NTTデータ ビズインテグラル、SOAとBPMを基盤とした“純国産ERP”SaaS形式にも対応し、大企業子会社などへBPMを提供

» 2009年09月01日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 NTTデータ ビズインテグラルは9月1日、SOAとBPMを基盤としたビジネスプラットフォーム「Biz ∫」(ビズインテグラル)に対応した4製品を10月1日に販売開始すると発表した。同社 代表取締役社長 中山義人氏は、「国内のメジャーパッケージを組み合わせた純国産のERP製品の第一歩。当社だけでは補いきれない部分を、ほかのパッケージベンダと協力して充実させていきたい。外資系ベンダにはない、日本独特のきめの細かい機能とサービスを提供していく」と抱負を語った。

中山氏写真 NTTデータ ビズインテグラル 代表取締役社長 中山義人氏

 NTTデータ ビズインテグラルは、NTTデータやNTTデータ イントラマートなどのNTT系3社と、アイテックス、ウイングアークテクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリングの6社が出資して2009年5月に設立された新会社。従来のERPでは「業務をパッケージに合わせる」という点を改善し、“ユーザー中心型ERP”の開発を目指して設立された。

 今回発表した「Biz ∫」シリーズは、NTTデータ イントラマートの基盤製品「intra-mart」のBPM基盤をベースとして、SOA型のソリューションスイートを提供する。具体的には、プラットフォームやBPMを提供する「Biz ∫ intra-mart」、販売管理機能を提供する「Biz ∫ 販売」、アイテックスの人事パッケージをカスタマイズした「Biz ∫ ePro_St@ff」、ウイングアークテクノロジーズの「Biz ∫ BI」の4製品で構成される。最大の特徴はBPM基盤を備え、業務の見える化や業務効率化、内部統制対応などを基本機能として備えている点だ。価格は、Biz ∫ 販売が500万円から、Biz ∫ ePro_St@ffが200万円から、Biz ∫ BIが360万円から。

 同社 取締役 マーケティング・営業統括 マーケティング本部長の田中秀明氏は、「BPM+SOA基盤を持つのが特徴。BPMはまだ普及していないが、業務の見える化や効率化を図るうえで非常に有効なツールだ。従来のBPMは高いイメージがあったが、Biz ∫を導入すれば比較的安価に実現できる。従来、ITによる効率化が注目されていたが、すでに情報処理など“人の処理時間”は限界のところまできている。BPMを利用してボトルネックを見つけ出し、自動化できるワークフロー部分は自動化することで効率化を図るべきだ」と説明した。

 具体的には、Biz ∫シリーズはintra-martのフレームワーク上に開発されており、ワークフロー制御やBPMを利用したプロセス制御を「Biz ∫ intra-mart」で提供している。NTTデータ ビズインテグラルが開発した「Biz ∫ 販売」では在庫や調達、販売の各機能を提供。BPMと連動したプロセス管理やBIと連動したKPI管理を実現する。同社 代表取締役常務 吉崎正英氏は、「Biz ∫ 販売はBPMを取り入れ可視化しているほか、BPM内にKPIを設定することで情報把握が可能。また、BAM(Business Activity Monitoring)を用いてKPIを監視する機能も取り入れている」とした。

 Biz ∫ ePro_St@ffは、アイテックスが1800社に導入した実績のある人事パッケージソフトウェアをBiz ∫向けにカスタマイズしたもので、入社時からシステムユーザー登録までintra-martとのデータ連携を実現している。ウイングアークテクノロジーズのBI製品をカスタマイズした「Biz ∫ BI」ではintra-martやePro_St@ffと連携し、販売や人事業務のKPI管理や各種分析が可能になっている。

 今後の予定としては、2010年下期を目標に会計機能を提供する「Biz ∫ 会計」と、東洋ビジネスエンジニアリングの生産管理製品「Biz ∫ 生産」をリリースする予定だ。また、SaaS形式に対応するための「SaaS管理基盤」や、仮想環境の生成などをサポートする「仮想化運用管理基盤」を提供していく予定。パートナーは2009年中に40社、2012年には100社まで拡大し、今後3年間で200社導入、売り上げ50億円を目指す。

 田中氏は、「まず、メインターゲットとなるのは、日本版SOX法対応を終えた大企業の子会社などだ。大企業は内部統制対応を終えているものの、その子会社はまだ手付かずの企業も多い。そこで、親会社側がBiz ∫をSaaS形式で子会社に導入するケースなども想定できる。また、まずは製造・流通業界向けのテンプレートを作成し、これらの業種への提供に力を入れる」と戦略を説明した。

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