クラウド時代、収益向上の鍵は性能監視にあり日本オラクル、Webアプリケーションの性能監視製品を展開

» 2009年08月05日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本オラクルは8月5日、Webアプリケーションの性能監視ツール「Oracle Real User Experience Insight」(以下、RUEI)の説明会を行った。応答時間、処理速度など、Webアプリケーションの性能をユーザー視点で監視・分析することで、「Eコマースやオンラインバンキングなどにおける機会損失低減、顧客満足度向上に寄与する」という。

 RUEIは、エンドユーザー体験管理製品を主軸とするオランダのソフトウェアベンダ、Moniforce社が開発した製品。米オラクルが2007年12月に同社を買収し、オラクルの統合運用管理製品「Oracle Enterprise Manager」のコンポーネントとして追加、管理機能の向上を図った。海外では2008年2月からRUEIの出荷を開始し、すでに金融、運輸、公共機関など多数の企業・組織が導入。日本では2009年6月23日に国内版をリリースした。

 特徴は、Webアプリケーションの“性能監視”を行い、あらゆるサービス提供能力を、ユーザー視点で把握・分析できること。

写真 Webアプリケーションの“性能監視”を行い、運用監視ツールでは把握できない問題を発見する。

 日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏は、「次世代の情報システムを支えるものとして、クラウドがキーワードになっているが、実際、近年はEコマースやオンラインバンキングなど、インターネットを介してアプリケーションを使う例が当たり前となった。そうした傾向は、企業における業務アプリケーションにおいても顕著に見受けられる。そんな環境の中でビジネス効率を向上させるためには、CPU使用率や死活監視をする“運用監視”だけではなく、ユーザー視点でWebアプリケーションのサービス提供能力を測る“性能監視”が重要なポイントになる」と解説した。

 例えば、応答時間、リンク切れなどのコンテンツエラー、アプリケーションエラーなど、Webアプリケーションのサービス提供性能の問題は、システムの死活監視などを行う通常の運用監視ツールでは発見できない。しかし、サービス提供性能に問題があれば、システムは正常に動作していても、Eコマースなら機会損失、金融機関のサービスなら信頼性低下に直結する。それが企業内の業務アプリケーションなら、ビジネスそのものを遅滞させてしまう。その点で、運用監視ツールとともに、Webアプリケーションの性能を監視するRUEIを使えば「システムの稼働状態とともに、ユーザーが直面している状況を把握・分析することで、総合的にシステムを監視、改善し、ひいてはサービスや業務を改善することができる」(三澤氏)という。

 RUEIの使い方はシンプルだ。まずログインすると、サービス提供能力を測る各種監視項目のデータ収集・分析結果をグラフで可視化したダッシュボード画面が表示される。その画面から、任意の監視項目について、あらゆる軸を使って問題点を絞り込みつつ、データをドリルダウンしていく仕組みだ。

写真 RUEIのダッシュボード画面。ここから任意の監視項目のデータをドリルダウンしていくことができる。

 例えば、監視項目が「コンテンツエラー」なら、「1日当たり」など任意の単位で発生件数を表示させたり、1日当たりのエラーの発生件数を、時間帯に沿った折れ線グラフで表示させるたりすることができる。そのうち「12時〜14時」といったように任意の時間帯を絞り込めば、その時間帯にあった1件1件のセッションについて、IPアドレスや各ユーザーが閲覧したエラー画面、そのHTMLソースまで、きめ細かくチェックすることができる。

写真  日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏

 そうしてコンテンツエラーを起こしていたページを閲覧し、エラー内容が『リンク切れ』と分かれば、然るべき改善処置を迅速に行うことができる。このほか、あらかじめ設定したKPI/SLAをモニタリングしたり、一定のKPIに達しなかった場合、アラートを発信することも可能だ。

 三澤氏は「現在、手組みの性能監視ツールを導入している企業も多く、その重要性は広く認識されていると思う。十社以上ある導入企業候補を通して、その効果をアピールしつつ、段階的にRUEIの販売拡大を狙っていく」と解説した。価格は、1プロセッサ当たり940万2200円で最小2プロセッサから。

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