海外進出に併せて企業Webサイトもグローバル展開をCMSで各国サイトを一元管理

» 2010年08月20日 00時00分 公開
[伏見学,@IT]

 エンタープライズ向けCMS(コンテンツ管理システム)を開発するファットワイヤはこのたび、海外市場でビジネス展開する、あるいは進出を検討する日本企業がグローバルWebサイトを構築する上での勘所を解説するセミナーを開催した。グローバルWebサイトのコンテンツについて、同社営業部でディレクターを務める佐藤高生氏は「単に英語のコンテンツを用意すればいいというものではない。各地域の文化や商習慣を理解し、それに合わせたWebサイトの構築が不可欠だ」と強調した。

ファットワイヤ 営業部ディレクターの佐藤高生氏 ファットワイヤ 営業部ディレクターの佐藤高生氏

 少子高齢化などの影響で日本の内需が縮小傾向にある中、海外に売り上げを求めて市場進出を図る企業が増えている。そうした中で重要性が増しているのが商品やサービスの主要な販売チャネルともいえるWebサイトである。しかし、Webをグローバル対応させる上で、「地域ごとに販売する商品が違う」「地域ごとに表記(通貨、度量衡など)が違う」「地域ごとにCSSが違う」「地域ごとに管理画面の言語が違う」といった課題があり、多くの企業ではビジネスを加速させる上での障壁となっている。例えば、商品のラインナップが変わるたびに各地域のWebサイトを細かく作り変えたり、右から左にテキストを書くセム語系に合わせてCSSを書き換えたりと、状況に応じて対処する必要がありWeb担当者の負担は大きい。

言語以外もCMSでローカル対応

 CMSですべてのコンテンツを一元管理し、システム的に効率良くこれらの課題を解決していこうというのがファットファイヤの思想である。1998年、同社のCMSに製品情報サイトのカテゴリや項目属性を柔軟に追加、変更できる「Flex Asset」を実装した。2001年には、文字コードをUnicodeに対応させることでアセット(コンテンツの資産)を多言語で格納するほか、多言語でWebサイトの配信が可能となった。

 さらに、CMSの管理・編集インターフェースも多言語対応した。これにより、システムにログインするユーザー(管理者や開発者など)ごとに彼らが使うブラウザを認識し、そこで使用される言語の優先度に応じて表示メッセージなどの言語が自動切り換えできるようになった。

 多言語環境を構築するのみならず、国ごとの法令表記への対応をはじめローカライズに関する機能もCMSに実装するなど、各国の文化や特徴もシステムに取り込んだ。

 「グローバル市場で成功するには国や地域ごとに販売する製品ラインを適度に変える必要があるため、Webサイトもそれに合わせることが不可欠である。Flex Assetにより複数の基軸でカテゴリーを構成できるため、地域ごとに取り扱う製品が分類可能なのだ」(佐藤氏)

 2004年には、既存Webサイトの構造をコピーして横展開する機能「Site Launcher」をCMSに実装した。これにより、ある国のWebサイトを基にして別の国のWebサイトをわずか数十分で構築できるようになった。「従来は構築作業に数日間も要しており、格段にビジネススピードが向上した」と佐藤氏は述べる。

 ユーザー事例として紹介されたカーナビゲーションシステムを販売するクラリオンは、ファットワイヤのCMSおよびSite Launcherを活用し、各国でバラバラのWebサイトを統合した。現在では30言語49サイトを100の国、地域で展開しているという。

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