SaaSのパフォーマンスをSaaSで分析する「Gomez adVantage」ボトルネックを分析し、ユーザー環境を改善

» 2010年01月27日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本コンピュウェアは1月27日、SaaS形式でWebアプリケーションパフォーマンスなどを計測する「Gomez adVantage」の提供を開始した。SaaSベンダなどはGomez adVantageを利用することで、エンドユーザーがそのサービスを利用した際のレスポンスタイムなどを計測することが可能。価格は月額約140万円。Gomezや同社の戦略などについて、米コンピュウェア ワールドワイドプロダクトセールス担当シニアバイスプレジデント パトリック・ステイヤー(Patrick Stayer)氏に話を聞いた。

ステイヤー氏写真 米コンピュウェア ワールドワイドプロダクトセールス担当シニアバイスプレジデント パトリック・ステイヤー氏

 米コンピュウェアは2009年10月にGomez社を2億9500万ドルで買収。その後、コンピュウェアは同社の「Compuware Vantage」との連携・統合を進めていた。

 Gomezは、Webアプリケーションのパフォーマンスを全世界数千個所に設置したセンサーから測定し、可視化するサービス。例えば、物品販売サイトであれば、「札幌市からアクセスした場合には、TOPページの表示に○○秒かかり、購入ボタンを押してから決済までに○○秒」「同様に杉並区からアクセスした場合には……」といった具合の計測が可能だ。

 計測した結果、インターネット上のバックボーンがボトルネックになっている場合にはアカマイを利用して改善したり、Webサーバのパフォーマンスに問題があることが判明した場合にはWebサーバを増強する、といった適切な対策が可能となる。そのほかにも、500以上のOSとブラウザの組み合わせテストや、5000種類以上の端末チェックをサポートしているという。

 Vantageは、基本的にファイアウォールの内側となる“社内ネットワーク”のパフォーマンスを分析するソフトウェア。回線上に問題がない場合、Webサーバやデータベースなどファイアウォールの内側に問題があると考えられるが、その原因を詳細に調査できるのがVantageだ。今回発表された「Gomez adVantage」では、GomezとVantageの機能を合わせてSaaS形式で提供する。

 ステイヤー氏は、「ここ数年、SaaSの普及によってさまざまなWebアプリケーションが提供されているが、『想定よりもレスポンスが悪い』『地域ごとにサービス品質が異なる』といった不安要素も大きい。特にコンシューマ向け物品販売サイトなどの場合、レスポンスの悪さは機会損失に密接につながる。BtoB用のサービスであれば、さらにレスポンスへの期待は高いだろう。Gomezでは、KDDIやNTTドコモのデータセンターなど日本国内2500個所に監視サーバを設置。PCからのアクセスだけでなく、携帯電話からのアクセスパフォーマンスも監視している。日本ではニッセンやkakaku.comなどがユーザーだ」と詳細を説明した。

 米国で人気のアイスホッケーリーグであるNHLの場合、Webサイト上で文章や写真だけではなく、動画も多く掲載していたことからサイトが複雑化し、パフォーマンスに問題が出ていた。また、米国だけでなく、隣国のカナダのチームも存在するため、地域間のサービス品質に差を出さない配慮が必要だったという。そこでGomezを利用し、サイト構造や動画の掲載方法などを改良した結果、大幅にパフォーマンスが向上したという。そのほか、Gomezでパフォーマンス分析を行い改良した結果、「サイトロード時間が11.3秒から3.4秒に短縮」や「メンテナンスコストを50%削減」「ダウンタイムを45%削減」など、さまざまな効果が出たとステイヤー氏は強調する。

 「コンピュウェアはSaas事業に大いに期待している。2009年度のSaaS関連事業売上も1億ドルに達し、今後も伸びるだろう。アジア地域においても、この分野の人員を倍増し、売上増を期待している。フォレスターリサーチやガートナーなどの調査会社も、この分野は今後3年間は年率40%の成長が見込めると予測している期待分野だ。日本ではまず、販売パートナーを強化し、売上増を目指す」(ステイヤー氏)と抱負と期待を語った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ