日本HP、EDSジャパンとの統合を完了変化に柔軟に対応できるIT環境を提供

» 2009年08月04日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は8月4日、EDSジャパンとの統合を8月1日に完了したと発表した。HP米国本社による2008年8月のEDS買収で、HPにおけるサービス事業のマーケットシェアは7%、IBMに次ぐ世界第2位の規模となったが、日本でのサービス事業についても、「今後3年間で、従来の両社の年間売り上げ合計額の2倍のレベルを目指したい」という。

 EDSは、製造、金融、運輸といったあらゆる業種の企業に対し、ITアウトソーシングサービスを提供してきたITサービスの大手。米HPが2008年8月に1兆4000億円で買収を完了して以来、各国の拠点で統合作業を進めていた。統合を終えた日本HPでは、「EDSの資産を受け継ぎ、ビジネスの環境変化に対して迅速に対応できるIT環境に変革する“モダナイゼーションサービス”を軸に、ITサービス事業を一層充実させていく」(日本HP 執行役員 EDS事業統括の村上申次氏)という。

 具体的には、3つのサービスを展開する。1つは、環境変化に柔軟に対応できるITインフラのモダナイゼーションなどを実現する「インフラストラクャテクノロジアウトソーシング」、迅速なアプリケーション開発、モダナイゼーションを支援する「アプリケーションサービス」、経理や総務などの効率的なビジネスプロセスを設計・運用する「ビジネスプロセスアウトソーシング」の3つだ。

 

写真 EDSとの統合を受けて、ITサービスを3つのサービスラインに整理

 「高コスト・高リスクで柔軟性に欠けるシステムから、変化に迅速に対応できる柔軟なシステムに移行する“モダイナイゼーション”を行うためには、全社レベルのプログラムマネジメントや、効果的な案件から実行していく段階的なステップアップ、改善のゴールイメージの明確化といった複数のノウハウが必要だ。今回の統合により、インフラストラクャとアプリケーションのモダナイゼーションについて、現状分析から“あるべき姿”の設定、その構築・実装、運用保守まで、一貫してサービスを提供できる体制が整った」(村上氏)。

 このうち、「アプリケーションモダナイゼーションサービス」については、両社の統合作業中だった2009年5月13日から本格展開を開始。村上氏は、「現状分析を終えた企業もあり、サービス立ち上げは順調。現在も製造業をはじめ、多くの企業から引き合いをいただいている」という。そのほかのサービスについても、来年度の本格展開を目処に、順調に準備を進めているという。

写真 日本HP 執行役員 EDS事業統括の村上申次氏

 なお、従来のEDSのサービスは、ユーザー企業が使用している製品のベンダを問わない“ベンダフリー”というスタンスに特徴があった。買収により、このスタンスが変わってしまうことが一部で懸念されていたが、「あくまで、ユーザー企業にとってベストなIT環境を提案・実現することがサービスの目的。それ以外の意味において、EDSの既存顧客にHP製品を売り込むような方針は取らない」という。

 村上氏は「HPとEDSのノウハウ統合により、あらゆる業種に特化したきめ細かなサービスを提供できる。ビジネスの成功に貢献できるIT環境を実現し、日本の会社を元気にしていきたい」とまとめた。 

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