富士通グループが再編、中堅市場にらみFJB完全子会社化GLOVIA smartを新生FJBに移管へ

» 2009年05月22日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 富士通は、52.55%出資する富士通ビジネスシステム(FJB)を株式交換で完全子会社化し、グループ全体の中堅市場への取り組みを強化すると5月21日に発表した。富士通の中堅市場向けERPパッケージ「GLOVIA smart」をFJBに移管するなど、「グループの中堅向けビジネス機能をFJBに集約する」(富士通の取締役副社長 広西光一氏)。

富士通の取締役副社長 広西光一氏

 完全子会社化は8月1日。東証1部上場のFJBは7月28日に上場廃止になる予定。新生FJBは10月1日に始動するという。新生FJBには富士通グループの中堅市場向け営業機能、製品・ソリューション、パートナー連携機能を集約する。製品・ソリューションでは開発以外の企画、販売促進、デリバリ機能をFJBに移管。10月にはGLOVIA smartを移し、製品力を強化する。IAサーバを中心にプラットフォームとソフトウェア、サービスを一体化した新商品を開発する。SaaSソリューションにも力を入れる。

 富士通は今春から、製品やサービス、海外子会社、国内子会社などのグループ体制を整理している。しかし、国内市場では「FJBの役割が明らかでなかった」(広西氏)。富士通本体とFJBが同じ顧客に提案するなど「ぎくしゃくするところがあった」という。完全子会社化することでグループにおける役割を明確にする。富士通グループの中堅市場での売上規模は2008年度で3500億円だが、2013年度には5000億円に拡大させることを目指す。

 FJBの2009年3月期の売り上げは1520億円。同社 代表取締役社長の鈴木國明氏によると、そのうち中堅市場からの売り上げは500億円程度で、大企業顧客からの売り上げも500億円程度ある。官公庁からは200億円強。中堅市場向け機能をFJBに集約することで、中堅企業からの売り上げは増加するが、大企業からの売り上げは減少が予測される。それでも「FJBが富士通と同じスタイルの“ミニ富士通”になるとグループとしての力が出ない。役割分担が必要」(広西氏)と考え、完全子会社化を決めた。

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