日本アバイア、「顧客対応の在り方をもう一度見直すべき」コンタクトセンター製品の最新版「Avaya Aura Contact Center 6.2」

» 2011年07月28日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本アバイアは7月25日、コンタクトセンター・ソフトウェアの最新版「Avaya Aura Contact Center 6.2」と、マルチメディアでの自動応答サービスを実現するソフトウェア「Avaya Aura Experience Portal」を発表した。これにより、電話、電子メール、Webチャット、SNSなど、複数のチャネルから入ってくる問い合わせへの効率的かつ一貫性のある対応を実現。顧客満足度向上やブランディング、収益向上に大きく寄与するという。

顧客対応の在り方、実現する仕組みを再考すべき

 TwitterやFacebookなど、ソーシャルメディアが急速に浸透した近年、クチコミのパワーが大幅に増している。企業にとってはブランドイメージや収益を左右しかねない問題だけに、顧客対応の在り方をあらためて見直す動きがいちだんと高まっているようだ。これに伴い、コンタクトセンターに対する経営層の認識も変容。旧来の“コストセンター”から、収益を生み出す“プロフィットセンター”化を目指す企業も増えつつある。

 だが、その実現のためには、オペレータ間の対応の「たらい回し」の防止はもちろん、電話、電子メール、Webなど、どのチャネルからの問い合わせにも、スムーズかつ一貫性ある対応ができなければならない。加えて、市場競争が激化している近年、“対応の質”だけではなく、「問い合わせにいかに的確に答えられるか」という“回答の質”も求められている。いわば、コンタクトセンターにおける顧客対応と、それを支えるシステムの在り方にも再考が促されている状況だ。

 今回、日本アバイアが発表したコンタクトセンター・ソフトウェアの最新版「Avaya Aura Contact Center 6.2」と、マルチメディアでの自動応答サービスを実現するソフトウェア「Avaya Aura Experience Portal」はそうした状況に対応した製品。前者の特徴は大きく分けて4つある。

 1つは、IPネットワーク上でのマルチメディアのスムーズな通信を特徴とする、SIPを採用したソフトウェアであること。これにより、電話、電子メール、Webチャット、SNSなどのマルチメディア対応を実現。どのチャネルからの問い合わせにも一元的かつスムーズに対応できる環境が整う。

 2つ目は、オペレータが使うデスクトップアプリケーション「Avaya Aura Agent Desktop」との組み合わせにより、音声、電子メール、インスタントメッセージングなど、マルチメディアでのコンタクト履歴を、単一のインターフェース上で確認・管理可能となること。これによって「過去に電子メールで問い合わせをした顧客が、後日、電話で関連情報の問い合わせをした」ような際にも、オペレータはコンタクト履歴に基づいたスムーズな対応ができるほか、オペレータ間の問い合わせ対応のたらい回し防止にも寄与する。

 そして3つ目は「ワークアサインメントエンジン」を搭載し、電話・音声のルーティングのポリシーを、電子メールやソーシャルメディアにも適用可能にしたこと。問い合わせチャネルが異なっていても平等な順番待ちを実現するほか、ポリシーに沿って最適なオペレータにコンタクトを割り振ることもできる。

写真 日本アバイア アジアパシフィック コンタクトセンター ソリューション CCソリューション マネージャー 阿部誠氏

 これらの機能について、日本アバイアの阿部誠氏は、「本製品により、顧客はどのメディアからアクセスしてもスムーズかつ一貫した対応が受けられるようになる。オペレータにとっても、複数メディアからの問い合わせに、単一のデスクトップ上で、過去の履歴に基づいた対応ができるため、業務効率向上やストレス低減につながる」と解説する。

 また「UC(ユニファイドコミュニケーション)機能を利用できる点も大きな強み」だという。具体的にはSIPサーバ、「Avaya Aura Session Manager」と統合することで、先の「Avaya Aura Agent Desktop」上に、問い合わせ内容に応じた社内の専門家のプレゼンス情報を表示させられる。「これにより、例えば製品の詳細について突っ込んだ説明を求められた際にも、それに詳しい販売部門、営業部門のスタッフのうち、“いま対応が可能な人”の在席を確認した上でスムーズに対応を引き継ぐことができる。すなわち“回答の質”を高める環境が整う」

 現時点では、人的リソースの問題から“社内の専門家”が顧客対応することに否定的な見解を示すケースも少なくない。だが、コンタクトセンターを顧客対応の最前線、プロフィットセンターと認識している企業にとっては不可欠な機能と言えそうだ。

既存製品「Avaya Aura Call Center Elite」とも統合可能

 一方、「Avaya Aura Experience Portal」は、従来の「Avaya Voice Portal」から発展した製品。従来は別途、導入が必要だった「Avaya Intelligent Customer Routing」がビルトインされ、マルチメディアでの自動応答サービスを実現するほか、自動応答サービスから、よりスムーズに適切なオペレータに対応を引き継ぐことも可能とした。

 Avaya Aura Contact Center 6.2は9月中、Avaya Aura Experience Portalは8月中に提供開始予定。なお、Avaya Aura Contact Center 6.2は、現在、世界中に多数のユーザー企業があるコールセンターソフト「Avaya Aura Call Center Elite(以下、Elite)」と統合できる点もメリットであり、音声のみに対応していたElite経由の電話問い合わせと、その他のメディアでの問い合わせに対し、Avaya Aura Agent Desktop上で一元的に対応可能となるという。「つまり、弊社製品の既存ユーザーの場合、使い勝手を大きく変更せず、業務効率を落とすことなくマルチメディア対応環境を整えられる」。

 阿部氏は、近年、顧客対応リスクが一段と高まっていることを挙げ、「顧客の支持・信頼は一度失うと取り戻すのに多額のコストと時間か掛かる。だが“顧客ウケ”の良い対応を行うことで、クチコミのパワーを味方に付けられる。弊社では今回の製品でもコンサルティングによってより効果的な使い方を提案しつつ、多くの企業の収益向上、ブランディングを支援していきたい」とまとめた。

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