プライムを訴えることできますかWeekly Top 10

» 2008年09月16日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は「Firefox 3.1」のアルファ版リリース第2弾についての記事「videoタグで動画再生はプラグイン不要に」だった。Webブラウザについての記事は3位にも入るなど注目度が高い。Web時代のOSとしてブラウザの重要度は増している。

NewsInsight Weekly Top 10
(2008年9月7日〜9月13日)
1位 videoタグで動画再生はプラグイン不要に
2位 Rubyで作った国産タスク共有システム「9arrows」
3位 ChromeにJavaScriptで機能追加、サイボウズ・ラボの奥氏が開発
4位 Rubyが抱える課題、NaClの前田氏が講演
5位 アダルトサイトだけではない、ワンクリック詐欺の入り口
6位 富士通スパコンがコンピュータの殿堂入り
7位 オラクルが最新DBへの移行促す、「Oracle8の問題考えて」
8位 「訴える!」の前に和解導く、ソフト開発の紛争解決センター
9位 話題のオンラインストレージ 「Dropbox」正式版が公開
10位 IBM、「過去最大」のストレージ戦略発表、新世代技術を投入

 個人的に注目しているのは8位の「『訴える!』の前に和解導く、ソフト開発の紛争解決センター」で紹介した「ソフトウェア紛争解決センター」の今後だ。システム開発を依頼するエンドユーザー企業と、そのシステムを開発するITサービス企業とのトラブルはよく聞くし、一部では訴訟になっている。ただ、審理が公開される法廷の場は、情報を公開したくない企業にとっては敷居が高く、実際はどちらかが泣き寝入りしているケースも多いだろう。

 実際に泣き寝入りしているのはITサービス企業の下請企業という現実もある。ユーザー企業の無理をプライム・コントラクタの大手ITサービス企業が飲み、その無理を下請企業に押しつける――という構図だ。

 ITサービス企業はユーザー企業と良好な関係を維持できるが、下請企業は疲弊する。ソフトウェア紛争解決センターがこの構図を変えるかというと、難しいかもしれない。契約違反を理由に下請企業が、プライムのITサービス企業を相手取ってソフトウェア紛争解決センターに申し立てを行うことは考えにくい。

 ただ、ソフトウェア紛争解決センターという選択肢ができることで、ユーザー企業、プライムのITサービス企業、下請企業とも契約に敏感になり、厳密な内容を求めるようになるだろう。それだけでも脱・多層請負構造の第一歩だ。加えて、工事進行基準が来年度に適用されれば、さらに契約内容がクローズアップされる。よい方向に向かっていると思いたい。

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