日本アバイア、「“問い合わせのイライラ”をいかに軽減するか」マルチチャネルでの顧客対応を高度化する3製品を発表

» 2012年08月01日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本アバイアは8月1日、マルチチャネルでの顧客対応を高度化する3つのコンタクトセンターソリューションを発表した。顧客からの問い合わせに対し、ビデオを使って映像などを共有しながら説明できる「Avaya One Touch Video」、オペレータ対応の待ち時間などを、iPhone、iPadなどスマートデバイスの画面上で可視化することで“つながらないストレス”を低減する「Avaya Customer Connections Mobile」、また昨年5月に発表した、ソーシャルメディア上のクチコミへの効率的な対応を支援する「Avaya Social Media Manager」の機能強化により、顧客満足度、企業ブランド、オペレータの生産性を大幅に向上させるという。

製品や資料を見ながらの対話を可能に。通信コストもカット

 近年、誕生時からPCやインターネットに囲まれて育った“デジタルネイティブ”な世代の顧客が増えつつある他、操作が容易なスマートデバイスの浸透により、音声、電子メール、チャット、ビデオといったマルチチャネルでのコミュニケーションが多様な年代に浸透している。Twitter、Facebookといったソーシャルメディアの利用者も増え、クチコミの影響力も増した。

写真 日本アバイア代表取締役社長 ロバート・スチーブンソン氏

 日本アバイア代表取締役社長 ロバート・スチーブンソン氏は、「コミュニケーションツールの変化や多様化を受けて、企業のコンタクトセンターはマルチチャネルでのアクセスに適切かつ効率よく対応することが不可欠となっている。加えて、ソーシャルメディア上のクチコミのパワーの増大により、企業はサービスレベルの維持・向上だけではなく、ネガティブな意見への迅速な対応も求められるようになった。こうしたコミュニケーションの変化を真剣に捉えなければ、企業は競合にビジネスチャンスを奪われることになりかねない」と解説。今回の3製品がそうした課題解決に寄与するものであることをアピールした。

 1つ目の「Avaya One Touch Video」は、ビデオを使って顧客と対面で話したり、資料などの映像を見せたりしながら、より分かりやすく、伝わりやすいコミュニケーションを可能にする“ビデオ コラボレーション ソリューション”。顧客側はブラウザさえあれば、企業のWebサイト上に表示されたリンクをクリックしたり、オペレータから電子メールで送られたリンクをクリックするだけで、専用のプラグインなどをダウンロードすることなく、即座にビデオによる対話を開始できる。iPhone、iPadなどスマートデバイスからの問い合わせの場合は、専用アプリをダウンロードしてもらうだけでビデオを使ったコミュニケーションが可能となる。

 「オペレータと顧客が、それぞれのデバイス画面上で映像資料を共有しながら、分かりやすく伝わりやすいコミュニケーションが図れる。そのため通販サイトや化粧品のビューティカウンセリング、電化製品のアフターケアサービスなどに使えば、顧客満足度向上に大きく寄与するはず。公衆電話回線網を介さずインターネット回線を使う点で、顧客、企業ともにコスト削減が見込める点も特徴だ」(日本アバイア ソリューションマーケティング UCソリューション マネージャー 山本契氏)。

写真 「Avaya One Touch Video」でビデオを使って、資料を見ながら顧客と対面で話すことが可能になる。必要に応じて対面をキャンセルすることもできる

 2つ目の「Avaya Customer Connections Mobile」は、従来、音声自動応答装置で案内していた内容をスマートデバイスの画面上で可視化する製品。問い合わせ内容の選択肢や、待ち時間、希望コールバック時間の候補などを表示できるため、顧客側は長々としたガイダンスを聞かされたり、いたずらに待たされたりするストレスから解放される。オペレータにとっても問い合わせ内容が事前に分かるなど、よりスムーズな対応が可能となる。

 また、本製品を使うと、顧客側がスマートデバイスの専用アプリケーションを介して、オペレータの端末に位置情報を送信することも可能となる。そのため、先のAvaya One Touch Videoと組み合わせて使うと、例えば電化製品などのトラブルの際、「コンタクトセンターのオペレータがビデオで故障個所を見せてもらいながら説明を受けた上で、顧客の位置情報を基に、最寄りのアフターサービス拠点から修理専門のスタッフをアサインする」といったこともできる。

 そして3つ目の「Avaya Social Media Manager」は、ソーシャルメディア上の顧客の声を自動的にモニタリングし、あらかじめ設定したキーワードに応じて声を収集した上で、最適なオペレータに振り分ける製品だ。本製品は2011年5月に発表済みだが、今回、Twitter、Facebookに加え、YouTube、Googleアラート、RSSフィードにも対応した。ただ「全ての声に逐一対応するのではなく、自社にとって重要な意見のみ収集して対応する、あるいはオペレータの負担を考慮し、重要な声の閲覧にとどめ顧客対応の参考とするなど、最適な使い方は企業によって異なる。そのため本製品はコンサルテーションとともに販売している」(山本氏)という。

SIP基盤がマルチチャネルでの効率的な対応を支える

 今回の3製品は、音声、電子メール、インスタントメッセージングなど、マルチメディアのセッションをSIPベースで統合管理できるコンタクトセンター/ユニファイドコミュニケーションの実現基盤となるソリューション「Avaya Aura」上で動作する。そのためAvaya Auraを導入済みの場合、各製品を追加するだけで済むという。グローバルでの最小構成価格は、Avaya One Touch Videoが1250ドル(8月1日現在で約9万7500円)、Avaya Customer Connections Mobileが3万ドル(約234万円)で1ライセンス当たり100ドル(約7800円)、Avaya Social Media Managerも3万ドルで1ライセンス当たり1500ドル(約11万7000円)。

写真 SIP基盤上で複数のコミュニケーションチャネルを統合管理できるコンタクトセンターの重要度が増している

 なお、マルチメディアのコミュニケーション基盤を築く上では、マルチメディアデータ通信を行うためのプロトコル、H.323を使う方法もある。だが、H.323がネットワークの中心にある交換機で各メディアを集中制御する仕組みであるのに対し、SIPは仕様上、端末側で新しいメディアを任意に追加できる点を特徴としている。この点で、コミュニケーションデバイスの進化が著しい昨今、新メディアに柔軟かつ低コストで対応していく上ではSIPが有利だと言われている。

 山本氏は最後にそうした点も挙げ、「デバイスが多様化し、多くの企業がマルチチャネル対応の必要性を感じている中、1つのプラットフォーム上で多様なコミュニケーション対応を可能にするSIP基盤製品 Avaya Auraの導入ニーズも着実に伸びている。オペレータの業務効率を高めながら、顧客満足度向上を図れる今回の3製品で、年間5億円の売り上げを狙いたい」と話している。

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