ブルーコート、ソフトウェアやクラウド形式でのADNを提供へアプライアンスと組み合わせたハイブリッド型も

» 2009年12月16日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ブルーコートシステムズは12月16日、報道関係者向けに説明会を実施し、米ブルーコートシステムズ アジア太平洋地域担当バイスプレジデント マット・ヤング(F.Matthew Young III)氏が現在の同社の状況や今後の展望について説明した。

ヤング氏写真 米ブルーコートシステムズ アジア太平洋地域担当バイスプレジデント マット・ヤング氏

 ヤング氏は、まずリーマンショックを契機とした世界同時不況の中でも、「コンプライアンス、仮想化、セキュリティ」の分野は投資が拡大していると説明。実際、ブルーコートの売上高は2009年も順調に増加し、2010年には5億ドルに達する見込みだという。アプリケーション配信業界全体で見ても、2009年の市場規模48億ドルに対して、2012年には68億ドルになる見込みだというIDCの予測を示した。

 米Infonetics Research社が8月に行った市場シェア調査によると、WAN最適化市場では2009年第2四半期において6700万ドルで31.4%で1位。2位はリバーベッドで同5900万ドル27.5%。コンテンツセキュリティアプライアンス市場で同24%を取りこちらも1位を獲得。2位はシスコの同17%だとした。

 ヤング氏は、業績の背景について「パケット伝送だけではユーザーニーズを汲みとれなくなってきている。さらに付加価値を加えたアプリケーション配信が求められていることが、当社シェア拡大につながっている」という見解を示した。

 セキュリティ分野動向においては、昨今最も脅威が増しているものとして「Webベースのマルウェアが急増していること」を挙げた。同氏は、「昨今、特定の国において、組織的犯罪者によるマルウェア攻撃が急増している。この組織はプログラマをお金で雇い、巧妙なプログラムを日々作成しており、非常に危険な存在だ」と警告した。

 続いて警告するのが「サーチエンジン汚染(Search engine poisoning)の急増」。同氏は、「Googleを含めたサーチエンジンの最初の1ページ目にマルウェアに感染したサイトへのリンクだらけになっている。セキュリティ専門家は2ページ目以降しか見ないように推奨しているほどだ。特に新しく登場したキーワードだと、ブログの立ち上がりの早さを利用して、すぐにマルウェアに汚染させるための記事を作り、巧妙に読者を誘いこんでいる」と指摘した。

 これらの攻撃は、「人間の基本的な振る舞い」を分析したうえで巧妙に誘い込んでおり、普段から気を付けてWebサイトなどを利用していないと、知らないうちにマルウェアなどに感染している可能性が高いとした。また、今後は「クラウドベースのマルウェアが急増するだろう」(ヤング氏)と予測した。

ADNなどをソフトウェアやクラウドで提供

 同社が注力している「アプリケーション高速化」「セキュリティ」「可視化」の3分野については、アプリケーション高速化では「キャッシング、CDN(Contents Delivery Network)、WAN最適化」の3分野に注力する。セキュリティでは「ポリシー、マルウェア防御」に、可視化では「Webレポート、PacketShaper」に注力するとした。

 「CDN、WAN最適化分野ではさらなる高速化を実現していく。セキュリティポリシーでは、例えば『YouTubeは見てもよいけど、Facebookはだめ』というポリシーを決めた際、ただそのようなポリシーを作るのではなく、きちんとコントロールできる環境下で許可/不許可するべきだ。これを助けるツールを提供していく」(ヤング氏)と説明した。

 現在、同社ではこれらのソリューションを基本的にアプライアンス形式で提供している。しかし、今後はユーザーニーズに応じて「ソフトウェア」や「クラウド環境」での提供も計画中だとした。ヤング氏は、「仮想化が進んでいるが、仮想化環境においてはソフトウェア形式による提供が求められる。また、環境によっては自前でサーバを用意できずクラウドでの利用もあり得るだろう。そのようなユーザーニーズに柔軟に応えるために、これら3種類の提供方法を組み合わせたハイブリッドな形態も考えられる」と説明した。現在、ソフトウェア版はベータを評価中で、2010年1月にも正式発表する見込み。

 また、今後のアプリケーション配信業界について、ヤング氏は「例えば、米国のAT&TはiPhoneの登場で定額料金使い放題というサービスを始めたこともあり、3%のユーザーがほとんどの帯域を利用してしまい非常に困っている。いくらネットワークが広帯域化しても、アプリケーションが増える限り、その帯域をユーザーはすぐ使い切ってしまうのが現状だ。これがアプリケーション配信市場を今後も拡大させる大きな要因になっている」とコメントした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ