ソーシャル化する顧客に企業が見捨てられないためにはオラクルが「Social CRM」製品を発表

» 2008年09月24日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 米オラクルはCRMアプリケーションのソーシャル化を進めている。9月22日(米国時間)には「Social CRM」を指向する2製品「Oracle Sales Campaigns」「Oracle Sales Library」を発表した。SNSに代表されるソーシャルサービスとCRMの組み合わせは珍しく思えるが、米オラクルのCRM担当シニア・バイスプレジデント アンソニー・ライ(Anthony Lye)氏は、「企業と顧客との関係が変わってきている」と背景を説明する。

 ライ氏は「顧客はいままでと同じような関係を企業と続けたくはない」と指摘する。これまで顧客は企業が出す情報を元に判断して製品やサービスを購入するのが普通だったが、インターネットによる人と人のコミュニケーションが拡大したことで、その顧客と企業との関係が変化したという。顧客はベンダから与えられた情報ではなく、「自分のことをよく分かってくれて、有用な情報を教えてくれる人と関係を持ちたいと思っている」(ライ氏)のだ。

米オラクルのCRM担当シニア・バイスプレジデント アンソニー・ライ氏

 インターネットの価格比較サイトなどがその変化の典型だ。価格比較サイトでは商品情報を得られるだけでなく、商品を使っている人のレビューを読んだり、意見を交換し、自分の判断材料にすることができる。顧客は従来以上に知識を持つようになっているのだ。

 しかし、そのような顧客を相手にする企業は、「いままでと同じやり方をしている」とライ氏はいう。人と人の関わりから情報を判断したいと思っている顧客の要求には応えられていない企業が多いのだ。

 オラクルが発表したSocial CRMは企業をこの新しい潮流に対応させる製品群だ。日本でも9月に発表した「Sales Prospector」はその第1弾で、Oracle Sales Campaigns、Oracle Sales Libraryが続く。

 顧客のデータを解析して「Amazon.comのように顧客の趣向を把握する」(ライ氏)というSales Prospectorに対して、Oracle Sales Campaignsは過去の実施履歴を解析して、電子メールによるベストなプロモーションを計画できる製品。Oracle Sales Libraryは営業資料の検索、作成、ダウンロード、共有ができるアプリケーションだ。いずれも登録情報に対してレイティングやタグ、コメントを付けることができる。この3製品は、オラクルの「Oracle Social Applications Framework」に基づき開発され、SaaSで提供される。

 ライ氏によるとオラクルのCRMアプリケーションはサーバを社内に設置するオン・プレミス型で2桁、SaaS型では3桁の成長をしているという。その中で特にSocial CRMについては「バブル期のような成長になる」(ライ氏)と期待している。

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