HP、IT予算を可視化できるプロジェクト管理製品他製品と連携し、資産管理データも対応可能

» 2009年09月14日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は9月14日、IT財務管理をサポートするプロジェクトポートフォリオ管理ソフトウェアの最新版「HP Project and Portfolio Management 8.0」(PPM 8.0)を発表した。最新版では、従来と同様にITプロジェクトに関する統合的管理機能や、投資決定に関するサポート機能を提供するほか、新たにIT財務に関するさまざまな可視化機能を提供する点が特徴だ。

長谷氏写真 日本HP HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジー・ソリューション事業本部 マーケティング部 長谷修氏

 PPM 8.0は、IT財務に関わるさまざまな可視化機能を搭載したプロジェクトポートフォリオ管理製品。資産管理製品と連携することで、ITプロジェクトで重要な“人”と“モノ”の両方の管理が可能になる。最新版では、IT財務管理機能を強化。IT投資を決断する際に材料となる各種財務情報を可視化し、ITに関するコストの最適化をサポートする。価格は最小構成時で710万4720円から。

 日本HP HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジー・ソリューション事業本部 マーケティング部 長谷修氏は、「リーマンショック以降の不景気で、IT予算は2008年の前年比8%増から、2009年は同3%減になると予測されている。つまり、前年比11%減の状態だ。当然そのような状況だと、情報システム部も“○△コスト削減プロジェクト”というものが中心となり、新規システム/サービス開発プロジェクトは激減しているだろう。しかし、“危機はチャンス”という言葉もあるように、投資を激減させるとその後の景気回復時に衰退する可能性もある。このような状況を踏まえて、ITコストをきちんと可視化し、投資すべきものにはきちんと投資することが重要だ」とIT財務状況を可視化する重要性を説いた。

 PPM 8.0で主に強化されたのは、「IT財務機能」「他製品との連携」「日本語対応」の3つ。日本語対応ではPPM 8.0をインストールすれば、それぞれのユーザーが別々の言語で利用できるようになった。例えば、米国人のAさん、中国人のBさん、日本人のCさんの3人で行っているプロジェクトがあった場合、Aさんの画面には英語が、Bさんの画面には中国語、Cさんの画面には日本語がそれぞれ表示されるようになった。

画面イメージ PPM 8.0の画面イメージ。ワークフロー図も作成することができる

 他製品との連携では、サーバなどの固定資産を管理する「Asset Manager」、要件を登録・管理できる「Quality Center」などとの連携を実現。他社製の資産管理製品との連携も可能だという。同社 ビジネス・テクノロジー・ソリューション事業本部 ソフトウェア・ソリューション技術本部 技術第三部 中村靖雄氏は、「IT財務管理を行ううえでは、“人”と“モノ”の管理が重要だ。その意味でも資産管理ソフトウェアとの連携は重要なポイントだった」と説明した。

 IT財務機能の強化では、IT財務サマリー画面を設定し、予算や実績管理と割り当てられた予算の消費ペースの管理などが可能になった。この機能によって、予算消化完了の時期が判明する。例えば、「このままの予算消化スピードだと、1カ月後には予算を使い果たしてしまう」といったことがグラフ化して表示することができる。また、リスクと効果を縦軸・横軸に設定したバブルグラフを表示することで、「リスクが高い割には効果が少ない」といった案件を一目で見つけることが可能だ。

 「もちろん役職や立場によって、見せる機能は異なってくる。例えば、ITポートフォリオマネージャというIT予算を割り振る役職がいたとすると、その人に対しては、『どのプロジェクトに予算をつけるか?』といった点を判断するためのさまざまな情報を提供する。これらの情報を可視化して提供するので、非常に直感的に判断できるだろう」(中村氏)とコメントした。

 PPM 8.0のメインターゲットは、社員1万人以上の大企業、もしくはIT部門員500人以上の企業。長谷氏は、「プロジェクトが多いほど、効果を発揮できるだろう。大企業でなくとも、プロジェクトが100個以上あるような企業では、かなりの効果が期待できるのではないか。パートナーやコンサルティングファームとも連携し、ITサービス管理市場でのリーディングベンダになりたい」と抱負を語った。

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