日本アバイア、企業のTwitter対応基盤整備を支援つぶやきをモニタリング、ロイヤルティ向上に生かせる新製品発表

» 2011年05月24日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 TwitterやFacebookといったソーシャルメディアの急速な浸透を受けて、これらをビジネスに活用する動きが広がっている。一方で、先日、大手企業の従業員がTwitterを使って来店客を中傷する事件があったが、その運用に対するモラルやガバナンスの徹底も強く求められ始めている。

 こうした中、日本アバイアは5月20日、ソーシャルメディア上の顧客の声を自動的にモニタリングし、その対応に最適な知識・経験を持つオペレータに振り分けられるコンタクトセンターソリューション「Social Media Gateway」と「Social Media Toolkit」を発表した。併せて2011年1月〜2月にかけて、同社が独自に行った「コールセンターに関する消費者意識調査」の結果から、「Twitterによる企業とのコミュニケーションを好意的にとらえている消費者が、日本では26%に上った」ことを紹介。ソーシャルメディアも含めたマルチメディアによる顧客対応基盤整備が、今後のロイヤルティ・収益向上の鍵となることを訴えた。

つぶやきをコンタクトセンターに取り込み、ロイヤルティ向上に生かす

 TwitterやFacebookといったソーシャルメディア上の顧客の声をモニタリングし、「企業の公式アカウントから問い合わせに回答する、情報を提供する」取り組みを実施している企業は着実に増えつつある。現状では、マーケティング部や広報部などが対応に当たっているケースが多いが、ソーシャルメディアの利用者数増加に伴い、より効率的・安定的に対応できる基盤整備が求められつつある。

 今回、日本アバイアが発表したコンタクトセンターソリューション「Social Media Gateway」「Social Media Toolkit」は、そうした状況を受けて開発した製品。Social Media Gatewayは、あらかじめ設定したキーワードに応じて顧客の声を自動的にモニタリング。一方、Social Media Toolkitは、Social Media Gatewayで集めた顧客の声を、キーワードに応じて、「その対応に最適な知識・経験を持ったオペレータに顧客の声を振り分ける」ためのロジックを定義する製品となっている。

写真 日本アバイア ソリューション マーケティング 部長 平野淳氏

 「多くのコンタクトセンターでは、顧客のプロフィールや問い合わせ内容に応じて、最適な対応が可能なオペレータにコールを振り分けることで、対応の効率化、品質向上を図っている。本製品により、TwitterやFacebookといったソーシャルメディア上の声に対しても、それと同様の対応が可能になる」(日本アバイア ソリューション マーケティング 部長 平野淳氏)

 システム構成は、音声、電子メール、インスタントメッセージングなど、あらゆるセッションをSIPベースで統合管理できるコンタクトセンター/ユニファイドコミュニケーションの実現基盤となるソリューション「Avaya Aura」と、マルチメディアのセッション管理を実現するSIPベースのコンタクトセンターソリューション「Avaya Aura Contact Center」に、Social Media Toolkit、Social Media Gatewayの両ソフトウェアを追加する形となる。

写真 コンタクトセンターでTwitterのつぶやきをモニタリングし、効率的かつ安全に対応できる仕組みを実現する

 電話応対の場合、最適なオペレータにコールを振り分けるために“コールフロー”を定義するが、Avaya Auraによるコンタクトセンター基盤/機能にSocial Media Toolkitを追加することで、コールフロー定義の技術をベースとした“ツイートフロー”定義機能を確保できる仕組みだ。

 データベース機能と簡易的な分析機能もあり、「ツイートをモニタリングし、すぐ対応すべきものには迅速に応え、製品・サービス開発に役立つような声については蓄積・分析し、開発にフィードバックする」といった使い方も可能だという。同社では、当面は同社のコンタクトセンター基盤を導入済みのユーザー企業を中心に、Social Media Toolkit、Social Media Gatewayを提案していくという。ちなみに価格は「数百万円から」としている。

日本人の4人に1人は、Twitterでの企業コミュニケーションに肯定的

 こうしたソーシャルメディア、とりわけTwitterに対する「コンタクトセンターを使ったシステマティックな対応」となると、話題にはなっているが、まだ多くの日本企業にとって「現実味がある」とまでは言いにくい。

 だが、同社が2011年1月〜2月にかけて日本を含む9カ国で4500人を対象に行った「コールセンターに関する消費者意識調査」の結果によると、日本では回答者の4人に1人、26%が「ソーシャルメディア上でコメントやツイートをした後、その企業から同じくソーシャルメディア上で返事が来ること」を肯定的にとらえていることが分かったという。

 これは9カ国中、シンガポールの44%に次ぐ第2位の数値であり、米国(21%)やカナダ(23%)などに比べても、ソーシャルメディア上での企業とのコミュニケーションに対する受容度が「相対的に高い」結果となった。

 2011年3月時点の、日本におけるTwitterの利用者数は約1757万人、Facebookは約766万人を数えるなど(ネットレイティングス調べ)年々急増していることや、一方でTwitterでのつぶやきがトラブルにつながるケースが生じていることも考え合わせると、“効率的かつ高品質なソーシャルメディア対応基盤整備”は早晩、多くの企業にとって必須の課題になると言えるのではないだろうか。

写真 「Avaya Aura」にSocial Media ToolkitとSocial Media Gatewayを組み合わせることでソーシャルメディアも含めた、コンタクトセンターのマルチメディア対応環境を実現する。写真はオペレータ用のTwitter対応画面。

 同社では、「実際にソーシャルメディア経由で企業から連絡を受けたことがある人」は、日本では全体の約1割にとどまったものの、ソーシャルメディア利用人口の増加――特に3月の東日本大震災以降、急増していることも受けて、今後、速いペースで「ソーシャルメディアは企業と消費者間のコミュニケーション手段として定着していくのではないか」と見ているという。

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