「ユーザー企業がシステム構築の主権を!」、アクシスソフト自社セミナーでリッチクライアント製品「Biz/Browser」の意義を解説

» 2011年06月30日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 リッチクライアント製品、ビジネスアプリケーションを提供するアクシスソフトは6月29日、自社主催セミナー「Biz/Browser Innovation 2011 変化に強い企業をつくる情報システム戦略〜ユーザー主導のシステム構築が経営を加速化する〜」を東京・神田で開催した。

 「ユーザー企業はシステムの主権を取り戻せ!」と題して基調講演を行った大成ロテック 常勤監査役 木内里美氏は、「ビジネス展開がスピードアップしている今、外注任せのシステム構築では市場についていけない」と指摘。自社内で考えるべき領域/外注に任せるべき領域を切り分けることの重要性や、「ユーザー企業自身が新しい製品、テクノロジの“目利き”になるべき」ことなどを訴えた。続いて登壇したアクシスソフト 代表取締役社長の永井一美氏は、リッチクライアント製品「Biz/Browser」の開発生産性の高さなどをアピール、「“ユーザー主体開発”を強力に支援できる」と力説した。

業務を知り尽くしたユーザー企業自身で要件を熟慮せよ

 ビジネスの展開スピードが増し、クラウドサービスも進展しつつある現在、これまでにも増して「経営とITの融合」が重要視されている。だが多くの企業において、この言葉は甘美な響きだけを残して形骸化し、単なる掛け声に終わってしまっているのが現実だ。

 こうした中、木内氏は「システムイニシアティブ」という言葉を紹介。これは「自社の事業の仕組みを理解し、ビジネスを成功に導くために、ビジネスの現場に対して、速く、最適な解決方法を届けるべく主体的にシステムを開発するシステム担当者の姿勢」という意味だ。まさしく市場環境変化が速い現代にこそ必要な姿勢と言えるが、「オープン化のトレンドが始まって以降、多くの企業でアウトソース依存の傾向が強まり、さらには、この丸投げ体質がベンダロックインを招き、今や多くの企業のIT部門がシステム構築の主権を失ってしまっている」。

写真 大成ロテック 常勤監査役 木内里美氏

 また木内氏は、「従来からのウォーターフォール開発は、“要件をしっかりと定義した大型システム”には最適だが、昨今のように環境変化が激しい時代には、繰り返し作業を主体とするアジャイル開発の方が向いている」ことも指摘。しかしアジャイル開発の場合、ユーザーとベンダ、SIerが相互に協力しながら開発に携わる必要があるためか、「アジャイルには消極的な企業が多い」と解説した。

 しかし現在はクラウドサービスの進展をはじめ、システムを自社のビジネスに応じて柔軟に“利活用”できる環境が急速に整いつつある。木内氏はそうした状況を挙げて、「今こそ経営者が情報システムに進んで関与すべきだし、CIOはこの環境を生かしてイノベーションを担うべき」と力説。

 ユーザー企業がシステム開発・運用の主権を取り戻すためには、「業務を知りぬいたユーザー企業自身で要件を固めること、自社内で考えるべき・行うべきことと外注に任せるべきことを切り分けて、ベンダ、SIerと緊張感のあるパートナーシップを結ぶ事が大切。さらには自社の業務に最適な製品、テクノロジを選べる“目利き”になることが、ベンダ依存体質を抜け出す必須条件になる」とまとめた。

ユーザー主体開発を支援する「国産のリッチクライアント」

 続いて登壇したアクシスソフト 代表取締役社長の永井一美氏は、リッチクライアント製品「Biz/Browser」の歴史や優秀性を解説。「基幹業務システムを効率的に操作・運用するためのフロントエンド基盤」として、企業の入力業務を支援するミドルウェアであり、現在830社への導入実績があるという。

写真 アクシスソフト 代表取締役社長の永井一美氏

 大きな特徴は「ユーザー主体開発を支援するRADツールのフロントとして」多くのユーザーに指示されていることだ。例えば、「Biz/Browserをいかに有効活用するか、いかに業務を支援するか」などをテーマに議論し合う“ユーザー同士が率先して組織したユーザー会”「Bizの明日を考える会」もすでに46回を数えているという。

 そうした中、今年5月にリリースした最新版「Biz/Browser V」は、2005年に現行バージョンの「Biz/Browser XE」以来の約6年ぶりのメジャーバージョンアップ。クライアントの使い勝手をより一層向上させられる機能を追究したという。

 例えば「HTMLビュー機能」では、Biz/Browser内部でHTMLの表示を可能とし、既存HTMLベースのWebシステム資産を活用できるようにした。画面サイズに合わせて項目の表示サイズを拡大・縮小する「スケーリング機能」も特徴で、業務で使用するさまざまなデバイス間で、たとえ画面解像度が異なっていても表示を最適化できるという。画面スケーリングを利用することでユニバーサルデザインにも対応できる。

 “ExcelからWebシステムへの移行支援”を狙って搭載した「SSpread機能」も特徴の一つだ。Excelライクな表示で、セルの色指定や枠線、計算式、インポート、エクスポートが行える。今後はExcelデータをBiz/Browser特有のCRSファイルに変換する機能の提供も予定しているという。

 永井氏は「高い開発生産性、業務に最適なUIの構築、高速レスポンス、環境差の吸収など、基幹業務システムを迅速に導入し、効率的に活用するためのあらゆる機能を備えている。特にエンドユーザーの視点に立つと、“UIが業務生産性を決める”と言える。今後もBiz/Browserでユーザー主体のシステム開発を強力に支援していきたい」と力説した。

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