「中堅市場の空白を狙う」、JD Edwards最新版が9月登場今後は3年ごとにメジャーアップグレード

» 2008年08月18日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 米オラクルのJD Edwards担当グループ・バイスプレジデントのレンレイ・ハーザリング(Lenley Hensarling)氏は8月18日都内で会見し、中堅企業向けERPの最新版「JD Edwards EnterpriseOne 9.0」を9月の同社イベント「Oracle OpenWorld 2008」で発表することを明らかにした。エンジニアリング業界や建設業界などに対応するプロジェクト管理機能を強化するという。

 日本での提供開始は9月の発表後、3カ月以内の見込み。ハーザリング氏によると、オラクルが買収した後のJD Edwards EnterpriseOneはバージョンごとに特定業界に向けた機能強化を行ってきている。2005年に登場した8.11は機械製造業界向けの機能を強化。2006年の8.12では飲料食品業界向けの機能を追加した。

米オラクルのJD Edwards担当グループ・バイスプレジデントのレンレイ・ハーザリング氏

 9.0ではプロジェクト管理が必要な業界向けの機能を追加する。主にエンジニアリング業界、建設業界、メンテナンス業界、デザイン業界などに向けた機能で、モジュールとしてはプロジェクトからの受注会計報告の機能を追加する。米国政府から仕事を受ける際に必要になるインボイス機能なども搭載する。

 また、インフラ管理や連携機能を提供すると「JD Edwards EnterpriseOne Tools 8.98」も登場する見込み。ユーザー・インターフェイスを強化すると共に、オラクルのビジネス・インテリジェンスやレポーティング製品との連携、Oracle Enterprise Linux、Oracle VMのサポートを拡充する。

 世界各地に拠点を持つ中堅企業はすでに何らかのERP的なシステムを導入していると考えられる。しかし、ハーザリング氏は「ホワイトスペースがある」と話し、9.0ではエンジニアリング業界のほかに農業や飲食料、卸売販売などの業界を主なターゲットにすると話した。「小規模な企業でもグローバルな活動になってきている」として、ERPのコア機能のほかに、業種別の高度なモジュールが必要と説明した。

 オラクルは今後、JD Edwards EnterpriseOneのメジャーアップグレードの間隔を3年程度に伸ばす方針だ。3年間の間に個別モジュールの機能を強化するポイントリリースを4〜5回行って、法規制やシステム統合など顧客の細かなニーズに対応する。ハーザリング氏は「ERP全体をアップグレードするのではなく、ポイントになる機能だけをアップグレードできる」と説明した。

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