ジュニパー、同社の高信頼性をデータセンター全体に新構想「The Stratus Project」を発表

» 2009年03月04日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ジュニパーネットワークスは、米国サンマテオでアナリストやメディア向けのイベント「Analyst Day」を2月23日〜24日に開催。基調講演では、同社の新しい取り組みである「The Stratus Project」や、今後発表される「EX2500」「EX8216」「SRX3400/3600」といった新製品のポートフォリオが紹介された。

ジュニパーの高信頼性をデータセンターのほかの機器にも

イェン氏写真 米ジュニパーネットワークス エマージングテクノロジ担当エグゼクティブバイスプレジデント デビッド・イェン氏

 The Stratus Projectは、ジュニパーが進めている大規模プロジェクトの総称。ジュニパーだけでなく、データセンターにかかわるさまざまなベンダとの連携を前提に進めているプロジェクトだという。ジュニパーは創業以来、10年以上にわたってキャリア向けに高品質・高信頼性である「ハイパフォーマンスネットワーキング」をウリに、コアルータ分野で実績を積み上げてきた。このプロジェクトでは、このジュニパーが信頼を積み上げてきた「ハイパフォーマンスネットワーキング」の品質を、データセンターのストレージやコンピューティングなど、そのほかのさまざまな分野でも提供することを目的としている。

 例えば、規模の面では数万個のギガビットイーサネットポートをサポートするほか、10万分の1のレイテンシ(遅延)を実現し、単一障害(single point of failure)がなく、セキュリティが密接に統合されているような施設を目指す。

 同プロジェクトを担当するエマージングテクノロジ担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるデビッド・イェン(David Yen)氏は、「The Stratus Projectによって、信頼性と拡張性の高いファブリックを選べるようになるほか、消費電力や運用コストなど、現在データセンターの運用で問題となっている部分を緩和できるはずだ」とコメントした。

 また、同氏は、The Stratus Projectに関連してクラウドコンピューティング分野において米IBMと協力することも発表した。これは、IBMのクラウドコンピューティングの取り組みに対して、ネットワークインフラ部分などをジュニパーが提供するというもの。この協力では、大陸間の仮想化されたクラウドコンピューティング環境を実現する予定だとした。

 そのほか、The Stratus Projectの製品構成や価格、発売時期、提携企業については詳細は明かされず、決まり次第随時発表していくという。

エンタープライズ向けスイッチは1年間で50万ポート、400社の導入実績

 ジュニパーは約1年前の2008年1月に、エンタープライズ向けスイッチ市場への参入を発表。「EXシリーズ」を市場に投入した。

シェス氏写真 米ジュニパーネットワークス イーサネットプラットフォームビジネスグループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャ ヒテシュ・シェス氏

 エンタープライズスイッチ市場は、シスコに代表される先行各社がしのぎを削る激戦区。ジュニパーは、キャリアネットワークの中枢を支えるコアルータの信頼性をこのエンタープライズ向けスイッチへ提供することで、「同市場でも高い信頼性を求めるユーザーニーズに応えられる」という狙いを持って、参入している。

 その後約1年間の実績について、イーサネットプラットフォームビジネスグループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャ ヒテシュ・シェス(Hitesh Sheth)氏は、「2008年に50万ポート分のスイッチを400社に販売。エンタープライズ分野の売り上げは22%増加した。やはりEXシリーズの強みは、キャリアクラスの信頼性を持ちながら、OSがJUNOSに統一されていることからくるシンプルさだ。そのほかSRXシリーズであれば、3層構造だったネットワークを1階層に圧縮できる。このような特徴が評価された結果だ」と説明した。

 例えば、米国の金融機関であるRaymond James社の場合、データ取り扱い量が多いことから、ファイアウォールのパフォーマンスにこだわった結果、ジュニパーの「SRXシリーズ」を導入したという。また、PUMAは500店舗にルータとファイアウォールなどを導入した結果、ネットワーク運用コストを41%、データセンターの消費電力を44%削減できたという。

 シェス氏は、「このように、エンタープライズ市場においても、徐々に存在感を強めている」とアピール。さらにシェア拡大を目指すための今後の製品ロードマップを発表した。まず、EXシリーズでは、初のシャーシ型スイッチとなる「EX8208」をすでにリリース。EX8208の上位機種に当たる「EX8216」を2009年第2四半期に、24ポートの10GbEを搭載するボックス型スイッチ「EX2500」も2009年第2四半期にリリースするとした。また、セキュリティ製品では、消費電力とスペースを従来機より削減した小型機「SRX3400/3600」を2009年第1四半期にリリースすることを明らかにした。

 シェス氏は、「EX8208は、iTunes上の楽曲1000万曲を5分間で転送できるパフォーマンスを持ったスイッチだ。このように、エンタープライズ市場においても、高信頼性と高性能を提供する。それが結果として、TCOやITコストの削減につながり企業に認められるはずだ」とコメントした。

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