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「Windows Server 2016の期限切れ」をAI基盤整備の機会に変える方法:Azure Arcで実現する可視化

AI利活用が進む一方、オンプレミスとクラウドの混在によるインフラの断片化が課題だ。「Windows Server 2016」サポート終了を見据え、今取り組むべき基盤管理の最適解に迫る。

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 AIは日々すさまじい勢いで進化し、ビジネスの現場でも積極的に取り入れられている。今や「PoC(概念実証)で試す段階ではなく、本番環境で運用し、顧客にサービスとして届ける『AI-ready』の段階に進んでいます」と、寺田佳央氏(日本マイクロソフト コーポレートソリューション事業本部 業務執行役員 CTO)は語る。

寺田氏
日本マイクロソフトの寺田佳央氏(コーポレートソリューション事業本部 業務執行役員 CTO)

 「Windows Server 2016」上で動くSQL Server 2016を、対応OSの更新と併せてSQL Server 2025へ移行すれば、企業内のデータをAIがアクセスしやすい形に加工できる。オンプレミスのデータベースをAIの基盤となるクラウド側のソリューションと連携させることも可能だ。システムを見直すこの機会を、単なるアップグレードではなく、AIと連動するシステムへのアップグレードのチャンスと捉えることが重要だ。

 ただしAIを本番環境で運用するフェーズにおいては、AIが処理するデータを適切に管理し、安全に動かす制御やポリシーの整備が欠かせない。「そもそもデータがどこにあり、そのデータは誰の所有物で、権限を持つ人だけが適切に閲覧できるようになっているのか――。そして基盤に脆弱(ぜいじゃく)性が存在しないかといった事柄を組織として管理し、AIエージェントが勝手にデータにアクセスして動く事態がないように、安全に使うことが重要です」(寺田氏)

 しかし現実には、インフラは技術の進化に伴って複雑化し、管理はますます困難になっている。システムの重要度やコストを踏まえ、あるものはオンプレミスで運用を続け、またあるものはクラウド環境へと移行した結果、ワークロードやリソースが分散している状況だ。スティーブン・ムラウスキー氏(米Microsoft Principal Product Manager)は「国、地域ごとの法規制の要請に応える必要もあり、結果としてインフラが断片化しています」と指摘する。

ムラウスキー氏
米Microsoftのスティーブン・ムラウスキー氏(Principal Product Manager)

 一般にAI利用というと、「どのAIモデルを使い、どう活用するか」といった部分に目が向きがちだ。だがAIを実業務へ組み込む段階では、AIを支えるデータやシステムの適切な管理も必要になる。そのために企業は、以下の5つのポイントを認識するのが望ましい。

  • AIが利用するデータがどこにあるのかを把握できているか
  • 処理を担うシステムはどのようなものか、依存関係も含めて整理できているか
  • アクセス権限を適切に管理できているか
  • 脆弱性が残っていないか
  • 適正なコストで運用し、事業継続性を確保できているか

 それには「オンプレミスとクラウドに分散した全ての環境にまたがって、共通のインベントリ、共通のポリシーに基づく管理や一貫性ある更新プロセスを整備することが重要です」とムラウスキー氏は説く。

Windows Server 2016のサポート終了はシステム棚卸しの好機

 ハイブリッドクラウド環境での包括的な管理は、セキュリティ面からも求められている。昨今、サイバー攻撃が激化し、インターネットに公開されているサービスの脆弱性が手当たり次第に狙われるような状況だ。「その上、攻撃者がAI技術を利用することで脆弱性の発見や攻撃の実行が以前よりもはるかに簡単になっています」と寺田氏は語る。

 一方で、OSにはサポート期限が存在する。企業システムを長年にわたり支えてきたWindows Server 2016は既にメインストリームサポートが終了し、2027年1月12日には延長サポートも終了(EOS)の予定だ。この期限を過ぎればセキュリティパッチが提供されず、サイバー攻撃に無防備な状態になってしまう。

 寺田氏はWindows Server 2016のEOSを、企業内システムを棚卸しして全体を把握するきっかけとして捉えてほしい、と提案する。「まずは会社の中にあるシステムを理解することが大切です。全体が把握できれば、リスクが高くてすぐに対処すべきサーバはどれなのか、後回しにしてもいいサーバはどれなのかといった優先順位を付けられるようになります」

 OSのバージョンアップには工数やコストがかかるが、利用し続ける場合も「拡張セキュリティ更新プログラム」(ESU:Extended Security Updates)購入などの費用が発生する。加えて、古いバージョンを使い続けることに伴う高いセキュリティリスクは周知の事実であり、もしインシデントが生じた場合は多額の対処コストが発生すると予想される。

 ムラウスキー氏は、「延長サポートはこの先の移行や変更を実施するために、一定期間の猶予を与えてくれるものです。その時間を使って導入システムの正確な情報を把握し、どのサーバを新OSへ移行すべきか見極める必要があります」と述べる。

オンプレミス環境も包括的に把握し、管理する「Azure Arc」

 ただし実際問題として、企業が保有するシステムを全て洗い出し、状況を把握するのは骨の折れる作業だ。「過去にもOSのEOSをきっかけにシステムを洗い出す機会はありました。しかし、導入システムの情報を把握できるツールはオンプレミス環境に特化したものが多く、ハイブリッド環境を一元的に把握・管理できる便利なツールはあまり存在しませんでした」(寺田氏)

 その状況を打破するのが、Microsoftの「Azure Arc」だ。「Microsoft Azure」をはじめとするパブリッククラウドサービスはもちろん、オンプレミス環境のリソース、さらには外部のクラウドプロバイダーで稼働しているシステムも含めて一元的に管理し、「どこに何があり、どのような状態でどんなリスクにさらされているのか」を包括的に可視化する。

 Azure Arcは、オンプレミスのWindows ServerやLinuxサーバ、SQL ServerあるいはKubernetesクラスタなどにもAzureリソースIDを付与して、Azureのリソースとして一元的に可視化・管理できるようにする。「オンプレミス環境のサーバもAzureポリシーに基づいて一元的に管理したり、Azure RBAC(ロールベースのアクセス制御)に基づいてアクセス権限を管理したりすることも可能です」(ムラウスキー氏)

 さらに、Azureで提供されているエコシステムを活用し、より広い機能へ拡張できるようになる。

 特に強力なのが、「Azure Copilot」をはじめとするAI技術の利用だ。例えば「環境内のWindows Server 2016インスタンスを全て見つけてほしい」「特定のポリシーに準拠していないものをピックアップしてほしい」と自然言語で入力すれば、Azure Copilotが「Azure Resource Graph」(Azureのリソース検索・インベントリ管理システム)のクエリに変換し、必要な情報を簡単に得られるようになる。

 Azure Copilotと、システム監視サービス「Azure Monitor」やオブザーバビリティーエージェントなどを組み合わせることで、高度な相関分析をしてシステムで発生している事象の詳細を追跡することも可能だ。さらにトラブルシューティングエージェントや、Azure運用に特化した自律エージェント「Azure SRE Agent」を連携させれば、原因分析から障害対応まで一貫して実現できる。

 同様にセキュリティ運用に関しても、Windowsの標準セキュリティ機能「Microsoft Defender」やセキュリティツール「Microsoft Security Copilot」を用いることによって、ログの収集や分析をして、脅威が顕在化して深刻な問題になる前に対処できるようになる。

 「AIは、IT運用チームやセキュリティ担当者にとって欠かせない技術になりつつあります」とムラウスキー氏は語る。ただし、こうしたツールに全てを任せきりにできるというのは誤解だ。あくまで企業それぞれの戦略やガバナンスに沿って、管理者が適切に設定し、使いこなすことが重要だと寺田氏は強調する。

モダナイズの第一歩も「見える化」から

 両氏は、事業戦略に沿ってAI-readyの環境を実現するには、段階的にアプローチを進めることが不可欠だと語る。特に、オンプレミスで今なお多数のサーバが稼働している日本では、まずハイブリッド環境全体を統合的に可視化・管理し、モダナイゼーションの道を切り開く土台作りとしてAzure Arcが役立つという。

 「移行ありきで動くのではなく、まず管理するところから始めるべきです」(寺田氏)

 「オンプレミスとクラウドの両方で、サーバやワークロードが存在する場所を特定し、状況を把握することがスタートです。環境を評価し、その結果に基づいて共通のガバナンス方針を適用し、オンプレミスとクラウドのインフラを一元的なプロセスで管理します。それができて初めて、ワークロードを最適化してモダナイゼーションに取り組める土台が整うことになります」とムラウスキー氏は説明する。

 ムラウスキー氏は、「AIエージェントは強力な手助けになります。ただしそれを使うかどうかにかかわらず、いきなりモダナイゼーションに飛び込むよりも取るべきステップをじっくり考え、段階的に進めるアプローチで取り組むことで成功を収められるでしょう」と話す。

 IT人材不足に悩み、限られた人数でハイブリッド環境の無数のワークロードを運用管理している企業にとって、システムの可視性を確保しつつ複雑性を解消するAzure Arcは、安全かつ高度なAI基盤を整備する上で推進力を発揮してくれるはずだ。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年11月18日

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