLiantサーバの「Gen10」以降で利用可能)から一元的に管理が可能だ。不具合が発生したときはHPEサポートへ自動で通報する他、多拠点に展開するサーバのファームウェア更新を一斉に実施することができる。IT人材の確保が難しい中堅中小企業には心強い機能だ。
同技術は、駐車場での入退場管理、交通量調査、マーケティング分析などさまざまな領域で活用が進んでいるという。中堅中小企業にもデータ活用ビジネスの可能性が広がっている。
DXを推進したいが、足掛かりをつかむには?
DXについての関心も相変わらず高い。「興味・関心のあること」として、40%が「DXの検討・実行」を挙げている一方、「IT課題」として「DXの検討・実行の遅延」を挙げた企業も多い。
どうやってはじめの一歩を踏み出すか。ここでは最新のサーバを導入し、業務効率を改善したと同時に、DX推進のインフラを確立した事例を紹介する。
DX推進の中、業務の効率化とサービス品質の向上を実現した事例
建築関連の検査を業務としているある企業では、電子申請受付システムでビジネスに直結する重大な課題が浮上した。検査申請を電子化するという政府の方針とコロナ禍が予想以上の効果をもたらし、申請件数が急増したのだ。
同社は既に電子申請関連システムを構築していたが、新たに、十分な処理能力を持ち、24時間365日稼働できる電子申請システムを構築した。その基盤として、他システムで故障率が極めて低かったHPE ProLiantサーバを採用している。この際、今後のDX推進を見据え、余裕を持ってサイジングした他、メッセージキューイング(MQ)によるシステム連携を取り入れ、処理の単純化、平準化も図った。
システムの処理能力が大きく高まったことで、以前と変わらない時間で2倍以上の申請を処理できるようになった上、顧客への迅速な対応が可能になり、多様な改善効果が生まれた。今後はAIや機械学習などのテクノロジーを活用し、本格的なDXを推進していく。このように、必要に迫られたシステム更改でも、DXの足掛かりとなるチャンスといえるだろう。
中堅中小企業の取り組みに適したサーバとは
上記事例で紹介したように、最新のサーバを導入することで、大きくパフォーマンスや管理性が向上し、「従業員の生産性向上」や「既存ビジネスの効率化と売り上げ増」「新規ビジネスモデルの創出」などにつながっている。ビジネスを成長させるための、“攻めのIT投資”をしているのが共通点だ。
実際の傾向はどうなのか。調査では、組織のIT基盤に対して2024年度中に具体的に検討、実施予定もしくは検討が必要と考えている施策も尋ねた。結果、「社内のレガシーIT基盤の刷新や更新」(38%)が圧倒的だった。クラウド移行も選択肢の一つだが、本調査では25%とそれほど多くなかった。
オンプレミス環境におけるIT製品の価格を除いた重視ポイントも尋ねたが、「信頼性・可用性」(65%)が圧倒的に多く「サポートサービスの手厚さ」(38%)、「管理効率」(33%)、「機能」(32%)と続いた。
ここまで紹介してきた事例では、全て「インテル® Xeon® プロセッサー」を搭載するHPE ProLiantサーバを使用し、性能、信頼性、管理性、セキュリティといった点をカバーしている。
中堅中小企業にまずおすすめなのが、第4世代Xeon® を採用したタワー型の「HPE ProLiant ML30 Gen11」と、ラックマウント型の「HPE ProLiant DL20 Gen11」だ。エントリーモデルでも「Xeon® E-2400」シリーズを搭載可能となっており、前世代のGen10と比べて大きく性能が向上している。
本格的な業務システム運用から、動画配信やAIなどの先進的な用途では、ラックマウント型の「HPE ProLiant DL320 Gen11」がおすすめだ。最大60コアの第5/4世代の「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」を搭載可能で、GPUにも対応している。第5世代Xeon® では、AIなどの特定用途で処理能力を高める仕組みが進化している。
最新サーバの導入を、ビジネスを推進するためのカギとして考えたい。
スムーズなIT製品の調達を支援
HPE ProLiantサーバを提案する販売店については、国内最大級のIT関連製品の取り扱い量を誇るディストリビューターであるダイワボウ情報システムに相談してはどうだろうか。全国94の営業拠点を擁し、地域に密着した営業体制を構築している。「顔の見えるディストリビューター」として、顧客の多様な要望に応えることが可能だ。
ユーザー企業への導入支援はディーアイエスサービス&ソリューションが提供する。意思決定の迅速化やデータの経営活用が期待できる、ダイワボウ情報システムが取り扱うワークフローシステム「AgileWorks」などをHPE ProLiantサーバと組み合わせて提案している。
お問い合わせ窓口
ワークフロー製品の「AgileWorks」などに関する製品情報や導入事例の確認、問い合わせはディーアイエスサービス&ソリューションの下記サイトをご確認いただきたい。
https://dx.si-jirei.jp/strategic-product-workflow-agileworks/
販売店さまの問い合わせ窓口
「iDATEN(韋駄天)」はダイワボウ情報システムの電子商取引(B2B)システム。約1400メーカー、約240万に及ぶ豊富なアイテムをそろえている。HPE ProLiantサーバの見積もりは、iDATENへログイン後、HPE DirectPlusより取得できる。
https://www.idaten.ne.jp/portal/page/out/mss/hpe/proliantgen11.html
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提供:ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社、ダイワボウ情報システム株式会社、インテル株式会社、日本ヒューレット・パッカード合同会社
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