富士通、自社ミドルウェアにSharePointを組み込んだ新製品国内初の取り組み

» 2009年08月03日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 富士通とマイクロソフトは8月3日、ミドルウェア分野において初めてとなる戦略協業に合意し、マイクロソフトの「SharePoint Server」を組み込んだグループウェアを発売すると発表した。具体的には、「SharePoint Server」の機能を組み込んだ富士通のグループウェア「Teamware Collaboration Suite」を8月31日に出荷開始する。

新田氏写真 富士通 ミドルウェア事業本部長 新田将人氏

 富士通とマイクロソフトは2009年3月26日にエンタープライズ市場におけるソリューションビジネスの協業を発表しており、富士通は協業を進める部署を新設し、関係強化に努めている。今回の製品では、富士通をメインとした両社のジョイントチームが開発を担当し、販売、サポートまでこのチームが行う。富士通 ミドルウェア事業本部長 新田将人氏は、「今回の発表は、3月の協業を本格化した第1弾だ。日本でミドルウェアにSharePointを組み込んだのは初めてのケースとなる。富士通の強みである国内大規模顧客と、マイクロソフトのグローバルで実績のあるインフォメーションワーカー製品を組み合わせることで、かなりのプレゼンスを発揮できる。IT投資が冷え込む中、コラボレーション市場は成長する見込みで有望だ」と説明した。

 Teamware Collaboration Suiteでは、Teamwareのメールやスケジュール、タスクなどのグループウェア機能と、SharePointの情報ポータルや統合検索機能などを組み合わせたスイート製品。両社の機能的に弱い部分を補完している点がポイントだという。マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部長 執行役 前田浩氏は、「例えば、富士通は国内大手企業に数多く提供しているノウハウを持つことから、ワークフロー機能などはSharePointよりも優れた機能を有している。一方で、SharePointはOffice製品との連携や検索機能を持っており、Office製品を数多く利用している企業では情報基盤としての役割が大きい」と語り、両製品機能の棲み分けを説明した。Teamware Collaboration Suiteは富士通やパートナー企業が販売し、基本価格は98万円から。

「Teamware Collaboration Suite」の画面イメージ。SharePointの機能を取り込んだことで、UIも変更点が多いという。

 富士通が既存のTeamwareユーザーに調査したところ、ユーザーニーズの1位は「操作性向上」で34%、2位は「全文検索」で16%、3位は「部門ポータル」で12%だった。新製品のTeamware Collaboration Suiteでは、コラボレーション基盤にSharePoint Serverを組み込んだことで、共同作業の効率や情報共有を強化するという。まず、従来のTeamwareでできなかった全文検索機能は、SharePoint側の機能で実現。SharePointが対象とするグループウェアやファイルサーバ、Webサーバだけでなく、Teamwareのデータも検索対象になっている。また、個人ごとの進ちょくを管理できる「タスク」機能を搭載。従来、メールベースで行っていたタスク確認作業をグループウェア上で完結でき、メール量を大幅に削減できるとした。SharePointやTeamware側でWebパーツを用意することで、カスタム開発のコストを大幅に削減できるという。WebパーツはSharePointが66種類、Teamwareが15種類用意する。

 今後の予定としては、年内をめどに第2弾を予定。富士通独自の機能追加として「検索ラッピング技術」や「Webパーツの拡充(ワークフロー)」を予定している。新田氏は目標について「現在Teamware導入企業は累計5100社におよぶ。まずはこれらの既存ユーザーに営業し、その後乗り換え需要を喚起させていきたい。まずは、2000社への導入を目標とし、それらの導入企業に対して富士通のサーバ『PRIMERGY』を1万台販売したい」と示した。

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