コスト削減ツールとしての帯域制御が人気ビデオカンファレンスで出張費削減も流行

» 2009年07月13日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 社内を流れるデータ量が増加し続けている。最近では動画や音声など、データ量の多いコンテンツが増加したことで、社内トラフィックを効率的にさばかないと、ネットワーク回線に負担がかかり遅延が発生する。しかし、企業内においては基幹業務の重要データなど“遅延させてはいけないデータ”が存在する。そこで注目を集めているのが、アプリケーションを加速する製品や、データの中身に応じて適切な帯域を割り当てる帯域制御アプライアンスだ。

 WAN最適化ベンダであるブルーコートシステムズの米ブルーコートシステムズ プロダクトマーケティング担当シニアディレクター マーク・アーバン(Mark Urban)氏に話を聞いた。

アーバン氏写真 米ブルーコートシステムズ プロダクトマーケティング担当シニアディレクター マーク・アーバン氏

 PacketShaperはブルーコートが提供するネットワーク帯域制御アプライアンス。ネットワーク内を流れるデータを解析・可視化し、ポリシーに則ってリアルタイムに帯域を制御する。例えば、「ERPに関する重要データには優先的に帯域を割り当て、動画は抑えこむ」といった管理ができる。また、WebプロキシをベースにしたWAN最適化アプライアンス「ProxySG」は、プロキシとして各種セキュリティ機能を提供するだけでなく、コンテンツキャッシュ機能で高速なWebアクセス環境を提供する。アーバン氏は、「このような経済環境下においても、2009年4月期の決算は前年比46%増だった。これは帯域制御市場全体と比較しても高い数値だ。それだけニーズがある」と説明した。

 同氏によると、最近のニーズとして多いのは「コスト節約ツールとしての帯域制御」だという。帯域制御アプライアンスを導入し、「ネットワーク回線を増強せずに、パフォーマンスやユーザー満足度を上げる」ことで、ネットワーク回線への投資を先延ばしするニーズが増えているというのだ。つまり、データ量が増加し続けているのに比例してネットワーク回線を増強するのではなく、ユーザーニーズやデータの重要性に応じたポリシーを策定し、それに応じた帯域制御を加えることで、ユーザーの不満を増やすことなく、投資を抑えることができるという。この手法についてアーバン氏は「ROIが高いため、このような経済環境では非常に受けている。特に国際回線では効果が大きい。当社では、ROI効果を実感してもらうために、ROIを計算して提供するサービスを提供している」と説明した。

 また、帯域制限の用途として人気があるのが「ビデオカンファレンス」だという。帯域制御を行いビデオ会議用の帯域を優先的に付与することで、出張回数を減らすことに関心を持つ企業が非常に多いという。「出張を減らしても、帯域確保のために新たに通信回線を強化したのでは、出張を減らす意味が減ってしまう。帯域制御を利用したビデオカンファレンスを取り入れることで出張費を減らせるか、という質問をよくされる」(アーバン氏)と説明する。実際、米国の調査会社フォレスターリサーチの場合、役員会議をテレカンやビデオ会議へ移行したことで、1回当たりの会議にかかっていた出張移動費を1万5000ドル削減できたという。

 最後にアーバン氏は、今後注力していく分野として「引き続きビデオストリーミングやビデオカンファレンス分野に注力していく。また、HTTPSにも対応していきたい。また、パートナーと組んでさまざまなマネージドサービスも拡充していきたい」と語った。

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