変更管理やExcelからの移行が簡単な内部統制対応ツール部署ごとや勘定科目ごとに業務プロセスを表示可能

» 2009年05月22日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 各社の2009年3月期決算発表もあらかた終了し、これから株主総会を迎える企業が多い。そして、今期決算で注目を集めているのが、適用初年度となる日本版SOX法に基づく「内部統制報告書」だ。

 SOX法の施行で先行する米国では、2年目以降も欠陥の修正などに追われた企業が多いという。日本においても2年目以降、組織変更や事業内容の追加や変更など、業務内容に変化があればその都度、いわゆる「3点セット:業務フロー図、RCM(リスク・コントロール・マトリックス)、業務記述書」の作成や追記などが必要になってくる。その際、有効なのがITツールだ。初年度にやむを得ずExcelなどで作成・管理していた場合には、特に有効だという。

 そんな中、アイ・ティ・エル(以下、ITL)では、内部統制支援ツールとして「QPR J-SOX」を提供。QPR J-SOXは、バランススコアカードサポートソフトウェア「QPR ScoreCard」とプロセス可視化ソフトウェア「QPR ProcessGuide」と日本版SOX法向けテンプレートを組み合わせた製品。価格は500万円から。

 QPR J-SOXの特徴は、ExcelやVisioなどで作成した業務フローを変換し、QPRのデータベースに格納できる点だ。これにより、いままで分散していた業務フローなどをデータベース上で一元管理ができるようになり、関連文書や評価結果などと連携させることが容易になるという。ITL 取締役会長 久住呂厚平氏によると、「金融庁のガイドラインの発表が遅かったこともあって、東証一部上場の大企業でも半数程度はExcelなどで個別に管理しているケースが多い。Excelではメンテナンスが大変なので、変更管理が重要になってくる2年目以降はデータベースで一元管理するのが有効だ」と説明した。

 例えば、Excelなどで管理している場合、組織名の変更があると、それぞれのExcelシートの文字を置換して対応しなければならない。一方、データベースに保管しておけば、マスタデータベースで部署名を変更すれば、関連文書すべてが自動的に書き換えられる。また、RCMも自動的に出力するという。

 また、QPR ScoreCardで構築したデータを一覧できる「QPR Portal」を利用すれば、評価・テスト結果を業務項目別に「問題なし」「若干の問題」のように一覧表示可能。テスト結果は赤・黄・青の信号表示にしているため、視覚的に問題を確認できる。各評価項目は、ドリルダウンすることで詳細を閲覧可能になっている。そのほか、経理部門や購買部門といった組織ごとに業務フローを表示できる機能や、売上高や買掛債務といった勘定科目ごとにプロセスを表示することも可能だ。

 このように組織や勘定科目ごとに業務フローを表示できるため、2年目以降の変更管理の工数を減らすことができる。また、評価やテスト結果も視覚的に分かりやすく、ドリルダウンで関係部署を表示することもできるので、特定のリスクをつぶしていく作業にも有効だ。

 久住呂氏は、「初年度はそれなりの予算を投じて、人海戦術で対応した企業も多いが、この経済情勢下、2年目も同様に取り組むのは難しいだろう。そこで、QPRシリーズのようなツールを利用すれば、業務フローの変更管理が楽になるはずだ」とコメントした。

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