7割の企業が陥る現代病、BPMによる解決策はもう1度マネジメントの強化を

» 2008年12月05日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 分業が進んだ結果、誰も業務全体の流れが分からない、チームワーク意識の消滅、正社員の減少と業務ノウハウの流出、アマチュア管理職の増大……。日本BPM協会の理事兼事務局長で、日本能率協会コンサルティング チーフコンサルタントの横川省三氏は、日本企業の現状をこう指摘する。「すべての企業ではない。しかし、7割の企業がこうなっている」。横川氏は「業務の複雑化やスピードの変化について行けていない。もう1度マネジメントを強化する必要がある」と訴える。

日本BPM協会の理事兼事務局長、日本能率協会コンサルティング チーフコンサルタントの横川省三氏

 横川氏は12月4日に開催された日本ネクサウェブ主催の「Nexaweb Forum 2008」で講演した。マネジメントの強化はかつてのキーワードであれば、業務改善やBPRを指す。しかし、業務におけるITシステムへの依存が高まるにつれ、ITによるプロセスを無視した改善活動は意味がないようになった。横川氏はBPRの狙いの1つが業務オペレーションのロスだったと指摘。対してBPM(用語解説)について「マネジメント(管理)のロスに着目する」と説明した。

 BPMを簡単に説明するとこうだ。「業務プロセスと情報システムのレイヤに注目し、この2つを整理、可視化。柔軟性を高めて環境変化への対応力を強化すること」(横川氏)。BPMというとBPMツールが思い浮かぶが、ツールがすべてではない。前提として日常業務、業務改善、業務改革に取り組む社員のマインドが必要になる。日常業務とは決められた業務プロセスを決められた手順でこなすこと。業務改善とは日常業務の活動履歴の分析を元に、現場を中心にプロセスを改善すること。業務改革は、業務改善の限界を見極め、新たな視点でプロセスの再設計を行うことだ。

 BPMツールの目的は、この3つのサイクルをつなげて業務状態を可視化すること。さらに横川氏は「一番大事な機能は自走改善機能だ」と指摘した。BPMツールで開発されたワークフロー画面などをエンドユーザー自身がカスタマイズできる機能を指し、現場のニーズをシステムに反映できる。「この自走改善機能が実装できないとBPMツールが(現場の)足手まといになる」

大和証券がNexaweb採用

 Nexaweb Forum 2008では、12月1日に発表された大和証券の個人投資家向け「私設取引システム」(ダイワPTS)へのNexaweb採用についても説明があった。ダイワPTSの基幹システムを支えるWebプラットフォームとして採用され、開発・運用に使われる予定だ。Nexaweb Forum 2008であいさつした日本ネクサウェブ 代表取締役社長の藤岡健氏は、同社のソリューションが金融機関を中心に国内100社以上で採用されていることを説明。さらに「最近は業種を問わずに広がっている」と話した。

日本ネクサウェブ 代表取締役社長の藤岡健氏

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