「弥生 09」、販売本数のシェアを3.5%拡大商品力、サービス力、半額キャンペーンなどで中小企業を支援

» 2009年05月28日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 弥生は5月28日、戦略発表会を行った。2008年12月5日に発売した「弥生09シリーズ」の量販店における販売統計を取ったところ、販売本数は3.5%、販売金額では5.2%、シェアが向上したという。今後も、2009年6月15日から9月30日まで「今なら半額! 弥生でITコスト削減キャンペーン」を実施し、「弥生会計 09ネットワーク」「弥生販売 09ネットワーク」を半額で提供するなど、さらなるシェア拡大に努めるという。

 同社は2008年10月、2009年度の基本戦略として“原点回帰”を掲げ、「中小企業、個人事業主、起業家の顧客をメインターゲットに据える」と発表。コールセンターによる一般仕訳相談サービスを本格展開するなど、「製品とサービスの両輪で顧客層を支援する」としていた。

 そうした戦略の軸として12月5日、「さらに使いやすさを追求した」という弥生09シリーズを発売。今回、その08年12月から2009年3月までの量販店における販売統計を取ったところ、販売本数のシェアが、昨年同時期の38.8%から42.3%まで3.5%向上、販売額は同じく55.1%から60.3%と5.2%向上したことが分かった。

写真 販売本数、販売金額ともにシェアを拡大

 しかし、昨年秋口からの不況の影響は大きく、弥生の昨年同時期比では販売本数、金額、ともに微減となった。ただ、競合各社も苦戦しており、弥生の昨年同時期比がほぼ90%台で推移しているのに対し、競合各社の平均値は80%台と大きく対前年割れを起こしていることが分かった。

 弥生 代表取締役社長の岡本浩一郎氏は、「昨今の経済情勢の影響もあり、業務パッケージベンダは軒並み苦戦している。しかし弊社の場合、競合各社に比べて落ち込みを最小限に押さえ込むことができた。そのため、営業利益は経費削減でカバーし、対前年比10%以上の増加を記録している。不況の影響を最小限にとどめることができたのは、やはり価格だけではなく、製品の機能や信頼性、サービスによる安心感が奏功した結果だろう。このブランドを今後も大切にしていきたい」と解説した。

2010年末、新製品をSaaSで提供

 一方、製品1本当たり数千円という価格訴求型の戦略で、弥生と同じく、本数・金額ともにシェアを伸ばした競合も少数ながら存在したが、弥生の既存顧客がそちらに流れるといった現象は認められなかったという。これを受けて岡本氏は、「マーケットは、価格の安さを求める顧客層と、“安心”“確実”を求める層に二極分化しているといえる。シェアの面で悪影響を受けていない以上、弥生ならではの信頼性、安心感を軸とする方向性は間違っていないと考える」と力説。今後も顧客の業務に確実に役立ててもらえることを前提に、「製品・サービスを両輪ととらえ、双方に力を入れていく」という。

写真 弥生 代表取締役社長の岡本浩一郎氏

 具体的には、業務系サーバプラットフォームサービスを提供するインストラクション社との連携により、ホスティングサービス、「かんたんホスティング for 弥生会計」を、初期費用10万円、月額費用3ユーザー当たり2万5000円(税抜き)で、6月1日から提供開始する。

 6月15日から9月30日までは「今なら半額! 弥生でITコスト削減キャンペーン」を実施。「弥生会計 09ネットワーク」を、3ライセンス当たり65万1000円のところを32万5500円で、「弥生販売 09ネットワーク」を5ライセンス当たり99万7500円のところを49万8750円で提供するという。

 また、同社は5月28日付で「弥生会計 09ネットワーク」「弥生販売 09ネットワーク」を「Microsoft Windows Server 2008」の低価格サーバプラットフォーム、「Windows Server 2008 Foundation」に対応させたと発表した。これを受けて、「弥生会計 09ネットワーク」「弥生販売 09ネットワーク」と、Foundationサーバ/OSを1セットとして、87万9050円で提供する販売パターンも用意したという。

 なお、昨年から告知していたSaaS関連の取り組みについては、2009年12月に「弥生会計 スタンダード」のダウンロード提供を開始。また、2010年末のサービス開始をメドに、「“既存製品とは異なるまったく新しい製品”をSaaSで提供する予定」だという。岡本氏は、「中小企業、個人事業主、起業家にはまだまだ潜在顧客が存在する。確実、安心という弥生のブランドで既存顧客を堅持しつつ、さらなるシェア拡大を狙いたい」と話している。

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