「次のステップはストレージ仮想化」、HPが製品強化複数SANを仮想化し統合する新製品も

» 2009年04月15日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本ヒューレット・パッカードは4月15日、ミッドレンジのSANストレージで仮想化技術を搭載した「HP StorageWorks EVA」(EVA)の新製品と、複数のSANを仮想化して単一の論理ストレージとして管理可能にする新製品「SAN Virtualization Services Platform」(SVSP)を発表した。

 日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部の本部長 富岡徹朗氏は、「出荷されるサーバの50%はすでに仮想化されている。次のステップはストレージの仮想化」と話し、同社として仮想化ソリューションを提案することを強調した。HPはEVAの導入サービスも用意する。

日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部の本部長 富岡徹朗氏

 同社 ストレージワークスビジネス本部 担当マネージャの礒佐江氏によると、EVAは世界市場でこれまで6万台を出荷。2008年春の時点では4万台だったので、「ここ1年で2万台と加速度的に売れている」という。同社のブレードサーバ「HP BladeSystem」とVMwareなどの仮想化ソリューション、SANストレージとの組み合わせで売れているという。

 HPはサーバで仮想化が進み、運用管理が統合されるに従って、ストレージの運用管理も注目が集まると考えている。物理ストレージを個別に管理する現在の方法では、ストレージの増設やパフォーマンスチューニングに手間がかかるからだ。その解決策としてHPはストレージの仮想化を提案。4月15日に発表した「EVA 6400」「EVA 8400」はディスクアレイ単位の仮想化が可能な製品だ。論理的なディスクプールを作成して必要なサイズを切り出してLUNを作成できる。複数のディスクを統合管理できると同時に、ディスク容量を効率的に使うことができる。

EVA製品のラインアップ

 EVA 6400、EVA 8400ともvRAID6に対応。EVA 6400は最大216個、EVA 8400は最大324個のディスクアレイを搭載できる。ファイバチャネルのほかにFATA、SSDをサポート。従来製品のEVA 6100、EVA 8100と比べると、EVA 6400、EVA 8400はそれぞれTB当たりの単価を最大28%低減させているという。EVA 6400の最小構成価格(146GB ファイバチャネルHDDが8基)は784万3500円(税込)から、EVA 8400の最小構成価格(146GB ファイバチャネルHDDが8基)は1737万7500円から。

4月15日に発表された「HP StorageWorks EVA 8400」

 SVSPは「EVAの最上位に位置付ける」(礒氏)製品で、異なる環境のSANを仮想的に統合して、単一のストレージとして管理可能にするアプライアンス。コントローラの機能の持つ「データパスモジュール」とx86ベースの管理サーバで構成し、ボリューム複製ソフトウェアやシン・プロビジョニングのソフトウェアを搭載する。SANスイッチとはファイバチャネルで接続する。SANを仮想的に統合することで「20%程度といわれるSANの容量利用率を60〜70%にアップさせる」(礒氏)という。

SVSPの概要

 SVSPはHPのSANストレージ以外も統合可能で、現在はIBM、EMC、NetApp、サン・マイクロシステムズのストレージに対応。「国産ベンダのストレージにはまだ対応していない」(日本HP)。

 日本HPの富岡氏によると「EVAを一番売っているのが米国で、2番目が日本」。2009年は前年と比較して、国内出荷台数で30%アップを目指す。

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