インフォファーム、“和の心”で中堅向けSFA/CRM市場に進出「日本企業の要は、コミュニケーションと知恵の創出にあり」

» 2009年04月02日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 システムベンダのインフォファームは4月2日、中堅企業向けSFA/CRM製品「戦略箱 ADVANCED」を4月16日に発売すると発表した。コミュニケーションを大切にしてきた日本企業ならではの文化を重視し、日報や掲示板のほか、スケジューラにもコメント機能を搭載するなど、組織内コミュニケーション支援機能を充実させた点が最大の特徴だという。日本オラクル、ベリングポイントをはじめ、販売パートナーとの協力体制の下、パッケージ単体ではなく、導入コンサルティングを含めて「1件1件ていねいに」提供していくという。11月以降はSaaS提供も行う。

 インフォファームは岐阜県に本拠を置くシステムベンダ。1969年の設立以来、地元企業を中心にシステム開発を請け負い、企業としての基盤を拡大。2004年からは全国、海外にも進出し、積極的な拡販に乗り出している。「InfoFarm 戦略箱」も10年以上販売してきた製品であり、今回で3度目のフルモデルチェンジになるという。インフォファーム代表取締役社長 辻博文氏は次のように解説する。

写真 インフォファーム代表取締役社長 辻博文氏

 「ここ数年、SFA/CRMが再び注目を集めているが、これらの製品は導入されても実際の稼働率は低いといわれている。実際に使ってもらうためには、まず自社の課題を洗い出し、業務プロセスの現状、あるべき姿を検討しなければならない。そのうえで導入しなければ、業務にそぐわず使ってもらえなかったり、効果が出なかったりと、まず失敗に終わると言っていい。その点、InfoFarm 戦略箱は長年のコンサルティング経験を通じて、顧客企業の声を聞きながらまじめに作り上げてきた製品。最新版となる戦略箱 ADVANCEDも、日本企業の文化、商習慣を盛り込んだ“和の心”を持つSFA/CRMとして、コンサルティングを含めて、自信を持って提案できる」(辻氏)

 具体的には、組織内コミュニケーションを支援する機能を重視したという。一般に、営業活動は、まず顧客を発掘し、アプローチし、価値を提供して継続的に囲い込む、といったプロセスを踏む。その発掘、アプローチ、囲い込み、それぞれの段階でPDCAサイクルを回してスパイラルアップを狙うが、同社では、「PDCAサイクルを回していても、その結果がきちんと次のアクションにつながっていないのではないか」(インフォファーム常務取締役 大友康宏氏)と問題提起する。

写真 戦略箱 ADVANCEDのUI。各種コミュニケーション機能の充実と、確実に使ってもらえる使い勝手を備えた。表示するデータ項目やアクセス権など、細かなカスタマイズが可能なほか、カスタマイズ後も、設定した機能に影響なくバージョンアップが行えるという。

 「PDCAサイクルを回しても、その結果を分析するだけでは意味がない。計画から結果に至るまでのプロセスの中で、次のよりよいアクションにつなげるための知恵を出さなければならない。そのためには組織内の適切なコミュニケーションが不可欠だ。従来のSFA/CRMの多くは、プロセスの結果管理・分析が主体だったが、戦略箱 ADVANCEDは“知恵を創造する”コミュニケーション支援に力を入れている」(大友氏)

 中でも特徴的な機能が、スケジューラに対するコメント機能だ。日報や掲示板に対するコメント機能は一般的なグループウェアも装備しているが、これらはいわば“行動後の結果”に対してコメントを寄せるもの。一方、スケジューラは予定を入力するものであるため、「スタッフの活動に対して事前にコメントできることで、真に意味のあるアドバイスができる」(大友氏)という。

 1人1人の商談状況や活動履歴が共有できる点も特徴だ。それも「原価算出をSEに依頼する」といった作業レベルの粒度まで入力、共有可能なため、各スタッフの作業負荷を容易に把握できる。余裕のあるスタッフが「そのタスクを引き受けようか」といったコミュニケーションを取ることも可能だ。また、各営業案件について詳細に記録が残り、閲覧できるため、例えば成功事例の細かなプロセスを学ぶなど、スタッフ育成にも寄与する。「人脈のつながり」という観点による顧客管理「リレーション機能」を備えている点なども「“和の心”を重視した」一環といえそうだ。

 このほか、よく使う機能、よく閲覧する情報への素早いアクセスを可能にする「検索ブックマーク」「情報ブックーク」機能や、携帯電話の辞書感覚で情報入力ができるインクリメンタルサーチなどを搭載。使い慣れたExcel上でのマスタデータ整備を支援する「Excelエクスポート/インポート機能」などを装備し、「使い勝手にはとことんこだわった」(大友氏)という。

写真 開発に参画したベリングポイント CRMソリューション統括責任者マネージングディレクター 執行役員の中本雅也氏も「コンサルティングにおいても、安心して勧められる」と解説した。

 なお、戦略箱 ADVANCEDの開発にはベリングポイントが参画したほか、製品自体もOracle Internet Application Serverをはじめ、IBM WebSphere Application Serverなど複数のアプリケーションサーバに対応している。販売活動もパートナー企業との協力体制の下で展開するという。

 価格は50ユーザーライセンスで500万円(税別)。51ユーザーからは1ユーザーライセンス当たり6万円(税別)で提供。辻氏は「競合ベンダに比べると知名度・認知度は低いが、導入企業の90%以上が実際に使い、効果を上げている点で、製品については確固たる自信を持っている。日本企業の文化、実態に即した製品として、パートナー各社の協力を得て、広く訴求していきたい」と話している。

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