リーダーにとって必要なものは何か。この悩みは過去から現在まで尽きることがない。そして多くのリーダーがつまずくのが「人」に関する問題である。
組織におけるリーダーの悩みは尽きない。業種や職種を問わず、世の中にリーダーシップやマネジメントを論じる書籍や記事が過去から現在まで無数出ているのを見れば、いかにそのニーズが高いのかが容易に分かるはずだ。
本書は、主にプロジェクトリーダーやチームリーダーに初めてなったばかりの若手ビジネスマンに向けた1冊だ。「ITmedia エンタープライズ」で2009年6月から2010年5月まで連載された記事を加筆・修正し、書籍化したものである。
あるITシステム会社で働く新米女性リーダーの主人公が、先輩社員の指導の下、一人前のリーダーに成長していくという小説仕立てのストーリー。30の章立てになっており、それぞれにケーススタディが用意されているため、読者は実際にその場面を疑似体験しながら、リーダーの役割や振る舞い方、部下に対するマネジメントなどを学ぶことができる。それぞれの章のポイントが分かりやすくまとめられているのも理解を助ける。
一見すると破天荒な内容とユニークなイラストから、フィクションのように思えるが、ほぼすべて著者の勤務先で実際にあった出来事を土台にしているという。こうした点からも、リーダーがいかに予想もしない状況に対しても臨機応変に対応すべきかが分かる。
本書を読み解くと、リーダーにとって重要なのは「人」だという認識を持つだろう。著者もあとがきの中でこう述べている。
「実際にリーダーになってみて、多くの人がつまずくのが、『メンバーがついてきてくれない』『お客さんが集まらない』『自分だけ空回りしている感じがする』ということではないかと思います。リーダーが相手にするのは『人』です。(中略)人からアドバイスをもらえたときに素直に聞く心があるかどうかもとても大切です」
リーダーに着任したばかりの方も、ベテランリーダーの方も、改めて基本に立ち返り、リーダーという存在を見つめる契機となる1冊であろう。
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