“Excel神”に頼まなくても分析ができるようになるBISAPが「BusinessObjects Explorer」を出荷開始

» 2009年06月09日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAPジャパンは6月9日、BI(ビジネスインテリジェンス)の新製品「SAP BusinessObjects Explorer」(以下、BO Explorer)を発表した。本日より出荷を開始する。

イルグ写真 SAPジャパン 代表取締役社長 ギャレット・イルグ(Garrett J. Ilg)氏

 BO Explorerは、2008年2月に発表したBusinessObjects XI向け検索モジュールである「BusinessObjects PoleStar」と、SAPのBIアプライアンス製品である「SAP Netweaver Business Warehouse Accelerator」(BWA)を初めて統合した製品。最大の特徴は、BWAが搭載している「インメモリ機能」による高速な検索・分析機能だ。

 SAPジャパン 代表取締役社長 ギャレット・イルグ氏は、「現在の世界経済は先行きが不安定で、予測が難しい状況だ。このような現状では、明快さが必要だ。このことからSAPでは『Clear Enterprise』を提唱している。そして、今回発表したBO Explorerはまさに情報を集めるうえで最も強力なツールとなる。例えば、3億6600万個のデータから一瞬で目的の絞り込みを行える。さらにその結果のURLを同僚や部下に送れば、あっという間に共有できる点も大きい」とコメントした。

 BO Explorerの最大の特徴は、PoleStarの簡単で便利な検索機能と、インメモリ機能を生かした検索の速さだ。SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長 福田譲氏はこの点について、「いままでのBIは、『便利なのが分かっているのに活用できていなかった状態』だ。必要な人間が使えないため、結局周りにいる“Excel神”に作業を頼んでしまっていた。BO Explorerの登場で『直感的にすぐできる』ようになったため、ついに“BIが使いこなされる要素”を持ったBIになった」と説明した。

BO Explorerのデモ画面 SAPジャパンの実データを使ったデモ画面。売上高1000億円以上で同社がまだリーチできていない企業を業界別に表示したところだ。それによると、卸売業界が1番多く223社、小売業界が123社と続いている。この分析も一瞬でできた

 BO Explorerの構成は、インメモリ機能を搭載したBWAと連携して高速な検索を実現した「Acceleratedバージョン」と、データ量の少ないユーザー向けにインメモリ機能を搭載していない「SAP Netweaver Business Warehouse」と連動する「通常版」を用意している。同社によると、2010年にはSAP Netweaver Business Warehouseがオープン化されるため、すべてのデータウェアハウスにBO Explorerが対応するようになるという。

 福田氏がSAPジャパンの実データを用いて行ったデモでは、売上高1000億円以上の日本企業で同社がリーチできていない企業1144社をリストアップ。その1144社を業種別や、地域別にドリルダウンしていき、最終的にはリーチできていない企業を多く持つ営業担当者をわずかな時間で絞り込むことができた。

 福田氏は、「いままでExcelに頼ってきたものを置き換えることができる。まったく新しい形のBIといえるBO Explorerは、既存のXcelsiusなどとは補完関係にある。また、オープン化を進めていくことで、オラクルやIBMなどとも連携強化できるはずだ。何よりも経営者やアナリストにとって『ふと思いついたこと』や『ちょっと思ったこと』を気軽に検索・分析できるようになったことはかなり大きい」とコメントした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ