今回より、いよいよデータセンターのサービスと、その選び方を解説する。データセンターにおけるサービスは、コロケーションとホスティングの2つに大きく分類することができるが、個々のサービスにはさまざまな違いがある。
前回までは、「自社内に対するデータサービスを分析して、どのようなデータをデータセンターに置き、どういう構成でネットワークを構築すれば、より上手にデータセンターを利用できるかを考える」という観点で説明してきました。しかし、一概にデータセンターといっても、提供されているサービスは多様で、各データセンターの特徴も異なります。
そこで、今回からは、データセンターの提供する各種サービスと、それらの選び方について解説していきたいと思います。まず今回は、データセンターにどのようなサービスがあるかについて解説しましょう。
データセンターのサービスは、コロケーションサービスとホスティングサービスの2つに大別できます。そして、これらのサービスはさらに細かく分類できます。
1. コロケーションサービス
コロケーションサービスは、「ラック貸し」ともいわれます。データセンターに設置されているラックを借りるサービスです。
サービスメニューとしては、ラック1本をそのままレンタルするものから、「1/2ラック」「1/8ラック」など1ラックを数等分してレンタルするもの、そして、「U」(ユー)というラックの最小単位でレンタルするサービスなどさまざまです。「U」は「ユニット」の略で、ラックに設置するスペース(機器の厚さ、あるいは高さ)の単位として使われます。通常1ラックは40U程度のスペースがありますので、1/2ラックだと20U程度のスペースを借りることになります。
コロケーションサービスを利用する場合は、ラックがどのようなものかを詳しく把握しておく必要があります。
まず、注意する必要があるのはラックのサイズです。ラックには実に多くの種類があり、メーカーによっても特徴が異なりますが、データセンターの場合は、そのデータセンターの特注ラックの場合もあります。
ラックの種類には大きく分けて、オープンラックと扉付きラックの2種類があります。オープンラックの場合は、さらに4点マウントラックとセンターマウントラックがあります。
センターマウントのラックは通常、床面から天井までが2本の支柱で支えられており、機器を設置する場合は、設置する機器の奥行きの中央にマウント金具を取り付けてラックにマウントします。この構造を図1に示します。
センターマウントの場合、設置する機器に、センターマウントが可能なラックマウント金具が用意されているかどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。特に、サーバなどの場合、奥行きが長いものが多いため、ラックマウント金具は4点で固定するものがほとんどですので注意が必要です。
4点マウントのオープンラックもありますが、データセンターで用意しているところはほとんどありません。4点マウントは通常の扉付きラックと注意点がほぼ同じです。
扉付きラックの場合、いくつか注意点が増えます。以下に列挙します。
さらに、1ラックを分割している場合は以下にも注意が必要です。
では、これらのポイントについて、順に説明します。
横幅は十分あるか
通常のラックは「19インチ・ラック」といわれ、ラックのマウント幅(横幅)が19インチ(約43センチ)に標準化されています。このため、幅で困ることはほとんどありません。しかし、機器を設置する上で重要なのは、マウントする支柱よりも広いラック幅があるかどうかです。
良いラックの場合、ラックの横面は支柱と接しているのではなく、支柱からラックの横面までに数センチの幅があるつくりになっています。こうすることで、横のスペースを使って、機器に接続するケーブルを裏面から前面へ、またはその逆へと取り回しができるようになります。支柱からすぐにラック横面となっていて、スペースがないようなラックの場合、ケーブルを取り回すスペースを確保するために1U~数Uのスペースを使う必要があるほか、ラックマウント作業などの時にケーブルが邪魔になるなど、相当不便になってしまいます。
奥行きは十分あるか
最近のサーバは、厚さを薄くするため奥行きを長くする傾向があります。機器によっては70センチ近いものもあります。
最新のラックの場合はこの辺も十分考慮されているのですが、場合によっては奥行きが足りずに、背面の扉を閉められず、飛び出てしまうケースもあります。前面のラックマウント位置から、背面扉まで、ケーブルを接続しても十分な余裕がある程度の奥行きが確保できるラックを選ぶ必要があります。
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