【Top10】Windowsのすばらしい日々先週の人気記事ランキング

» 2009年02月23日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングの第1位はMozillaファウンデーションが発表したWebブラウザ上で実行できるコードエディタについての記事「Mozilla、ブラウザ上で動くコードエディタ発表」だった。Webサイトの閲覧からアプリケーションの実行、そしてアプリケーションの開発とWebブラウザの利用領域は広がり続けている。すでに「browse」だけの用途ではないのは明らかだ。

NewsInsight Weekly Top 10
(2009年2月15日〜2月21日)
1位 Mozilla、ブラウザ上で動くコードエディタ発表
2位 いま「Windows Vista+SA」ならWindows 7へ無償アップグレード
3位 未来の言語は「APL」? Rubyのまつもと氏が講演
4位 日本と米国で「メールアーカイブ」浸透度に差がある理由は?
5位 「PHPはWebアプリに最適な言語」
6位 求人数はJava、年収はC#がトップ――ワークポートが調査
7位 ヤフー、自社データセンター所有へ
8位 マイクロソフトは月例パッチをやめるべきか?
9位 米ベリングポイント、チャプター11申請 財務再建目指す
10位 ネットブック対応の「Debian GNU/Linux 5.0」リリース

 本当に合理的かどうかは別にしてWebブラウザですべてを処理しようという動きもある。アドビの「Photoshop Express」をはじめとして画像編集ソフトウェアはたくさんあるし、「Google ドキュメント」を使えばWebブラウザをワープロや表計算、プレゼンテーションソフトウェアに変身させられる。機能ではデスクトップのクライアントアプリケーションに劣るが、私の経験では業務の大半はこのようなWebブラウザで利用するアプリケーションで代替できる。ファイル共有などを前提に考えれば、クライアントアプリケーションよりも便利だ。

 Webブラウザの隆盛を考えていると、さらにその下で動くOSは果たして進化が必要なのかと思ってしまう。もちろん、セキュリティ強化につながるバグフィックスは必須だろうが、ユーザーの利便性を向上させる新機能がこれ以上求められるのか。Windows 7の登場も予測される中で、だんだんと影が薄くなるWindows Vistaは、ユーザーが強く求めない新機能を追加してしまい、鈍重さに拍車がかかった。そして「いま『Windows Vista+SA』ならWindows 7へ無償アップグレード」と、Windows 7への踏み台のような扱いになってしまった。

 Windows Vistaの低迷を後から批判するのは簡単だが、少なくとも私はその失速を製品発表前に予測することはできなかった。何といっても最大のシェアを誇るOSであり、しかも5年ぶりのバージョンアップだ。一般ユーザーはもとより、大幅に強化されたセキュリティ機能を評価し、企業ユーザーもスムーズに移行するのではと思っていた。発売当日には浮かれて取材に行ったほどだ(参考記事:Windows Vistaが発売、眞鍋かをりさんも「買いました」)。発売後も浮かれて眞鍋かをりさんの写真を掲載した(参考記事:Windows Vista大盛り上がりのワケ)。

 だが、マイクロソフトはどうもWindows Vistaの苦戦を予測していたようだ。発売の半年以上前には企業ユーザーに対してのWindows Vistaのメリットを紹介する説明会を開催(参考記事:MSが心配する「ビジネスPCにVistaはいらない」の声)。2006年末にはWindows Vistaへの移行策を発表した(参考記事:1年半以内にVistaに乗り換えてほしい……、MSが移行支援策を提供)。

 「Windows 95」の発売以降、IT系メディアにとってWindows新バージョンの発売は「お祭り」だ。そしてそのお祭りは楽しい。お祭りはWindows 95の時が最大最高で、以降は盛り下がっているのかもしれない。しかし、Windows 95のお祭りを体験したメディアの人間はその再来を望み、体験していない人間は先輩に聞かされたお祭りの盛り上がりを、新しいバージョンのWindowsで得ようとする。楽しかった思い出はなかなか忘れられない。多くの人はもうOSには興味を持っていないかもしれないのに。

 一般ユーザー、特に企業ユーザーと対峙している調査会社のアナリストは冷静だった。Windows Vistaの発売直前、IDC Japanの片山雅弘氏はこう述べている(参考記事:Windows VistaはニンテンドーDSに学べ)。「PC市場は新たなバリューが必要。このままでは明るい未来は決してない」。企業ユーザーについても「PCのビジネス市場は経済状況に左右される。Windows Vistaそのものによる影響は薄い」。2008年以降、世界的な不況でIT投資は多くの企業で凍結された。Windows Vistaは開発方針の誤りだけでなく、不況にも直面している。

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