「シカゴではホラーDVDが売れる」を感知するSCMを提供オラクル、サプライチェーン拡張した「バリューチェーン」展開

» 2008年11月20日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本オラクルは同社のサプライチェーン管理系のソリューションを拡張し、より幅広い分野で企業に使ってもらうことを計画している。11月20日に会見した米オラクルのSCM製品戦略 シニアディレクターのジョン・バミューデズ(John Bermudez)氏は同社が提案する新しいサプライチェーン戦略である「バリューチェーン計画ソリューション」を「従来のサプライチェーン管理の拡張版。財務的なゴールをサプライチェーン計画に包含する」と説明した。

米オラクルのSCM製品戦略 シニアディレクターのジョン・バミューデズ氏

 オラクルのサプライチェーン管理ソリューションは、デマントラの買収によって大幅に強化された。特にバリューチェーン計画ソリューションでは、その核を旧デマントラの製品が占める。バリューチェーン計画の特徴は、製造プロセスや物流、流通の設計だけでなく、旧デマントラ製品が得意とする需要管理の機能や販促管理の機能も含んでいることだ。従来のサプライチェーン管理の領域を超えて、企業の業務プロセスの大半をカバーする。

 バミューデズ氏は「オラクルは財務計画からサプライチェーン計画までを一連のプロセスと捉えている。バリューチェーン計画では、企業の利益にサプライチェーン計画が合っているかを確認できる」と話し、企業の売上高目標や利益目標を指標として、サプライチェーンを設計、管理できると説明した。

 オラクルが展開するバリューチェーン計画ソリューションを特徴付けるのは、「需要感知」機能。過去に販売した商品の地域別の売り上げ、マーケティング活動などを多角的に分析して、正確な販売予測を導き出す。米国では20th Century Foxが1万5000以上のショップのデータをリアルタイムで収集し、分析に使っている。また、すでに販売中の商品の動向予測だけではなく、新商品でも予測可能。20th Century Foxでは、映画DVDソフトの販売に需要感知機能を利用している。

 バミューデズ氏は「DVDソフトのライフサイクルは4週間程度と短い。販売元企業はピーク時の販売数を事前につかむ必要がある。新商品の場合にキーになるのは同じ属性商品の履歴。地域による特性も盛り込むことが可能で、シカゴ郊外ではホラー映画のDVDが売れる、シアトルでは日本語を話す人が多く、日本語タイトルのDVDが売れる、などの特性が分かる。このような需要を感知して販売元はショップに伝えることができる」と説明した。

 バリューチェーン計画ソリューションは、「Demantra Real-Time Sales and Operations Planning」「Oracle Demand Signal Repository」「Oracle Strategic Network Optimization」「Oracle Inventory Optimization」など複数の製品で構成するが、「Oracle Advanced Planning Command Center」が提供するダッシュボードによって「すべてのアプリケーションを管理できる」とバミューデズ氏は語った。バリューチェーン計画ソリューションは日本でもすでに提供可能になっている。

 バミューデズ氏は「世界的な景気後退によって、ほとんどの企業がIT投資を控えている。しかし、バリューチェーン計画には高い関心を持っている。早ければ3〜6カ月で導入でき、すぐに財務的なリターンを得られるからだ。ある自動車部品メーカーはこの3月に本番に移行し、すでに1500万ドルのコストを削減した。世界各国に在庫を持つ企業はすぐにリターンを得られる」と述べた。

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