インフォア、アップグレードリスクを低減する保守プログラムアップグレードや製品切り替えも割安で提供

» 2009年07月30日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 インフォアは7月30日、新しい保守契約プログラム「Infor Flex」を発表した。従来のサポート価格と同価格ながら、最新バージョンへのアップグレードや同社の別製品へ追加ライセンス料を無料で交換できるほか、移行時の作業コストも当初の見積もり額以上のコストを取らない新しい考え方が取り入れられている。

市東氏写真 日本インフォア・グローバル・ソリューションズ 常務執行役員 市東慎太郎氏

 Infor Flexは、従来の保守サポート費用と同額(年額ライセンス料の20%)で利用可能な新しい保守契約プログラム。旧製品から最新製品へのバージョンアップを支援する「Infor Flex Upgrade」と、ほかの製品への移行を支援する「Infor Flex Exchange」の2種類のプログラムが用意されている。

 日本インフォア・グローバル・ソリューションズ 常務執行役員 市東慎太郎氏は、Infor Flexをリリースする背景について、「インフォアは創業7年の会社だが、すでに40社以上を買収し、100種類以上の製品群を持っている。買収した企業のユーザーの中には、10年〜20年前のバージョンをまだ使い続けているユーザーもいる。例えば、当社製品は製造業の生産管理系に強いが、工場は一度稼働したらなかなかシステムを変えることができないため、立ち上げ時に入れたシステムを工場閉鎖まで使うケースもある。このようなユーザーにリスクを抑えつつ、最新バージョンの機能を提供するために考えたプログラムだ」と説明した。

 前述のように、製造業を代表とする「システムを絶対止められない」企業の場合、バージョンアップのリスクを警戒するあまり、新バージョンの機能が魅力的であったとしても、リスクを警戒してバージョンアップを控える傾向がある。また、独自のアドオンを追加している場合には、そのアドオンを移行する手間もある。「バージョンアップをしない理由の最も大きなものは、やはり『バージョンアップリスク』だ。バージョンアップに予想以上のコストがかかったり、バージョンアップでシステムが止まったり、必要な機能が移行できなかったり、とバージョンアップによるリスクはかなりある。一方で、古いバージョンでは現在のビジネス環境に対応し切れていないのも事実だ。そのようなユーザーの現状を踏まえてInfor Flexの提供に至った」(市東氏)という。

 これを踏まえたInfor Flexの最大の特徴は、バージョンアップやほかの製品への移行時に発生する作業をメニュー化した点だ。これにより、「当初の要件どおりであれば、見積もり額を超えたコストを請求しない点が画期的だ。追加コストを気にせずに移行できる」(市東氏)とし、移行作業時にありがちな予算超過を防ぐことができるという。例えば、当初のコンサルタントの見積もりが「100人月分」だとしたら、それ以上のコストは要件変更しない限り発生しないという。また、バージョンアップであれば追加ライセンス費用はかからないほか、追加保守費用も必要ない。そのほか、他製品への交換時には、両製品の差額からさらに割引した値段で提供するという。

 市東氏は、Infor Flexのメリットを「まず、ユーザーの製品選択肢が大幅に増える。現在、インフォアが持つ100種類以上の製品の中から自社に最も合うものを選ぶことができるようになる。また、移行時のコストを見積もり時に明確にできるため、バージョンアップリスクを最大限抑えることが可能だ」と説明した。また、今後の予定や目標については、「目標は、当社のユーザーにすべてSOAに対応したバージョンに切り替えてもらうことだ。また、移行時には極力アドオンをなくして、標準機能でカバーするようにしていく。これを進めればユーザーの維持コストも低減するはずだ。まず第1弾として、『Baan IV/V』のユーザーを『LN FP5』への移行から始めていきたい」と語った。

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