HP、加速的重複排除対応の新仮想テープライブラリ遠隔データバックアップを実現

» 2009年03月06日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は3月5日、企業向けの事業継続・災害対策ソリューションを発表した。ソリューションの中核は中堅大規模向けの新しい仮想テープライブラリ製品で、日本HPは「運用はテープっぽいが性能はディスク」と既存のテープ運用環境との親和性の高さを強調している。

 発表したのは企業データの遠隔バックアップを実現する「HP StorageWorks VLS9000」(価格は1134万円から)と、中堅規模での利用を想定する「HP StorageWorks D2D4112 Backup System」(483万円から)。VLS9000はシングルノードの容量が最大7.5TBで、8ノードまで拡張可能。1ノード当たり最大で16の仮想ライブラリ、128の仮想ドライブを構築できる。D2D4112は最大18TBの容量が利用でき、最大24台のサーバのデータバックアップを取ることができる。

HPのストレージ製品のラインアップ

 従来のテープドライブを使ったストレージでは、遠隔バックアップのためにテープメディアを搬送する必要があったが、VLS9000、D2D4112は「低帯域レプリケーション機能」を実装。バックアップサイト側にもVLS9000、D2D4112を配置することで、狭帯域なIP WANネットワーク経由でバックアップサイト側に差分データを転送し、レプリケーションを実行できる。これまでテープドライブで行っていたバックアップ環境を生かしつつ、短時間のリカバリやメディア管理の容易さなどディスクドライブによるメリットを得られる。

遠隔バックアップの構成イメージ

 VLS9000、D2D4112ともデータの圧縮機能があるが、その方法は異なる。VLS9000は加速的重複排除(ポストプロセス重複排除)と呼ぶ機能で、オリジナルデータを仮想テープライブラリに書き込んだ後に重複データを削除する。フルデータを一度書き込むために大容量ストレージが必要になるが、バックアップ/リストア処理は短時間になる。100TB以上のデータを運用するような大規模環境に向くと日本HPは説明している。

 対してD2D4112が採用する「動的重複排除」(インライン重複排除)は重複データを排除しながら仮想テープライブラリにデータを書き込む方式。バックアップ処理に時間はかかるが、ストレージ容量は少なくて済む。中小規模環境に最適という。

日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部 担当マネージャの宮坂美樹氏

 日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部 担当マネージャの宮坂美樹氏は、「対象とする業種、業界は問わない」として中堅から大企業をターゲットに幅広く提案する考えを示した。

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