自由回答「よかった!」の理由を探るマイニングツール、SPSSアンケート集計をシンプル、低コストに

» 2008年12月17日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 SPSSはアンケートの自由記述回答を分析し、分かりやすい形で構造化できるテキストマイニングツール「SPSS Text Analysis for Surveys 3.0」を12月17日に出荷開始する。テキストマイニングツールは長い歴史があり、市場規模も拡大を続けているが、それほど頻繁にアンケートを行うわけではない企業にとっては「オーバースペックで、コストがかかりすぎる」(SPSS)面もある。対してSPSS Text Analysisは「シンプル、簡単、低コストで使ってもらうことを主眼に置いて開発した」(同社)という。

 SPSS Text Analysisで得られる最大のメリットは自由記述集計の時間短縮だ。アンケートの自由回答をテキスト処理し、キーワードや係り受け、そして回答者の感性を抽出する。抽出したこれらのキーワードが相互にどう関係するかを導き出し、回答者の属性を組み合わせて分析できる。

 例えばアンケートの自由記述から「連絡」というキーワードを抽出した場合、そのキーワードが全記述中にどれだけ含まれているかや、キーワードの前後の文章を確認可能。さらにそのキーワードの係り受けが分かり、どのような文脈で使われているかを確かめることができる。また、「連絡」というキーワードに対してどのような感性表現がひも付いているかも確認できる。単にポジティブ、ネガティブという感性分析にとどまらず、便利だからよい、役だってうれしいなど、「その理由を文章の前後関係から読み取って、何に対して、どう思っているかを明確にできる」(SPSS)という。

「SPSS Text Analysis for Surveys 3.0」の利用画面。回答からキーワードを抽出し、分類、分析ができる
感性分析の例。ポジティブな回答に対してその理由を分析可能

 分析結果はキーワードごとに確認するだけでなく、複数のキーワードを組み合わせたクロス集計も可能。集計結果はグラフ表示にもできる。SPSS Text Analysisは、言語理解研究所の許諾を得て、NTTデータがOEM提供している「なずきエモーションアナライザ ライブラリ」を組み込んでいて、日本語で350億個の辞書を備える。分析対象の自由記述データは、ODBC対応データベースやMicrosoft Excel、「SPSS Statistics」などからインポートする。また、分析結果をSPSS Statisticsにエクスポートし、より深い分析を行ったり、レポートを作成することができる。

 価格は42万円(税別)から。教育機関向けには11万円からで提供する。Windows VistaとXPで稼働する。SPSSは初年度2億円の販売を見込んでいる。

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