IBM、ビジネス分析や最適化支援を行う“BAO”を本格化名寄せや苦情傾向分析などを提供中

» 2010年01月21日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は1月21日、ビジネス分析や最適化支援を行うサービス「ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション」(BAO)を強化し、人員を増員すると発表した。同サービスは2009年7月に250人体制で提供を開始し、現在400名に増加、今年度中に500名体制にまで拡充するとしている。

赤阪氏写真 日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション パートナー 赤阪正治氏

 BAOとは同社が提唱している概念で、社内システムやインターネット、商品・センサーなどから必要な情報を収集し、それらを必要に応じてデータ解析やモデリング、マイニング、最適化の処理を実施。そこから、知見やリスク、傾向などを発見することで収益拡大や、リスク管理、コスト削減のための意思決定をサポートするというものだ。

 具体的には、「データ統合」や「データウェアハウス」「ビジネスインテリジェンス」「ビジネスパフォーマンスマネジメント」「シミュレーション」「最適化、予測」など、さまざまなソリューションを組み合わせて、最適解へ導くという。IBMは、同社が買収したコグノスやSPSS、ILOGといった製品やWebSphereなどを組み合わせて提供する。

 日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション パートナー 赤阪正治氏は、「この領域のニーズは非常に強い。サービス開始約半年間で3桁の案件を受注した。それにともない人員も、今年度中に500名にまで拡大する予定だ。半年間でさまざまなサービスを取捨選択し、ブラッシュアップした」とコメントした。

 米IBMでは、全世界398社(日本企業10社)に対して「戦略的情報活用」に関する調査を実施。その結果、業績上位企業は業績下位企業と比較して、意思決定をサポートする「ダッシュボード/可視化」や「分析/予測ツール」、情報の信頼性を上げる「コンテンツ管理」や「データ統合ツール」に対して、2倍以上の投資をしていることが分かった。

 そのほかの調査結果では、2010年〜2011年のビジネス目標に71%の企業が「収益維持/成長」を挙げ、売り上げ重視傾向であることが分かった。また、今後24カ月の取り組みでは「価格設定/オファリング戦略」「ブランディング/評判管理」「製品/サービス市場選択」など、売り上げ貢献への非常が高まることが予想されるとした。

 BAOで具体的に提供しているサービスには、「個人識別ソリューション」や「経営支援ソリューション」などがある。個人識別ソリューションとは、いわゆる“名寄せ”をするもので、金融業などがリスク管理や詐欺検知をするために導入するもの。従来型と異なり、さまざまな情報源から抽出した身元情報から同一人物判定や、人物同士の関係を識別するという。

 また、経営支援ソリューションは、サポートセンターなどに寄せられた情報を分析し、社内共有することでクレームや不具合などの早期発見を目指すというもの。このサービスでは、IBMが従来から持つテキストマイニング技術や、コグノスのコンテンツ管理サービスを組み合わせて提供する。例えば、「ありがたい」や「嬉しい」は感謝を表す言葉として、「〜は困る」や「〜気に入らない」などは苦情として、それぞれ事前に辞書登録をしておく。そして、実際にサポートセンターに寄せられたユーザーの声をこの辞書を基に分析することで、苦情や要望、意見などの発生状況管理が可能になるという。

 赤阪氏は、「名寄せサービスは、日本でも最近ニーズが高まっている。経営支援ソリューションは、既存のサービスを組み合わせたものではあるが、既存サービスに米国で検証済みのノウハウを組み合わせることで、より高付加価値を提供できる。BAOは当社が提唱している概念だが、同感するパートナーにもぜひ協力してもらいたい」と説明した。

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