ウイングアーク、クラウド対応を強化したSVF新バージョン帳票クラウドのデモも実施

» 2010年04月26日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ウイングアーク テクノロジーズは4月26日、同社の帳票ソリューション最新版「SVF バージョン9」を発表した。また、クラウド上で基幹系・業務系システムの帳票運用を支援する「帳票クラウド」への取り組みも明らかにした。

PDF機能や多言語対応などを強化した新SVF

内野氏写真 ウイングアーク 代表取締役社長 内野弘幸氏

 SVFは15年間の歴史がある帳票ソリューション。これまでの採用企業数は1万6000社、サーバライセンスは9万1000に上るという。今後の製品ラインナップとしては、.NETアプリケーションとのインターフェイスを改良した「Text Connect for .NET Framework」を5〜6月に、上位システムのデータ仕分けを担う「OpenBOST for SVF」を6〜7月に。Excel帳票出力できる「SVF for Excel」を10〜11月に、SVFの最新バージョンである「SVF バージョン9」を7〜8月にリリースする予定だとした。

 「Text Connect for .NET Framework」は、上位アプリケーションで作成された印刷データを「SVF for .NET Framework」に受け渡し、プリンタ印刷やPDF出力ができる製品。上位アプリケーションで作成されたデータを自動的に読み込む設定や、印刷時に使用する様式ファイルや出力先設定をノンプログラミングで行える点が特徴だ。

 「OpenBOST for SVF」は、レガシーシステムやERPパッケージ、オープン系システムなどで構築された“基幹・業務システムから出力される帳票データ”の仕分けや振り分け、データ変換を行い、アウトプット出力を可能とする製品。仕分け機能を用いることで、1つのファイルから複数プリンタへの出力が可能なほか、帳票データのソート/マージ/分割が可能となる。

 SVFの最新バージョンとなる「SVF バージョン9」では、「PDF機能強化」「多国語サポート強化」「フォーム設計生産性向上」「帳票印刷機能強化」の4点が主に強化された。PDF機能では、『PDFプリセット機能、PDFレイヤ機能、PDF/X対応機能』が改良された。PDFプリセット機能とは、業務に合わせたPDF印刷方法をあらじめ設定しておける機能。例えば、毎回A3用紙にモノクロ両面印刷させたい帳票であれば、それをプリセットしておくことで、エンドユーザーが印刷する際にいちいち設定する必要がなくなるので業務効率向上が目指せる。

 PDFレイヤ機能は、SVFで作成した際のレイヤをそのまま生かしてPDF化できる機能。これにより、レイヤごとに作成された文章を任意で組み合わせて表示・印刷することができる。PDF/X対応機能では、印刷用途に最適化されたPDFである「PDF/X」に対応した。

 多国語サポート強化では、現在対応している日本語や中国語など6言語に加えて、新たにタイ語に対応。サロゲートペア機能の強化では、バージョン8では304文字に限定されていたものを無制限にした。

 フォーム設計生産性向上では、「SVFX-Designer Ver 9」にバージョンアップ。Openoffice.orgからの読み込み機能を強化したほか、新規格バーコード「GS1 DataBar」に対応した。

 最後の帳票印刷機能強化では、SVFからのEMF形式出力の印刷速度を向上させる「SVF EMF PLUS」ドライバーを追加したほか、フォントを埋め込んだ出力が可能になった「PCL5」に対応した。

帳票クラウドを本格化

 ウイングアークでは、2〜3年前からSaaS/クラウド分野への取り組みに注力。基幹系システムの帳票をクラウド化する実験を進めてきたという。

 現在はAmazon EC2上にテスト・開発環境を構築し、基幹系システムからの帳票がクラウド経由できちんと印刷できているか、などのテスト・開発をしている。実施したデモでは、Amazon EC2上のサーバが出した印刷命令を、クラウド経由でクライアントPCに転送し、クライアントPCに接続したプリンタから印刷できていた。2010年度内でのサービス提供開始を目指す。

 内野氏は、「SVFをSaaS形式での提供を行っているが、まだ売上高的には全体の1%未満といったところだ。帳票系におけるクラウドへの移行は長いスパンで考えると確実に起こるが、まずは3〜5年以内にプライベートクラウドへの移行を中心に始まるだろう。通常、基幹系システムの移行は7〜8年周期だ。従って、クラウド移行もある程度の時間を要すると考えている。景気はまだまだだが、だいぶ明るくなってきていると感じている。当社も2010年は売り上げ微増と予測しているが、来年以降に回復すると予想している」とコメントした。

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