社員はソーシャルネットワーク型で仕事をする、オラクルOracle CRMの現状と未来

» 2007年12月12日 00時00分 公開
[谷古宇浩司,@IT]

 米オラクルでCRM事業を統括しているシニア・バイスプレジデントのアンソニー・ライ(Anthony Lye)氏が来日、同社のCRM製品に関する事業戦略を発表した。

 CRMアプリケーションに関係する技術革新について、ライ氏は「この20年間あまり変わらなかった」と指摘、CRMは1985年頃に確立されたトップダウン型の業務処理プロセスを自動化するという役割に徹したとした。

 しかし、2005年から「顧客中心主義」が市場に浸透、この動きに対応するように、企業内では部門横断的な業務処理の迅速化や、クロスファンクションチームの設置といった組織改変が行われていった。CRMの機能拡張もこの傾向に沿って実施された。さらに、2007年からは、ユーザー参加型(ソーシャルネットワーク参加型)のコンシューマブル・アプリケーションへとCRMの仕様そのものが変化した。プラットフォームはWebに移行し、サービスの提供形態はSaaSが主流となりつつある。

オラクル写真 米オラクル シニア・バイスプレジデント アンソニー・ライ氏

 さらに一歩進んで、オラクルは「ソーシャルCRM」という概念を提唱する。個人のニーズに細かく対応し、データ入力やトレーニングが不要で、コミュニティやソーシャルネットワークで利用され、個人が求める“価値ある情報”が提供されるようなアプリケーション・サービスを指す。

 「業務上の関係は、基本的に『ソーシャル』なものだ」とライ氏は言う。営業担当者が業務を推進するうえで必要となる人脈や情報は営業担当者その人のパーソナル情報に依存する。企業の組織構造はいまだに階層型が主流だが、実際に仕事をする段階では、社員はソーシャルネットワーク型で動く。

 CRMのソーシャル化に関する技術的な解決策について、オラクルはグーグルと協業しながら、仕様の標準化や個別のサービス開発を行っている。さまざまなソーシャル・アプリケーションとのデータ連携を実現するAPIの仕様策定(OpenSocial)についても、オラクルはグーグルと協力している。Siebel CRM On Demand(Release15)の画面上に、SNSのパーソナル情報(友達リストなど)を展開するガジェットを表示したり、iGoogleでSiebel CRM On Demandのガジェットを利用するといったデモンストレーションが行われた。

 具体的なソーシャルCRMアプリケーションとしてライ氏は、顧客の行動パターンを分析し、次の営業活動への示唆(しさ)を与える「Oracle セールス・プロスペクター」や営業担当者自らがHTML形式の電子メールキャンペーンを作成し、その後のトラッキングも可能となる「Oracle セールス・キャンペーン」などを紹介した。

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