できそうでできなかった“DBのILM”を可能にオラクルと富士通が共同検証を実施

» 2009年06月16日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本オラクルと富士通は6月16日、オラクルのデータベース技術と富士通のストレージシステム「ETERNUS」を用いたデータベース向けILM(Information Lifecycle Management:情報ライフサイクル管理)ソリューションの共同検証を実施したと発表した。

有川氏写真 富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージ事業部 事業部長 有川保仁氏

 ILMとは、データの重要度や利用頻度などの変化に応じて、それを格納するのに適したストレージへデータを適宜、移動するソリューション。一般的には、アクセス数が多く、重要度の高いファイルは高性能ストレージに格納し、アクセス数が中程度になると低コストストレージへ、アクセス数が少なくなるとテープなどに移動する。ただし、このアーキテクチャはファイル管理には向いているものの、常にアプリケーションがアクセスし、データ更新されるデータベースには向いておらず、実際データベース向けILMは存在しなかったという。

 日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏は、「従来のアーキテクチャでは、データベースのILMは困難だった。しかし、データベースは常にハイエンドストレージを利用しないといけなかったのでコストが高く、ILMへの対応ニーズが高まっていた。そこで、オラクルではOracle Database 11gより新機能としてILMに対応。さらに今回の検証で正式に対応できることが分かった」と説明した。

実験写真 今回共同検証した「Oracle GRID Center」内の様子。「ETERNUS 4000」が現在も稼働しており、実験を継続中だ

 今回の共同検証では、Oracle Database 11gの「Oracle Partitioning」と「Oracle Real Application Clusters 11g」を活用。ハードウェアには、富士通のミッドレンジストレージシステムである「ETERNUS4000 モデル500」とUNIXサーバ「SPARC Enterprise M4000、M3000」を組み合わせて実施した。「米国では、NASDAQがOracle DatabaseでデータベースILMを実現している。ILM化したことで、すべてのデータを高性能ストレージに配置するコストと比較して約85%削減となる129万ドルのコスト削減を実現できている」(三澤氏)といった実例もあるという。

 共同検証では、ETERNUS 4000内に高速なFCディスクと、中速のSATAディスクを用意。Oracle Partitioningの機能で分割したデータを、高速なFCディスクから中速SATAディスクへのデータ移動検証や、SATAディスクのデータに対する業務処理の性能検証を行ったという。

 ILMに伴うデータ移動に関しては、「Oracle Partitioning」の機能であるMove Partitionによるデータ移動と、ETERNUSが搭載するRAIDマイグレーションを利用したデータ移動の2つの手順を検証し、どちらも行えることを実証した。

 今回、日本でもデータベースILMができることを実証したことで、両社は今後データベースILMを推進するためのアセスメントサービス「Roadmap to Green Storage」を提供するほか、データベースILMソリューションに関する共同セミナーも開催する予定だ。

 富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージ事業部 事業部長 有川保仁氏は、「今回の共同検証によって、データベースILMが日本でも実証された。また、今回提供するデータベースILMソリューションを利用することで、従来実現が難しかったデータベースILMの運用手順も実証できた点は大きい」とコメントした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ