迅速な変化対応で、製品需要を確実に獲得日本オラクル、サプライチェーン供給計画の新製品発表

» 2009年10月28日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本オラクルは10月28日、サプライチェーン供給計画の支援製品「Oracle Rapid Planning」を発表した。すでに確定しているサプライチェーン計画に対して、注文内容や設計の変更など、突発的な変更があった際、それに対応した供給シナリオの高速なシミュレーションを行うことで、迅速・的確な意思決定を支援するという。

人の頭脳だけでは、市場変化のスピードに対応できない?

 市場環境変化が激化している近年、企業が継続的に利益向上を図るためには、「いつ、どの市場に、どのくらいの商品を投入するか」といったサプライチェーンの供給計画を、迅速かつ綿密に立案する必要がある。しかしビジネスのグローバル化や顧客ニーズの多様化を受けて、市場に追従できる計画を立てることは年々難しくなりつつあり、月次・週次ベースの調整では「市場に製品を投入したときにはすでに需要が低下していた」といった事態も起こってしまう。

写真 日本オラクル アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクターの岡田行秀氏

 日本オラクル アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクターの岡田行秀氏は「特に、デジタル家電を供給する組み立て型製造業ではその傾向が強い」と解説する。

 「従来の新製品投入サイクルは、3カ月で商品を企画し、6〜8カ月で生産を行い、4〜6カ月間で販売するという流れが一般的だった。しかし現在は、商品企画が1カ月、生産が4〜6カ月、販売は1〜2カ月で終了といったペースになっている。これほど市場環境変化のスピードが高まっている中、着実に利益を上げるためには、Excelで集計したデータを基に人が考える、といった対応では追い付けない。ITの力を活用したスピーディで的確な需要・供給マネジメントが不可欠となる」(岡田氏) 

 今回リリースするOracle Rapid Planningは、このうち供給マネジメントを支援する製品だ。突然の大口受注、製品の設計変更など、供給計画に突発的な変更があった際、Oracle Rapid Planningが複数の条件に基づいた仮説検証を行い、変更によって起こりうる結果を数分で表示する。ユーザーは変更に伴う複数のシナリオを迅速に作成、評価できるため、状況に応じたベストな判断を下しやすくなるというわけだ。

写真 サプライチェーン供給計画の支援製品「Oracle Rapid Planning」の主要機能

 なお、同社では「単に各製品を提供するのではなく、ユーザー企業のビジネスプロセスに沿ってあらゆるシステムを配置し、全社目標達成に向けて有効に生かせるよう、機能からインターフェイス、使い勝手まで、すべてを使いやすく統合した状態で提供する、といった販売戦略を取っている」(日本オラクル 常務執行役員 アプリケーション事業統括本部長 保々雅世氏)。本製品にもそうした考え方を反映しており、「関連システムとの密接な連携が可能だ」(岡田氏)という。

 具体的には、同社のERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」や「JD Edwards EnterpriseOne」をはじめ、サプライチェーン計画支援製品「Oracle Advanced Supply Chain Planning」、需要予測製品「Oracle Demantra」などと連携して使用することを前提としており、あらかじめ接続用の設定を済ませた状態で納品する。

 「こうした連携により、サプライチェーンにかかわるデータを各システムで共有・活用することができる。供給活動の制約条件などを反映した、より正確なシミュレーションが行えるほか、採用した変更計画をERPをはじめとする実行系システムに反映し、より迅速なアクションにつなげることも可能だ」(岡田氏)

 他社の既存製品や手組みシステムとの連携も想定している。例えば、Supply Chain Planning(以下、SCP)は、オラクル製品に限らず、すでに多くの企業が導入しているが、岡田氏は「そうした既存システムにOracle Rapid Planningを組み合わせることで、月次・週次の供給計画はSCPで、1〜3日単位のきめ細かな計画をOracle Rapid Planningで調整するといった使い方をすれば、市場の動きにかなり正確に追従できるはずだ」と解説した。

 価格は最小構成で3000万円から。組み立て型製造業をメインターゲットに、2009年11月中旬に発売予定だという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ