成長企業になるためには“分析力”が重要SASとクロス・マーケティングが調査実施

» 2010年12月16日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAS Insutitute Japan(SAS)とクロス・マーケティングは12月15日、社会人を対象に行った調査結果「2010年 分析力に優れた企業ベスト10」を発表した。

雪嶋氏写真 クロス・マーケティング セールス・マーケティングユニット 企画分析ディビジョン プランニングリサーチャー 雪嶋貴大氏

 調査は、2010年11月に社会人を対象にインターネットでのアンケート形式で実施。有効回答数は1000。年齢は50〜59歳が最も多く28.0%、40〜49歳の25.2%、30〜39歳の20.6%と続く。業種は製造業が19.9%、サービスが18.0%、教育・医療・福祉が14.2%だった。従業員規模は2〜99人が37.4%で最も多く、5000人以上が13.8%、100〜299人が11.9%だった。

 設問中の「今後、成長企業に必要な条件」では、「人材を育成する力」「先の状況を見越す力」「顧客満足度の高さ」「顧客ニーズの吸収力/把握力」が上位を占めた。また、「分析力に優れた企業の条件イメージ」では、「顧客ニーズをより深く知ろうとしている企業」の70.4%と「市場動向を熟知している企業」が58.2%と飛び抜けて多く、その他には、「業界をリードする事業を行っている企業」が22.8%、「頭脳明晰なリーダーが率いている企業」が18.2%と続いた。

 クロス・マーケティング セールス・マーケティングユニット 企画分析ディビジョン プランニングリサーチャー 雪嶋貴大氏は、「分析力に優れた企業の条件としては、『顧客ニーズ』や『市場動向』など、顧客を含めた市場全般についての理解や取り組みを行っていることが挙がっている。逆に、成長企業に必要な条件には、人材を育成し、先を見越す力としての分析力・予見力が重要視されていることが分かった」と分析した。

 そして、「分析力に優れたイメージを持つ国内企業」では、1位トヨタ自動車、2位パナソニック、3位ソニー、4位ソフトバンク、5位ファーストリテイリングとなった。このランキング調査は、手掛かりなしに企業名を思い起こさせる“純粋想起”を予備調査で実施、さらに本調査で手掛かりとして提示した企業名を基にその認知やイメージを思い起こさせる“助成想起”を利用し調査したという。

 「今回は企業の分析力に関するイメージ調査だが、一般人が各企業の分析力を推し量るのは難しい。そのため、調査方法も工夫した。純粋想起だけでは、いわゆる有名企業ばかり出てきてしまう。従って、純粋想起と助成想起を組み合わせて行った。この結果から、多くの人は成長企業に対して、その実績に対する裏付けとして“分析力の高い企業”と想起する傾向が強いようだ」(雪嶋氏)と分析した。

 また、回答者の勤務先企業における分析の実施度合いや活用度を聞いたところ、分析の実施度合いでは、「あまり行われていない」が半数近い48.7%、「ある程度行われている」が29.6%と続いた。分析の活用度についても「あまり活用されていない」が半数を超える58.2%、「ある程度活用されている」が36.4%だった。

 「分析力を高める上で必要な条件」では、「分析力向上に向けた企業全体としての意識改革」や「社内人材の育成による能力向上」「経営層による方針の策定とリーダーシップ」「リサーチなどによる情報収集量の拡大と収集力の向上」などが上位に上がった。

 雪嶋氏はこれらの結果を受けて、「分析力というものは、単に分析を行えば獲得・向上できるものではない。経営層のリーダーシップやそれにけん引される意識改革や人材育成、情報収集能力などが組み合わさって成り立っている。業務や人材ありきではなく、その分析業務を支えるIT基盤も切っても切れないものだ」とコメントした。

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