富士通スパコンがコンピュータの殿堂入り米国コンピュータ歴史博物館に寄贈

» 2008年09月12日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 富士通は9月12日、同社と航空宇宙技術研究所(NAL)が1993年に共同開発した数値風洞システム(Numerical Wind Tunnel、NWT)と、その開発で培った技術で生まれた富士通製スーパーコンピュータ「VPP」シリーズのコンポーネントを、米国のThe Computer History Museum(コンピュータ歴史博物館)に寄贈すると発表した。

コンピュータ歴史博物館に寄贈する数値風洞システムのLSIボード。写真右が水冷冷却部、左がLSIボード本体。約30センチ四方のサイズ
VPP5000のプロセッシングエレメントボード(CPUおよび主記憶装置搭載)
VPP300のPEマザーボード

 富士通によると日本製のスーパーコンピュータがコンピュータ歴史博物館に寄贈されるのは初めて。

 NWTは風洞システムをシミュレーションするためのスーパーコンピュータで、1993年2月に航空宇宙技術研究所で稼働開始した。同年11月にはスーパーコンピュータのトップ500ランキングで日本製としては初めて1位を獲得した。富士通は、NWTの開発で培った技術を生かし、商用スーパーコンピュータの「VPP500」や後継の「VPP300」「VPP700」「VPP5000」を開発した。

 VPPシリーズは高速な計算能力を生かし、数値流体力学や気象予報などの数値シミュレーション分野で利用されたという。ヨーロッパ中期気象予報センター、フランス気象局、オーストラリア国立大学などが採用した。

 寄贈するのはNWTとVPPシリーズで使ったプロセッシングエレメント(CPUおよび主要記憶装置)、クロスバーボードなどの主要パーツ。米国時間の9月12日にはコンピュータ歴史博物館で寄贈記念式典を開催するという。

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