クリックテック、“母も使える”BIで日本に本格進出“連想”を用いた特許技術で柔軟なデータ操作を実現

» 2009年03月10日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 BIツールを提供するクリックテックは3月10日、日本市場に本格参入すると発表した。従来のBIツールで求められてきたデータ事前集計の必要性がないほか、全データをハードディスクではなくメモリ上で展開可能とし、導入の短期化、演算の高速化を実現したBI製品「QlikView」の拡販に注力していくという。2007年、クリックテック日本進出を目的として神戸に設立したサイロジックを総販売代理店とし、当面は3社のパートナーを通じて販売、今後3年間で1000万ドル(約9億9000万円)の売り上げを目指すという。

 クリックテックは米国に本社を置くスウェーデンのBIソフトウェアベンダ。製造、金融、運送業など、92カ国に1万社以上の導入実績を持ち、2008年は1億2000万ドル、対前年比50%増の売り上げを記録した。QlikViewは、現業部門のエンドユーザーに高度な分析機能と優れた使い勝手を提供することを目指して開発した製品で、従来のBI製品とは異なる動作原理を採用しているという。

 米クリックテックのシニアバイスプレジデント アンソニー・デイトン(Anthony Deighton)氏は、「“連想”を用いたデータ操作の特許技術と、全データをメモリ上で展開するインメモリ方式のサービス提供が最大の特徴だ。これらによって、あらゆる企業にとって真に導入しやすく、使いやすいBIを実現している」と強調する。

写真 米クリックテックのシニアバイスプレジデント アンソニー・デイトン氏

 通常、BIツールを導入する際には、大量のデータを効率よく扱うために、データを一定のルールに沿って整理、加工する「正規化」を行う。しかしQlikViewの場合、“連想”を用いた同社独自のデータ操作手法によって、通常の正規化とは異なる“超正規化”を行い、全データをドキュメントファイルに変換するのだという。

 これにより、通常の正規化ではデータ量を大きく削減することが難しい中、「元のデータを欠落させることなく、データ全体を5分の1から20分の1に縮小できる」(デイトン氏)。さらに、ドキュメントファイルに加工することで、全データをメモリ上で展開可能となる。こうした原理から、インメモリ方式を採用することによって、データベースやハードディスクドライブの性能、処理速度の影響を受けることなく、高速な演算処理を可能にしているのだという。

 「従来のBIツールは、大量のデータを扱う場合、データベースやハードディスクの性能に依存する部分が大きかった。そこで、“OLAPキューブ”など、前もって明細データを統計処理した“中間集計データ”を作成し、扱うデータ量を削減して、パフォーマンスを維持していた。しかしQlikViewの場合、特許技術によってデータを縮小することで、導入前の中間集計の必要性をなくした。これにより、通常は数ヶ月〜数年かかる導入期間を、数日〜数週間まで短縮している」(デイトン氏)

 さらに、従来のOLAPツールの場合、導入時に設計した階層構造に沿った形のデータ検索しかできなかったが、中間集計を行わないQlikViewには規定された検索パスが存在しない。「そのため必要な情報を、どんな角度からでも自由に検索できる。機能については、BIの専門知識を持たない──例えば私の母でも使える扱いやすさを目指した」(同氏)

写真 米クリックテック CEOのラース・ビョーク氏。現在のQlikViewはバージョン8だが、5月6日にはバージョン9を発表予定。iPhoneにも搭載可能にするという

 米クリックテック CEOのラース・ビョーク(Lars Bjork)氏も「従来のBIツールは分析機能と扱いやすさを両立することが難しかったが、QlikViewはあくまでビジネスユーザー主導を目指した製品。使い勝手の良さと高度な機能により、投資コストを短期間で回収できるはずだ」と力説した。

 日本では最小構成で約250万円から提供する。また、開発ツールを15日間運用できるダウンロードトライアルと、ユーザーライセンスを1ヶ月間、無料で提供する総合検証サービスを実施するほか、納入後30日間の返金保証も行う。日本総代理店、サイロジックの代表取締役CEOの垣田正昭氏は「あらゆる業態に詳しい販売パートナーとともに、各社のビジネスを確実に後押しできるよう、導入後も継続的にサポートしていく」と話している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ