「国際物流はパートナーシップがカギ」、米オラクルグローバル輸送管理アプリケーションの最新版が登場

» 2009年04月24日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本オラクルのプライベートイベント「Oracle OpenWorld Tokyo」で4月24日、「グローバル物流網の全体最適とコスト削減を実現」と題し、米オラクル・コーポレーションのバイスプレジデント SCM製品戦略担当のジョン.S.コーリー氏が講演を行った。コーリー氏は、金融情勢が変動し続ける不安定な状況の中、常にジャストインタイム輸送やコスト削減が求められる国際物流業務の現状を挙げ、「いまこそグローバル物流の最適化を見直すことが重要だ」として、同社が4月7日にリリースした輸送管理ソリューションの最新版、「Oracle Tranportation Management 6.0」(以下、OTM)の機能を紹介した。

写真 米オラクル・コーポレーションのバイスプレジデント SCM製品戦略担当のジョン.S.コーリー(Jon S.Chorley)氏

 企業が自社のサプライチェーンを運用するうえでは、原材料のサプライヤをはじめ、サードパーティの輸送会社、船舶会社など、複数のパートナーの協力が不可欠となる。そうした中、無駄なく製品を生産し、不良在庫や滞留在庫をゼロにすることを目指しつつジャストインタイム配送を行うのは、決して容易なことではない。サプライチェーンの最適化を図るためには関係会社間の「経営問題」として、その主体企業がパートナーとのきめ細かな利害関係調整と、確実に業務を遂行できる協力体制作りを行うことが大前提とされている。

 そしてもう1つ、全体最適化の必須条件となるのが「情報」だ。現在、自社のサプライチェーンには、「どのようなリソースがあり、それらを運用するうえではどんな制約条件があるのか」といった情報を基に、「どんな経路で、どの手段を使い、どう運べば効率的なのか」を策定しなけれぱならない。さらに、「計画通りに運ばれているか、途中でトラブルがあった際はきちんと例外対応ができているか」といった輸送情報もリアルタイムに把握することが求められる。すなわち、サプライチェーンのブラックボックス化を防ぐことが、最適化の前提条件となる。

 OTMはそうしたサプライチェーンの運用、可視化を支援する。具体的には、一連の機能別モジュールで構成されており、納期・コストなどの条件に合わせて最適な輸送手段・ルートを提示する「輸送最適化」、積荷の形状や容積など、輸送上の制約に合わせて効率的な積載パターンを提示する「積載最適化」、サードパーティの輸送会社やサプライチェーン構成各社との情報連携を実現する「輸送実行管理」機能などを用意している。

 また、輸送製品の所在をリアルタイムで追跡する「可視化」、入出庫など各種イベントを監視し、計画通りの実行が難しい場合、関係者にアラートを発信するなど計画の修正を支援する「イベント管理」のほか、2008年3月には輸送関連データを分析、レポーティングするBI機能も追加した。バージョン6.0では、個々のドライバーとの契約内容の管理や、コンテナなどの資産管理を支援し、適切なコスト運用をサポートする「フリート管理」モジュールも用意し、サプライチェーンのより確実な運用を可能にした。

写真 OTMはグローバル物流の最適化に求められる一連の機能をモジュールとして網羅。

 コーリー氏は「グローバル物流は関係各社間のパートナーシップ、協力関係が不可欠。輸送業務には、一連のプロセスがあり、そのそれぞれにサプライチェーンの各プレイヤーがかかわっているが、OTMはそうした各プロセスで必要となる機能を、関係各社も利用できる点が1つの特徴だ。いわば、OTMを関係各社の共通プラットフォームにできることで、真の協力体制が構築できる」とアピールした。

 その裏付けとして、マルチERPサポートを紹介。オラクルのE-Business Suite、JD Edwards、Siebelなどはもちろん、SAPや手組みシステムも含めて、OTMと統合できるという。これにより、パートナー各社が異なるベンダのERPを使っていても、販売、購入、製造、倉庫管理なども含めて、あらゆる情報を正確に把握できる──すなわち、「OTMをグローバルな輸送ハブとして機能させられる」という。

写真 OTMのシンプルで使いやすいUI。カスタマイズも可能だ。

 関係各社の使い勝手にも配慮した。多言語対応はもちろん、情報入力画面などのUIもカスタマイズ可能なほか、関係者への通知、送り状の監査など、比較的ミスを誘発しやすい業務プロセスを自動化するワークフロー機能も備えている。これまでの導入実績も豊富で、米クラフトフーヅはOTM導入後、50万マイル分の空荷走行距離を削減、建材メーカーの米ペラ社は輸送管理プロセスが57%加速するなど「着実に実績を残している」という。

 コーリー氏は「グローバル物流は、船、飛行機、トラック、鉄道というマルチモードの手段を組み合わせた、効率的な輸送計画の策定をはじめ、その輸送をモニタリングし、トラブルがあれば即座に対応できる確実性や、輸送の問題点を分析し、継続的に効率化を図る姿勢も重要だ。OTMはそれらをサポートする機能をすべて備えている。今後も順次、追加モジュールをリリースし、グローバル物流の最適化を支援していく」とまとめた。

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