IBM、最短12日で導入できるDWH専用アプライアンス工場でチューニングや設定などを終えてから出荷

» 2009年09月30日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本IBMは9月30日、最短12日間で構築可能なデータウェアハウス専用アプライアンス製品「IBM Smart Analytics Systems V.1.0」(以下、SAS V.1.0)の出荷を開始したと発表した。さまざまなソフトウェアを包含し、チューニングや各種設定などを工場で実施した状態で出荷するため、導入期間を短縮できたとしている。

下垣氏写真 日本IBM 理事 ソフトウエア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長 下垣典弘氏

 SAS V.1.0はデータウェアハウス専用のアプライアンス製品で、データウェアハウス構築に必要なミドルウェアやサーバ、ストレージをすべて含む。ハードウェアは同社の「IBM PowerSystems」を採用し、ソフトウェアには「InfoSphere Warehouse」「Cognos」「Tivoli」などを組み合わせて搭載する。製品は、データ容量に応じてXS(ディスク容量4テラバイト)〜XXL(同200テラバイト)の6クラスを用意。最小のXSの場合で、基本導入から性能チューニング、高可用性設計や総合テスト、初年度の保守サポートを含んで2億3000万円から。

 日本IBM 理事 ソフトウエア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長 下垣典弘氏は、「多くの企業では、データがあふれかえっている状態だ。日々の業務でさまざまなデータが発生し、その中には非常にビジネスに有効なデータが数多く眠っているが、それをビジネスに結びつけることがほとんどできていないのが現状だ。しかし、これからはそれらのデータをいかにビジネスに結びつけることができるかが、非常に重要なポイントとなっている」と説明した。

 同社では、データウェアハウスやBI(ビジネスインテリジェンス)にかかわる課題として、「ビジネスの課題解決に至るまでに時間がかかり過ぎる」「導入するシステム規模の予測が困難」「導入後のシステム運用管理の煩雑さ」の3点を挙げ、これを解決する要素として「すぐに使い始められる、即効性」「試しながら成長できる、拡張性」「運用管理に手間がかからない、シンプルさ」の3点を示した。

 この3点を実現するのが、同社が発表したSAS V.1.0だという。まず、SAS V.1.0では導入期間を大幅に短縮。通常、データウェアハウスの導入時には「システム規模予測」「ハードウェア、ソフトウェアの選定」「導入・設定」「検証」などの工程が必要だ。しかし、SAS V.1.0では出荷前に工場でチューニングや各種設定を行ったうえで出荷するため、最短12日間でデータウェアハウス環境を構築可能だとした。「データウェアハウス導入時、導入期間のほとんどはシステム規模予測や使用用途の検討などに費やされる。SAS V.1.0の場合は、アプライアンス製品で工場出荷時にチューニングや各種設定などをあらかじめすることで、大幅に時間を短縮した。また、当社では先にSAS V.1.0を導入し、それからシステム規模や使用用途を考える斬新な導入手法を提案している。これは拡張性や柔軟性に自信があるSAS V.1.0ならではの提案方法だ」(下垣氏)と語り、アピールした。

 SAS V.1.0では、Cognosを中心とした分析機能も搭載。ダッシュボードやレポーティング、データ&テキストマイニング機能などを提供する。販売戦略について、下垣氏は「年内は大企業を中心に提案していく。大企業は、個別最適で部署ごとに別々のデータウェアハウスやデータマートを導入しているケースが多いので、それらの代替や統合目的としてSAS V.1.0をアピールしていきたい」と説明した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ